九州の味とともに 春

この料理の"味のキーワード"

タレ

醤油、酒、砂糖、ショウガの絞り汁を合わせたもの。砂糖を入れることで、甘みとともに味わいにまるみが生まれる

鶏肉と下ごしらえ

国産若鶏のやわらかいモモ肉をたたいて筋切りした後、ざく切りにして漬けタレに10分ほど漬け込む

揚げ方

片栗粉をまぶし、油で揚げる。天ぷらと比べると、油温はやや低めの170度くらい、揚げる時間はやや長めの6〜7分だ

語り 長崎和食 草 花洛 桶口忠則の「ゴーレン」

桶口忠則さん

思案橋電停から少し北に位置する静かなお店。40~50分かけて焼く名物の『鯛の塩釜焼き』、長崎の季節の素材を使った日本料理、『浦上そぼろ』をはじめ『ヒカド』、『ハトシ』など異国の影響を受けた珍しい郷土料理などを味わえる。
「店名に冠している“長崎和食”とは、地元・長崎の食材を使うことで表現しています。特に、『おまかせ会席』では、走り(出始め)の食材を使うことで季節感をいち早く感じていただければと思っています。
長崎は魚種が豊富ですし、珍しい野菜を手に入れることもできます。毎朝、産地直送の店に通っていますよ」。料理長・桶口忠則おけぐちただのりさんは仕入れた季節の食材を最高の料理にするため腕をふるっている。

長崎県の五島出身の桶口さんは名古屋で修行後、長崎へ戻り卓袱料理も手がけるようになった。『ゴーレン』に出会ったのもその時だそうだ。 「初めて『ゴーレン』に出会った時、派手さはありませんが、古くから長崎にある料理なのだと感じました。師匠に教えてもらったのですが、覚えなければならない味、伝承して守っていかなければならない味だということをその時から感じましたね。それは今も同じです」。
桶口さんが大切に守っている『ゴーレン』の作り方を教えていただいた。

「使う鶏肉は国産若鶏のやわらかいモモ肉。たたいて筋切りした後、一口大よりもやや大きいサイズにざく切りします。そしてこの肉をタレに10分ほど漬け込みます。タレは醤油、酒、砂糖、ショウガの絞り汁を合わせたもの。砂糖を入れるところが長崎ならではですね。長崎の料理には砂糖を入れるものが多いのです。一般的な鶏の唐揚げにはあまり砂糖は入れませんからね」。

タレに切った鶏モモ肉を漬け込む

漬け込みが終わると、片栗粉をまぶし、油で揚げる。「揚げる温度は170度くらいで6〜7分かけて揚げます。油温は180度くらいで揚げる天ぷらよりやや低めで、時間はやや長めになります。」

片栗粉をまぶす
170度くらいの油で、6〜7分揚げる

長崎県産の肉厚のレモンを添えてできあがり。衣のさっくり感と肉そのものに染み込んだ味わいが織り成す味わい。砂糖は強い甘味というよりも味にまるみを与えているようだ。
揚げ物メニューの中にある『国産若鶏立田揚げ』との違いも教えていただいた。「私が作る立田揚げは、素材に味をからめたら粉をはたいてすぐに揚げています。『ゴーレン』は先に味をつけていますから、揚がり方がまったく違うのです。『立田揚げ』のほうが衣がよりカラッと揚がり、『ゴーレン』は少しもっちりと仕上がりますね。それから、漬け込んでおきますから、『立田揚げ』の味付けよりも『ゴーレン』のタレのほうが薄味なのです。濃い味をつけてさっと揚げればカリッとしたものになるというように『ゴーレン』から『立田揚げ』へと変化していったのかもしれません」。

『ゴーレン』は通常のメニューにはないが、お願いしておけばいつでも作っていただくことができる。
「卓袱料理の中の揚げ物としてお出しすることもできます。長崎の方は卓袱料理がお好きな方が多いですから、そういうお願いもありますね。『ゴーレン』は鶏肉を使うことが多いですが、白身魚を使った『ゴーレン』もあるんですよ。卓袱料理の揚げ物としては、『長崎天ぷら』、『ハトシ』、『あじさい揚げ』などもあります。『ゴーレン』も含め、どれも長崎ならではの料理ですね」。
桶口さんは、先人から続く長崎の味を守り伝えている。そして、多くの方に長崎の味の魅力を発信しているのだ。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

タレ

醤油、酒、砂糖、ショウガの絞り汁を合わせたもの。砂糖を入れることで、甘みとともに味わいにまるみが生まれる

鶏肉と下ごしらえ

国産若鶏のやわらかいモモ肉をたたいて筋切りした後、ざく切りにして漬けタレに10分ほど漬け込む

揚げ方

片栗粉をまぶし、油で揚げる。天ぷらと比べると、油温はやや低めの170度くらい、揚げる時間はやや長めの6〜7分だ

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長崎和食 草 花洛 長崎の素材を使った和食や郷土料理

名物『鯛の塩釜焼き』、長崎の季節の素材を使った日本料理、卓袱料理をはじめ単品でも『ヒカド』や『ハトシ』といった異国の影響を受けた珍しい郷土料理を味わえる。『ゴーレン』も料理長・桶口忠則さんが大切にしている長崎の味の一つだ。やわらかな鶏モモ肉に、ショウガの香りとふわりと甘さを感じる上品な味が染み込んでいる。

『ゴーレン』800円(グランドメニューにはないので要予約)
『くじら盛り合せ』1,800円
『ハトシ』1人前850円(写真は2人前)と、名物の『鯛の塩釜焼き』5,000円

長崎和食 草 花洛(そう からく)

住所 長崎市鍛冶屋町5-78
電話 095-823-9313
営業 11:30〜OS14:00/17:00〜OS21:30
休み 月曜日
72席
カード
駐車場 なし
URL http://www.nagasaki-karaku.com/
※記載した内容は2018年4月20日現在のものです。
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