九州の味とともに 春

この料理の"味のキーワード"

魚

アジ、サバ、ブリ、カンパチといったその時に美味しい魚を使う。脂ののった青身の魚が適しているようだ

タレと薬味

タレは醤油、酒、ミリン、ショウガ、ゴマ他を合わせて作る。薬味はネギやワサビが添えられることが多いが、作り手や場所で異なる

作り方

魚を切り身にして、タレに漬け込み、薬味を添える。魚の種類によっても、作り手によっても、漬け込む時間は調整されているようだ

語り かまえ直送活き粋船団のお店 だれやみ 川野洋二の「りゅうきゅう」

川野洋二さん

大分県の最南端の街・蒲江。この街で漁業を営む若手漁師10人がつくったのが『かまえ直送活き粋船団』。漁師が食べているのと同じ新鮮で美味しい魚の味を多くの人に届けようと日々奔走している。この団体の直営店が『かまえ直送活き粋船団のお店 だれやみ』。「だれやみ」とは大分県南部や宮崎県でよく使われる言葉で“晩酌”という意味だ。

現在、お店を切り盛りしている川野洋二さんも蒲江育ち。魚が大好きな方だ。
「小さい頃から、小さな魚をおろして食べたりして遊んでいました。魚は遊び相手でもあったんです(笑)。生まれも育ちも魚一色。だから、魚のことは身体が覚えているんです」。

自慢のブリを切り身にする

毎日変わる“今日のおすすめ”をはじめ、メニューには魚料理がずらりと並ぶ。魚は毎朝、蒲江の漁港から直送されたものだ。
「9割5分くらいの方は、まず刺身をたのまれますね。そして、煮物、天ぷら、焼き物…魚は調理法や技術によって、いくらでも美味しい料理ができるんです。例えば、魚によって天ぷらの衣のつけ方も変わります。また、アジが100匹いたら、全部違うので、同じ料理にするにしても一番いい調理法があるんです。いつも、どうやったら旬の魚を美味しくできるのかを考えてますね。お客さんからも、『どうしたら美味しく食べられますか?』とよく聞かれるので、隠さずにお答えしますよ。」

特製のタレに漬け込むのは20分ほど

そんな魚好きの川野さんが作る『りゅうきゅう』も、美味しくないはずはない。

「『りゅうきゅう』は簡単に言うと、魚の切り身をタレに漬けたもの。特に決まった形はありません。うちでは、『りゅうきゅう』に使う魚は、餌にも気をつかって丁寧に育てている蒲江のブリです。タレは醤油、酒、ミリン、ゴマ、ショウガを合わせたもの。甘辛くて濃いめの味付けです。ブリの切り身をタレに20分ほど漬けておき、仕上げにネギとゴマと海苔をふりかければできあがり。元々、『りゅうきゅう』は、漁師さんたちが作っていた保存食。難しい料理ではないんです。大分の人は食べ慣れてますし、大分で魚を扱っている飲食店ならほぼ100%メニューにあるはずです。『りゅうきゅう』という名前は、琉球の漁師さんから伝わった料理法だからと聞いています。当時、その料理法を表す言葉がなかったので、教えてくれた人の出身地の名前がついたのでしょうね。今、沖縄で『りゅうきゅう』と言っても、通じないようですが(笑)。同じような名前の由来で、『唐人干し』というのもあるんですよ」。

『唐人干し』とは、イワシの丸干しのこと。大分県南部や宮崎県北部などでそう呼ばれている。

切り身を盛り付け、薬味をのせる

さっそく一口。脂ののった蒲江のブリにタレがからんだ味は、焼酎が欲しくなる味わいだ。
「『りゅうきゅう』は焼酎のつまみにもなるし、アツアツのごはんの上にのせても最高ですね。夜だと〆に食べられる方が多いですが、とてもおなかがへっている方は途中でも、食べていらっしゃいますね。『りゅうきゅう』をごはんにのせれば『りゅうきゅう丼』ですが、蒲江など大分の県南では、タレに漬けこんだ魚をごはんにのせたものは、『あつめし』と呼んでいますね。これは、漁師さんたちが船の上で食べていたまかない料理です。カツオ出汁をかけて食べると美味しいですね」。

魚について教えてくださる川野さん。料理を作るだけではなく、魚の美味しさを多くの方に伝えることも大切な仕事なのだ。
「僕は一日3食、魚料理を食べていたいですね。魚一色がいいです(笑)。朝は干物、昼は丸干し、夜は唐揚げとか煮付けかな。蒲江では2世帯家族が多いから、夜はいつもそんな感じなんです。刺身はちょっとしたごちそうで、それが余ると『りゅうきゅう』というわけですね。みなさんに魚をたくさん食べていただきたいということで、ブリをフライにしたブリカツ、それをパンではさんだブリカツバーガーなども考えました。これからも、魚をたくさん食べていただけるように、魚に関する食育にも関わっていきたいですね」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

魚

餌にも気をつかって丁寧に育てている蒲江のブリ。お店の母体である『かまえ直送活き粋船団』のメンバーが育てたブリだ

タレと薬味

醤油、酒、ミリン、ゴマ、ショウガを合わせたもの。甘辛くて濃いめの味付けだ。薬味はネギ、ゴマなどで、キュウリも添えられる

作り方

ブリの切り身をタレに20分ほど漬けておき、仕上げにネギとゴマと海苔をふりかければできあがり

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かまえ直送活き粋船団のお店 だれやみ 蒲江から直送!漁港と同じ鮮度の魚を!

佐伯市蒲江漁港の漁師グループが、09年10月大分市内に出店。「とにかく新鮮な魚を食べていただきたい」と、毎日、蒲江からその日の朝揚がった旬の魚が届く。刺身、蒲江の海塩を使った塩焼きなど、鮮度抜群の魚の味は格別だ。毎日変わる『おすすめメニュー』を楽しみたい。『りゅうきゅう』は、餌にも気を使い丁寧に育てている蒲江のブリを使う。

『りゅうきゅう』480円。キュウリも添えられ色も鮮やか
『刺身の盛り合せ(3〜4人前)』1780円。鮮度がいいので身の締まりが最高だ
『ブリの熱めし』500円。このままいただいた後、出汁をかけていただくとさらに美味
天井には大漁旗が飾られている店内。黒板には“本日のおすすめ”が書かれている

かまえ直送活き粋船団のお店 だれやみ

住所 大分市府内町2-3-2 天神ビル1階
電話 097-533-8308
営業 11:00〜14:00/17:00〜23:00
休み 日曜
22席
カード 不可
駐車場 なし
URL http://www.ikiiki-saiki.jp/dareyami/
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