上五島には30軒以上の『五島うどん』製麺所があり、素材や製法が少しずつ異なる。各店がセレクトした『五島うどん』を使っている
『五島うどん』を熱湯を張った鉄鍋に入れて炊く。鉄鍋のまま提供され、さらに炊きながら食べるスタイルの店もある
アゴ(トビウオ)出汁をベースにしたつゆにつける食べ方と、卵と生醤油を合わせたものをからめる食べ方がよく知られている
歴史ある『五島うどん』の技を守り、美味しさを広く伝えることを目的として生まれた『五島手延うどん協同組合』は、平成16年4月に、『五島うどんの里』を開設した。
施設内には、パネルや道具で『五島うどん』の製造工程を紹介するスペースや、島内各地の製麺業者が作った『五島うどん』を買える売店がある。ここの一角にある食事処が『遊麺三昧』だ。
『五島うどんの里』は、上五島の玄関口、有川港ターミナルのすぐ前に位置するので、船を待つ方々の利用も多い。スタッフの豊住紀美江さんにお話をうかがった。
「観光の方はよく来てくださいます。けれど、地元の方は店に来て『地獄』は食べないですね(笑)。地元では、『地獄』は家で食べるものなんです。麺さえあれば、簡単に作れますからね。私も小さい頃によく食べてましたが、あまり好きではなかったかな。今は美味しいと思いますよ(笑)。島に帰省された方は、帰り際に寄ってくださることもありますね」。
『地獄炊き』は五島では『地獄』と呼ばれることも多いとのことだ。
こちらの『地獄炊き』に使われている麺は、『五島手延うどん協同組合』ブランドの『波の絲(なみのいと)』。
「1人前は120gです。『五島うどん』は乾麺ですから、賞味期間は1年あるのですが、私は作り立てのほうが美味しいように思います。今日使う麺も、数日前にできあがったものなんですよ」。
『五島うどん』が鉄鍋の中の熱湯の中に入れられ、『地獄炊き』作りが始まる。
「うどん同士がくっつかないようにパラパラと入れ、よく混ぜておきます。最初に混ぜておけば、くっつくことはないですね。
あとは吹きこぼれない程度の強い火で7分ほど炊きます。鍋がグラグラと湯気をたてる様子が地獄の釜みたいだから、『地獄炊き』と呼ばれるようになったと言われていますね」。
7分たったら、鉄鍋は客席のテーブルの上のコンロに置かれる。アツアツのまま食べられるのだ。つゆにつける食べ方と、溶いた卵と醤油を合わせたものにつける食べ方の2つがある。
「アゴ出汁をベースに、カツオ節やシイタケを使った出汁に、醤油などを加えたつゆで、毎日午前中に作っています。つゆの薬味は、ネギとショウガです。溶いた卵と醤油を合わせたものには、ネギとカツオ節が合いますね。地元の方は、煮付けた魚の汁で食べることもよくありますよ」。
さっぱりしているがコクのある、アゴ出汁の風味を感じられるつゆにつけると、『五島うどん』の食感と、喉越しの良さが、よくわかる。溶いた卵と醤油を合わせたものをからめて食べると、とろとろまろやかな中に、うどんの味が広がる。
「『五島うどん』は細いけれど、コシがあってのびにくいうどんですね。のびにくいから、鍋料理にもぴったりです。五島うどんを使って、皿うどん風、チャンポン風などにして食べる方もいますよ」。
昔から作られている『五島うどん』は、うどんを乾燥させた乾麺だが、『五島手延うどん協同組合』では生麺も作っている。
「普通のかけうどんや、冷やしうどん、ざるうどんなどには生麺を使っています。生麺も美味しいんです!」。
『五島手延うどん協同組合』は、『五島うどん』普及のため、日本各地や海外へも出かけている。讃岐うどん、稲庭うどんと並び、日本三大うどんと呼ばれることもある『五島うどん』は、昔も今も五島が誇る宝なのだ。
『五島手延うどん協同組合』ブランドの『波の絲』。1人前は120g。乾麺で賞味期限は1年ということだが、作り立てのものを使う
うどん同士がくっつかないように鉄鍋の中の熱湯にパラパラと入れ、よく混ぜる。吹きこぼれない程度の強い火で7分ほど炊く
さっぱりしているがコクのある、アゴ出汁ベースのつゆにつけて食べるか、溶いた卵と醤油を合わせたものにつけて食べる
有川港ターミナルのすぐ前、『五島うどんの里』の一角にある五島うどん店。通常のうどんメニューには生麺を使い、『地獄炊き』には乾麺を使っている。熟成したうどんは、さっぱりしているがコクのある、アゴ出汁ベースのつゆにつけて食べるか、溶いた卵と醤油を合わせたものにつけて食べる。隣接したスペースでは、五島うどん作りの道具やパネルを展示。
住所 | 南松浦郡新上五島町有川郷428-31 |
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電話 | 0959-42-2655 |
営業 | 11:00〜14:00 |
定休日 | 年末年始 |
席 | 40席 |
カード | 不可 |
駐車場 | あり |
URL | http://www.goto-udon.jp/ |