イリコとニラが最も基本的な具材。キャベツやニンジンを入れたりもするし、奄美ならではの野菜を使うこともある
具材の一つにもなるイリコで出汁をとることが多いが、キビナゴを使うことも。鶏スープなどを使う店もある
フライパンに水をはってイリコで出汁をとり、そこに油を入れてそうめんとニラを加え、炒め和えるのが最もシンプルな作り方
「母が作ってくれていた『油ぞうめん』の材料は、雑魚、ニラ、そうめんに塩こしょうだけというとてもシンプルなものでした。ニラがいっぱいだったので、小さい頃はニラの料理だと思っていましたね(笑)」。
今では奄美の代表的な人気メニューとなった『油ぞうめん』。店主・手島慎二さんは、小さい頃に食べていた味を、アレンジして提供している。手島さんが使う具材は、そうめん以外では、ニラ、三枚肉、イリコ、シイタケ、タマネギ、ニンジン、ニンニクと具だくさんだ。
まず、中華鍋でそうめんをゆでて、水でしめる。
「かためにゆがいて、水でしめます。そうめんは『揖保乃糸(いぼのいと)』。細めのほうがいいようですね」。
同じ中華鍋に油をひいて、塩こしょうをし、タマネギとニンジンを炒める。さらにイリコとニンニクを入れてしっかりと炒める。ニラとそうめんを入れたところで、こちらの味の決め手となる鶏スープを入れる。
「おふくろは出汁を入れてましたが、私は鶏飯にも使う鶏スープを使います。通常、鶏は生後3〜4カ月で出荷されますが、それより長い期間、手間ひまかけてじっくりと育てた鶏を使います。これがいい味を出すんですよ。野菜と一緒に10時間煮込んでスープは生まれます。スープの味には、マイナスイオン水と奄美産の天然の塩も欠かせませんね」。
こちらのメニューの中心は『鳥料理』と『島料理』。自慢の一品である『鶏飯』のスープを『油ぞうめん』にもうまく使っているのだ。
一煮立ちさせ、すべての具材とスープが一体化したらできあがり。あっさりだが滋味深いスープがそうめん一本一本にもしっかりと染み込んでいる。
「スープと油をからめているのでそうめん同士がくっつかないんですよね。あっさりしていて後味もいいと思います。酒のつまみというよりは、飲んだ後の〆ですね。うちではまかないとしてもよく食べますよ(笑)」。
こちらの入口には『奄美大島観光案内所』の看板も掲げられている。観光客に「『油ぞうめん』とは何ですか?」と尋ねられたら、どうお答えになるのだろう?
「『奄美の小さな集落で生まれた郷土料理で、お祝いごとなどの時にみんなで食べるもの。そうめん、野菜に油とスープをからめているのでくっつかないあっさりして後味のいい料理です』と答えますね。『油ぞうめん』は、もともとは笠利町の一角で生まれたと聞いています。集落の行事とかお祝いの時などに食べられていたようです。八月踊りとか、相撲大会の時とかですね。私は病気した時などにも作ってもらってましたね。島の生活の中から生まれてきた家庭料理ですから、田舎のおばあちゃんの作る味が美味しいですね。そして、そうめんは保存できるから、ちょっとした時に作れるおもてなし料理なんです。今は観光客の方々にも、この味でおもてなしをしているのかもしれませんね(笑)」。
そうめん以外にニラ、三枚肉、イリコ、シイタケ、タマネギ、ニンジン、ニンニクが使われ、具だくさんだ
じっくりと育てた鶏を野菜と一緒に10時間煮込んだ鶏スープを使う。マイナスイオン水と奄美産の天然の塩も味わいの秘密だ
すべての具材を炒め、あらかじめゆでて水でしめておいたそうめんを投入して、鶏スープを入れて一煮立ちさせる
『焼鳥』、『ももの開き』など鶏肉を使ったメニューに加えて、奄美の郷土料理も味わえる。油ぞうめんは、イリコ、豚肉、ニラ、タマネギ、シイタケ、ニンニクなどが入り具だくさん。そして、味の決め手は、こちらの鶏飯にも使われる鶏スープ。手間ひまかけてじっくりと育てた鶏を野菜などと一緒に10時間煮込んで作るスープは、あっさりだが滋味深い。
住所 | 奄美市名瀬伊津部町12-6 |
---|---|
電話 | 0997-53-6515 |
営業 | 11:00〜23:00 |
席 | 45席 |
休み | なし |
カード | 不可 |
駐車場 | あり |
URL | http://www.torishin.co.jp/ |