スープのベースとなる材料は鶏ガラ、豚骨が基本的。スープはその日に作ったものはその日のうちに使う。サッパリした味の所以だ
肉、魚介類、野菜類、中国野菜など、各店がバランスを考え工夫を凝らす。ゆで卵を揚げる『揚げ卵』は太平燕には欠かせない一品
初めに肉類や魚介類、次に野菜類を炒める。大きな火力で短時間に炒めるて作るのが美味しさの秘訣のようだ
「美味しさを追求していったら材料が増えてしまいました。太平燕の材料は、現在、全部で18種類ですね(笑)」。
それは、イカ、エビ、タコ、豚肉、人参、タケノコ、白菜、キャベツ、タマネギ、チンゲン菜、モヤシ、カマボコ、椎茸、キクラゲ、小松菜、ニラ、ゆで玉子、そして緑豆春雨だ。
しかも、それぞれの素材を食べやすいように細切りにしているだけではなく、細かな下処理まで行なっているものもある。
「タコとニンジンは下茹でしておきます。エビとイカは水洗い、塩コショウして卵白と片栗粉をまぶしておきます。豚肉は塩コショウして黄身と片栗粉をまぶしておきます。どちらも食べた時のツルッとした食感のためです」。
スープも手間をかけ毎朝じっくりと作る。
「九重赤鶏の鶏ガラ、牛骨、トンコツ、丸鶏、それにネギとショウガが材料で一番のベースとなるのは鶏ガラです。下茹でした後、アクを取りながら2時間半ほどかけて煮込みます。上澄みの透明な部分を取り出しますが、これは和食で言う一番出汁みたいなもので、うちの高級料理にも使いますね。作り方ですが、水70リットルに鶏ガラ10kg、鶏の味がよく出るように塩を大さじ、牛骨2.5kg、そして…」。
『中国名菜 儷郷』の料理長・早川文明さんは尋ねたことを何も隠すことなく教えてくれる。しかし、いくらレシピがあっても料理人の仕事は真似ができるものではない。
「例えば、辛いのが苦手という方へ出す麻婆豆腐を作る時に、ただ辛味を抜くだけではだめなのです。プロの料理人なら辛くなくても旨いものにしなくてはなりません。同じように『辛くしてくれ』というオーダーに、ただ唐辛子を入れるだけではだめなんです。その方のための味を作ることが大切なのです。それに材料の味もいつも同じわけではありませんから、食材とも会話ができないといけません。今日は新タマネギと話しましたよ(笑)」。
早川さんに太平燕を作っていただく。エビ、豚肉、タマネギなどを油通し。ショウガ、ニンニクを鍋に入れてネギ油を入れてあたため、香りが出たらすべての材料を投入。澄んだスープと白濁したスープを入れ、緑豆春雨、椎茸、かまぼこを入れる。酒、塩、薄口醤油で味を作り、コショウ、ゴマ油で味を整え器に盛る。ゆで玉子をのせて黒胡椒をふりかけできあがり。
「緑豆春雨は炊いてものびて切れないし、10cm位に切っているので、1度ですすることができて食べやすいと思います」。
細切りにされた他の具材と春雨がうまくからみあって確かに食べやすい。18種類の具材の味わいも複雑にからみあっている。また、さっぱりしたスープの太平燕が多い中、しっかりしたコクを感じるスープも旨い。
「白濁したスープの量でコクの深さは決まってきます。何度か来ていただいて、『もっとあっさり』とか『もっとこってり』とか言っていただければ合わせることもできますよ。そして、そのコクの具合に合わせて味を整えます。味覚は年齢とともに変わったりもしますからね(笑)」。
早川さんの仕事は、器の上にのせる料理を作ることではなく、『食べてくれる方への料理』を作ることなのだ。
九重赤鶏、牛骨、豚骨と香味野菜で作り上げるスープは、上品な味わいの透明スープとコクのある白濁スープ(写真)。2種類のスープをブレンドして使う
イカ、エビ、タコ、豚肉、人参、タケノコ、白菜、キャベツ、タマネギ、チンゲン菜、モヤシ、カマボコ、椎茸、キクラゲ、小松菜、ニラ、ゆで玉子、春雨
エビ、豚肉、タマネギなどを初めに油通しすることで水分を切る。それから短時間で一気に炒め上げ、スープと春雨を入れて煮立たせ、春雨に旨味をうつす
九重赤鶏をベースに毎朝じっくりと作り上げるスープは上品な味わいの透明スープとコクのある白濁スープの2種類。このスープのブレンドと、炒める前に丁寧な下準備もされる全18種類の具材が、『太平燕』に絶妙な味のバランスを与えている。自慢の『麻婆豆腐』をはじめ、豊富にそろう四川料理も味わいたい。
住所 | 熊本市白山3-1-5 ホテル白山イン2階 |
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電話 | 096-366-4688 |
営業 | 11:30~L.O.14:20/17:15~L.O.21:00 |
休み | なし |
席 | 80席 |
カード | 可 |
駐車場 | あり |
URL | http://reikyo.com/ |