阿蘇たかな、塩、赤唐辛子が基本的な材料。春先から漬け込み、半年ほどでできあがる。作り手は、塩の加減などに工夫をこらしている
細かく刻んだ高菜漬けと白ごはんをいかに素早く混ぜるのかが重要。桶やボールの使い方、しゃもじでの混ぜ方などが異なるようだ
高菜めしの元祖と言われる『あそ路』のスタイルを踏襲し、ゴマと錦糸卵をのせるところが多いが、独自のトッピングを添える店も
「私たちの高菜めし作りは、阿蘇たかなの種を蒔くところから始まっています。高菜めしを作っている最中に、感慨深くなることもありますね」。
太い柱や梁、囲炉裏もある趣深い店内でそう話してくださるのは、店主の笹木さん。『さー蔵』は米蔵として使われていた築200年の建物を改装して作られた店だ。
元々漬け物屋さんを営んでいたという笹木さんは、高菜漬けを使った料理を得意先や知り合いにふるまっていたのだそう。その味を多くの人にも食べてもらいたいと、開店にいたった。
「秋に種を蒔き成長した阿蘇たかなを、春先に手摘みします。茎のある部分では、みずみずしい大根やニンジンのように茎がポキッと折れるんですよ。ベテランになると一日100kgを手摘みします。畝の1列だけは次の年に蒔く種をとるためそのまま残してきますね。畑によって土壌の性質も異なるので、たかなの味も、畑ごとに違うようです」。
収穫された阿蘇たかなはすぐに漬けこんでいく。
「収穫したら次の日までに漬けることが重要ですね」。
3m×3mのタンクにたかな、塩、輪切りにした赤唐辛子、ウコンを入れて、蓋をして重しをして半年ほどねかせておく。途中、蓋の上には水分がたまる。
「この水分は空気を遮断して、その下でじわじわとすすむ発酵を助けているようです。10月くらいに漬け上がりますが、その時にスポンジとバケツをもって取り除きます。これはなかなかの重労働ですね(笑)」。
いよいよ、高菜めし作りを見せていただくことに。その前に、ごはんのことも話してくださった。
「米も自家製です。一番美味しいのは、米が育った水でごはんを炊くことです。私たちは阿蘇の地下水で米を育て、その水で炊いています。この周辺は100mほど掘れば水が自噴してきます。自噴してくる水は、多分何百年とか何千年とか前に降った雨。だから少々雨が降らなくても水量が変わることはありません。水に恵まれた場所ですね」。
笹木さんが作る高菜めしは、ごはんも一緒に炒めるチャーハン風。中華鍋でごはんを油で炒め、刻んだ高菜漬けを入れてさらに強い火力で小気味よく炒める。塩、醤油、砂糖などで作った特製のタレで味付け。中華おたまですくい、皿の上に半球型の高菜めしが盛られる。最後にゴマと刻み海苔をのせてできあがりだ。
ほどよくパラリとしたごはんの食感と、高菜漬けのシャキッとした歯応えが絶妙な味わいを生み出している。
「母親が作ってくれていた味です。高菜漬けもごはんもしっかりと作っていますから、そのもの本来の味を楽しんでいただきたくて、上にのせるものは、ほんの少しだけ(笑)。とてもシンプルな高菜めしなんです!!」
阿蘇たかな、塩、赤唐辛子、ウコンを漬け込む。半年ほど寝かせるといい風合いの色に。阿蘇たかなの栽培や収穫も手がけており完全自家製だ
まずごはんを油で炒め、そこに刻んだたかなを入れてさらに炒めるというチャーハン風の作り方。ほどよくパラリとしたごはんの食感と高菜漬けの食感が合う
できあがった高菜めしの上にのるのは、ゴマと刻み海苔のみ。高菜漬けとごはんの味をより楽しんでもらいたいという、店主の想いからだ
築200年の米蔵を改装したお店は、囲炉裏も配置されて落ち着いたたたずまい。『高菜めし』や『だご汁』をはじめ、地鶏や赤牛など、阿蘇の食材を使った料理をいただくことができる。『高菜めし』に使う高菜漬けもお米も自家製。高菜漬けと一緒にごはんも炒めるチャーハン風だ。敷地内には『茶蔵カフェ』も併設。
住所 | 熊本県阿蘇市蔵原625-1 |
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電話 | 0967-34-0087 |
営業 | 11:30~17:00(17時以降は要予約) |
休み | 水曜 |
席 | 45席 |
カード | 不可 |
駐車場 | あり |
URL | http://www.aso.ne.jp/~sa-kura/ |