九州の味とともに 春

この料理の"味のキーワード"

サトイモ

皮付きのままほどよくゆで、皮をむいて適当な大きさに切る。小さい種類のサトイモが使われることも多いようだ

調味料

すりゴマ、味噌、砂糖、ミリンなどが基本的な調味料。シンプルだが、配合によって作り手ならではの味わいとなる

作り方

調味料でサトイモを和えればできあがり。和える時にサトイモの角が取れて、とろみと粘りが高まる

語り 黒木屋 宮崎総本家 酒井崇行の「ぬた芋」

酒井崇行(さかいたかゆき)さん

宮崎市内の繁華街『ニシタチ(西橘通り)』近くにある食事処。宮崎産の野菜や魚介、宮崎牛、みやざき地頭鶏などを使い地産地消を基本とした料理を提供している。「冷汁や地頭鶏の炭火焼など “THE 宮崎”という郷土料理もご用意していますので、宮崎ならではの料理を食べたいという方にはお越しいただきたいですね。観光の方もぜひ!」と店長・酒井崇行さん。『ぬた芋』はメニューにはないが、お願いしておけば作っていただける。

厨房で料理スタッフの小中原正己(こなかはらまさみ)さんに『ぬた芋』作りについてうかがった。「サトイモは小さい種類の物を使うことが多いですね。まず、10〜20分ほど皮ごとゆでます。串を刺してすっと通ったらゆであがり。皮はぷるっとむけますね」。ゆであがったサトイモに調味料を加えて和える。「すりゴマ、味噌、ミリン、砂糖を合わせた調味料で和えます。だんだんとサトイモの角が取れてつぶれ、とろみが出てきます。調味料のとろみにサトイモのとろみが加わるという感じですね」。

サトイモに調味料を和える

「皿に盛り付け、黒ごまをふりかければできあがりです。私の中では、『ぬた芋』はおめでたい時とかお祭りの時にみんなで食べていたというイメージですね。サトイモの畑は山あいに多い印象で山里の料理というイメージもありますね」。

皿に盛り付けて黒ゴマをふりかける

ホクホクのサトイモの味わいにゴマの風味とほどよい甘みが加わり、ほっとする一品。酒井さんも家庭で食べていたとのこと。

「この仕事をする中で『ぬた芋』と聞いた時、どんな料理かさっぱりわからなかったんですよ。でも、料理スタッフが作ってくれたものを見て、食べて、『あぁ、これのことか』と思いました(笑)。名前を知らなかっただけでした(笑)。子どもの頃から家庭でよく食べていましたし、なつかしさを感じる味ですね。考えてみれば、宮崎はサトイモの生産量が多い県ですから、サトイモを昔からよく食べていたのでしょう。今はメニューには載せていないのですが、載せるとしたら、ちゃんと説明しておかないといけないですね。『ぬた芋』だけでは何かわからないですよね(笑)」。

ほっとする味わいは、焼酎のつまみにもぴったり。宮崎では大人も子どもも家々で食べてきた郷土料理だ。「お客様に還元!が店のポリシーです(笑)」とのことで皿にはたっぷりと盛り付けられているが、家庭でもそうやって大皿に盛り付けて食べられているのだろう。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

下ごしらえ

小さい種類のサトイモを使うことが多い。皮付きのままほどよくゆでて、皮をむいておく

作り方

調味料は、すりゴマ、味噌、ミリン、砂糖を合わせたもの。サトイモの味によって配分を加減する

タレ

ゆでたサトイモに調味料を和える。サトイモの角が取れてつぶれ、とろみが出るまで和える

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黒木屋 宮崎総本家 宮崎の特産品や郷土料理を楽しめる店

宮崎市内の繁華街『ニシタチ(西橘通り)』近くにある食事処。宮崎産の野菜や魚介、宮崎牛、みやざき地頭鶏などを使い地産地消を基本とした料理を提供している。冷汁や地頭鶏の炭火焼など “THE 宮崎”という郷土料理も多数。小さめのサトイモを使う『ぬた芋』は、ボリュームも満点でゴマの風味とほどよい甘みに箸が進む。

『ぬた芋』308円(メニューにはないので要問い合わせ)
『みやざき地頭鶏もも炭火焼』1518円
『めひかりの南蛮漬け』528円
宮崎県日向市特産の柑橘『へべす』の粉末を餌として与えたブリを使用した『日向産へべすのごまぶり』968円
テーブル席、個室、掘りごたつ席などがある
建物の壁には宮崎の郷土料理が書かれた看板が並ぶ

黒木屋 宮崎総本家

住所 宮崎市橘通り西2-7-18 長尾ビル1・2階
電話 0985-25-5353
営業 11:30〜14:30/17:00〜24:00
(金曜・祝前日〜翌1:00、土曜〜翌3:00)
休み なし
205席
カード
駐車場 なし
URL https://kurokiyasouhonke.owst.jp
※記載した内容は2020年4月23日現在のものです。
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