九州の味とともに 春

この料理の"味のキーワード"

たけのこと下茹で

採れたてのものを皮つきのまま下茹でする。普通のたけのこと違いアクが少ないので、茹でる時間も短くすることが多い

焼きたけのこ

下ゆでしたたけのこを皮付きのまま切って焼く。表面が香ばしくなり、『合馬のたけのこ』の甘味をより感じることができる

自慢のたけのこ料理

各店は、「『合馬のたけのこ』をそのまま味わっていただきたい」と、甘味や旨味を引き出す工夫を凝らした料理を提供している

語り たけのこ料理 合馬茶屋 冨岡可奈子の「合馬のたけのこ」

冨岡可奈子さん

『合馬のたけのこ』の名前が知られ始めたのは1980年代前半から。その時に“合馬のたけのこを北九州の特産品・観光資源として広めたい”とオープンしたのが、『合馬観光たけのこ園』だ。そして15年ほど後に、食事処である『たけのこ料理 合馬茶屋』が併設された。食事メニューは、『竹コース』と『梅コース』の2つのみ。『梅コース』は、たけのこの刺身、煮しめ、天ぷら、木の芽あえ、白あえ、きんぴら、しんじょう、若たけのこ汁、たけのこごはん。『竹コース』にはさらに、たけのこ入り茶碗蒸しと焼きたけのこが付く。どちらもたけのこ三昧のコース料理で、100食限定だ。

厨房では、店主・冨岡可奈子さんを中心に料理が作られている。
「主人が山からたけのこを採ってきて、表面の赤土をタワシで落として、皮がついたまますぐに下茹でしてくれます。水から茹で始めて、沸騰してから30分〜40分くらい茹でます。合馬のたけのこはアクがほとんど出ないので、米のとぎ汁など使わなくても、水でいいんですよ」。

下茹でしたたけのこは皮をむいて、表面を包丁できれいにする

下茹でされたたけのこは厨房に運ばれて、皮をむいた後、包丁で表面をきれいにする。そして、料理されていく。

特にやわらかく、美味しいものだけを薄くスライスして刺身にする

「私たちは見ただけでもわかるのですが、やわらかくて特に美味しい物は、薄くスライスして刺身にします。1つ1つ味わいが違うので、刺身には向いていないたけのこもありますよ。そういうたけのこは、煮物にしたりするわけです。食事処は、毎年2月下旬から5月のゴールデンウィークまで開けていますが、初めの頃、中頃、終わり頃と味は変わってきますね。出初めの頃は香りを食べる、盛りの頃は深い味を食べるという感じでしょうか。もちろん、いつでも美味しいですよ。どちらが好きかは、召し上がる方の好みの問題ですね。早い時期に食べれば、『もう食べたよ』と自慢もできますしね。私は、盛りになっての比較的大きいたけのこの真ん中あたりが好きです。味がしっかりしていますからね。天気や気温で違いも出ますから、その日、その日で違うたけのこの味にあわせて、料理の味の濃さなどを変えています。その日に一番美味しい味を作りたいですからね。だから、私は、調味料などを細かく量りながら作るのは得意じゃないんですよ(笑)」。

細かく切ったたけのこに、木の芽のソースを和える木の芽和え

さて、ほとんどのたけのこ料理は下茹でしてから作られるが、焼きたけのこだけは違う。
「焼きたけのこは、洗った後、皮がついたまま蒸してから焼くんです。蒸すことで旨味も閉じ込められますし、食感もより楽しめますね。蒸した後、皮ごとタテに半分に切ってから、まず皮を下にして焼きます。しっかりと焼き目がついたらひっくり返します。根元のほうから湯気が出てきたらできあがりですね」。

