ややかために炊いたごはんを砂糖、酢などで味付けする。一般的な巻き寿司に使う酢飯と同じだ
中に巻く具材はレタス、下茹でしたエビのみ。レタスの食感が重要なので、洗い方やちぎり方を各店が工夫している
海苔の上に酢飯を広げ、レタス、エビ、マヨネーズをのせて巻く。レタスのシャキシャキ感を残すため、ほどよい力で巻く
『レタス巻き発祥の店』としても知られている昭和41年創業の老舗寿司屋。『レタス巻き』は、創業者・村岡正二さんが親交のあった平尾昌晃さん(歌手・作曲家)のために、「美味しく野菜が食べられてヘルシーなお寿司を作ろう」という想いから始まったもの。当時のご苦労を奥様の女将・村岡敬子さんにうかがった。
「レタスとアスパラやかにかまを入れた巻き寿司を作っていたのですが、どうもイマイチでした。その時、ショーケースに並んでいたエビが目に入り『エビを入れてみようか!!』となったのです。さらに、当時は貴重だったマヨネーズも使ってみようということになりました。普通のマヨネーズではなくオリジナルのマヨネーズソースを創って『レタス巻き』が生まれました。試行錯誤と創意工夫から生まれたお寿司ですね。私も初めて試食した時、『どこにもない味で美味しい!!』と思いましたね。それからお客様にも提供するようになったのです。初めは『生野菜を使ったお寿司?』と思う方も多かったようですが、口コミで少しずつ広がっていったのだと思います。特にスチュワーデスさんやパイロットさんが広めてくださいましたね。当時は物流が今ほど便利ではありませんでしたから、福岡まで車でレタスだけを買いに行ったこともあるんですよ。始めてから10年ぐらい経った頃、多くの方に知られるようになったと実感しましたね。今、作っている『レタス巻き』もその当時とまったく同じものです。マヨネーズソースもずっと手作りですよ」。
実際に『レタス巻き』を作っているのは板長の小田浩二さん。美味しい『レタス巻き』はまず材料選びと下ごしらえから始まる。
「『レタス巻き』に合うレタスを取り寄せています。苦みが強いとよくなく、甘味と食感がいいレタスがいいですね。値段が高い時は大変です(笑)。『レタス巻き』を看板に出していますから、『できません』と言うわけにはいきません。だから空輸で仕入れることもあるんですよ。エビはおおぶりのものを串に刺して茹で、殻をむいて、背わたを取って洗います。かるく塩味をつけています。エビの下ごしらえだけで毎日2時間かかりますね。エビも甘味があるエビじゃないと『レタス巻き』には合いません」。
海苔の上に寿司屋ならではの絶妙な甘味と酸味を持つ酢飯がのせられる。
そして、レタスを握り寿司を作るような手さばきで形を整えてから酢飯の上にのせる。
さらにマヨネーズソースにくぐらせたエビをレタスの上にのせる。
「レタスの形を整えるのは、エビをのせるくぼみを作っているんですよ。うちのマヨネーズソースはゆるいですから、食べる時にたれないようにするためです。マヨネーズソースはいくつもの材料を混ぜ合わせたもの。一般的なマヨネーズとは違う『レタス巻き』専用です。かたく作るのは簡単なのですが、ちょっと振動を与えると分離するくらいぎりぎりのゆるさにしています。毎日作っていますが、混ぜるのは力仕事ですね(笑)」。
海苔が割れないようにほどよい力で巻き、切ったらできあがりだ。
「宮崎で好まれる甘めの醤油を少しだけつけて召し上がってください。マヨネーズソースだけだと少し味が濃いのですが、レタスの水分でいい具合になりますね。海苔、酢飯、マヨネーズソース、レタス、エビ、少しだけつけていただきたい醤油…それらが一つになって美味しい『レタス巻き』になるのです!!」。
パリッとした海苔の食感から始まる『レタス巻き』は、小田さんが言われるように様々な旨味と食感が一つになった味わいだ。男性は一口で食べるのがおすすめだが、お願いすればさらに4等分してもらうこともできる。
「実は、包丁を入れるとほんの少しだけレタスから苦みが出るんです。ですから、カウンターに座るよくわかっているお客さんは『切らずにそのままちょうだい』と言われます。巻いてすぐにカウンター越しに手渡ししますが、それが一番美味しい食べ方でもありますね」。
多くの店でも作られ、広く知られるようになった『レタス巻き』。“元祖”の店として村岡さんはどのように思われているのだろうか?
「『レタス巻き』が広がったのはうれしいことですね。エビの変わりに肉を使ったりいろいろなアレンジもありますが、それはそれでいいと思っています。ただ、『一平』は昔から変えずにやっています。県外の方で『サラダ巻き』と言われる方もいるのですが、うちは『レタス巻き』ですよ(笑)。うちの『レタス巻き』を初めて食べたお客さまが、『やっぱり違いますね。やっぱり美味しいですね』と言ってくださるのが一番の喜びです」。
『レタス巻き』は取寄せはできないが、持ち帰りはできるので、お盆や連休などの時、手土産にされる方も多いとのこと。そして、お店には親子3世代で食べに来る方も多い。
「私は毎日食べていますが、飽きないですね(笑)」と村岡さん。若女将・村岡浩恵さんも「『レタス巻き』が好きでお嫁に来たのかもしれません(笑)」。
2016年で創業50年、『レタス巻き』は多くの方に愛され続けている。
「自信はありましたが、ここまでになるとは50年前には予想していなかったですね。たくさんの方に支えられながら続いてきた変わらない味を、私たちはずっと守っていきたいと思っています」。
創業者・村岡正二さんの言葉、「本当に美味しいと思えるものを、信念を持って提供し続ければ、それがやがて故郷の味となる」を『レタス巻き』が証明している。
それだけでも美味しい絶妙な甘味と酸味を持つ酢飯は、寿司屋ならではの丁寧な作り方から生まれる
レタスは甘味と食感がいいものを取り寄せる。エビは串に刺して茹で、殻や背わたをとるなど下ごしらえも丁寧だ
海苔に酢飯をおき、自家製マヨネーズソースにくぐらせたエビをレタスでくるむようにしながら巻いていく
『レタス巻き』発祥の店でもある老舗寿司屋。先代からの『レタス巻き』の味を守り続けている。エビの下準備や酢飯作りが丁寧なのはもちろん、味の決め手は自家製マヨネーズソースだ。マヨネーズソース、酢飯、レタス、エビ、海苔、宮崎で好まれる甘めの醤油…それらが一つになった“元祖”の味わいを楽しみたい。
住所 | 宮崎県宮崎市松山1-8-8 |
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電話 | 0985-25-2215 |
営業 | 11:00〜OS14:45/17:00〜OS21:30 |
休み | 火曜 |
席 | 100席 |
カード | 可 |
駐車場 | あり |
URL | http://www.ippei-sushi.com/ |