たけのこの水分を絞ってから作る白和え

木の芽和えも白和えも、すべての料理は手作り。スタッフのみなさんの手間がかけられた『竹コース』をいただいた。

蒸した後、しっかりと焼き色をつける焼きたけのこ

どの料理からも『合馬のたけのこ』の甘味と旨味が感じられるが、刺身や焼きたけのこからはより強く感じられる。
「ゆがく前に食べてみるとわかりますが、『合馬のたけのこ』はエグミがほとんどありません。この味は合馬の水と土から生まれるものだと思います。合馬は朝と晩の温度差があるので、それも良いみたいですね。米や枝豆や大根もとても美味しいのですよ。たけのこは、何もしなくても生えてくるものではありますが、ほったらかしの山と手入れをしている山では、たけのこの味もやっぱり違います。うちは観光たけのこ掘りもやっていますし、掘った後は土の管理をしたりと、一年中山の手入れをしているのですよ」。

たけのこの採れる山を管理し、シーズンになればたけのこ掘りをされているのは、可奈子さんのご主人の冨岡修さんだ。
「合馬の人間は子どもの頃から山に入っているので、たけのこを見つけるのは上手ですね。土のふくらみ、ひび割れで、たけのこがあることがわかるんです。雨上がりはちょっと見つけくいですが。はしりの頃は一般の方が見つけるのはかなり難しいですね。イノシシは見つけるのがとても上手ですけどね(笑)。掘ったたけのこは洗ってから、屋外の薪釜で1回に100kgほど茹でます。風味が残るように皮をつけたまま茹でますよ。『合馬のたけのこ』はエグミが少ないですね。山から掘ってきて、30分以内ならそのまま生でも食べられるほどなのですよ」。

食事処でたけのこを食べた後は、たけのこが入った練り物『たけ天』、たけのこ入りの肉まん『たけのこまんじゅう』、合馬の天然水などをおみやげにするのもいい。時期が合えばたけのこ掘りをするのもおもしろい。『合馬観光たけのこ園/合馬茶屋』はたけのこ三昧できる場所なのだ。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

たけのこと下茹で

自社たけのこ園の採れたてのたけのこを、皮つきのまま薪釜で30〜40分下茹でする。その後、表面を1本1本包丁できれいにする

焼きたけのこ

皮つきのまま蒸した後、タテに半分に切って、皮がついているほうからしっかりと焼く。根元から蒸気があがってきたらできあがり

自慢のたけのこ料理

『たけのこの刺身』。下茹でした後のたけのこを薄くスライスする。やわらかく、特に味が良いものだけを刺身に使うとのこと

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たけのこ料理 合馬茶屋 たけのこ園に併設されたたけのこ料理の店

たけのこ掘りもできる『合馬観光たけのこ園』に併設された食事処で、毎年2月下旬〜ゴールデンウィークの営業。採れたてのたけのこを下茹でしてスライスした刺身、蒸してから香ばしく焼き上げる『焼きたけのこ』など、『合馬のたけのこ』の味わいを堪能できる。おみやげには、たけのこが入った練り物『たけ天』500円や、たけのこ入りの肉まん『たけのこまんじゅう』2コ450円が人気。

刺身、煮しめ、天ぷら、木の芽あえ、白あえ、きんぴら、しんじょう、若筍汁、筍茶碗蒸し、焼き筍、筍ご飯が付く『竹コース』2,700円。その他に『梅コース』2,200円もある
合馬の天然水『極麗』1本280円。天然の高アルカリイオン水で、カリウムの含有量が多い
広い民家を改装した店内。庭の景色も四季折々で美しい

たけのこ料理 合馬茶屋

住所 北九州市小倉南区合馬1187
電話 093-451-0977
営業 10:30〜限定食数終了まで
※2月下旬から5月のゴールデンウィークまで営業。『合馬観光たけのこ園』は3月中旬から5月のゴールデンウィークまで営業
休み 期間中は休みなし
60席
カード 不可
駐車場 あり
URL http://ohma.jp/oumachaya.html
※記載した内容は2015年3月20日現在のものです。
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