九州の味とともに 春

この料理の"味のキーワード"

具材

基本的な具材は、イカの身とゲソ、豚肉(三枚肉の場合が多い)、ニガナ。島豆腐やその他の野菜が入ることもある

味付け

イカスミが味付けのベースとなり、塩で味を整える。具材を煮る昆布カツオ出汁や、イカから出る旨味も味わいを作る要素だ

作り方

具材をほどよく煮込み、仕上げにイカスミを加える。ニガナなどの葉物野菜を最後に入れてできあがり

語り 海人居酒屋 一郎屋 仲宗根純夫の「イカスミ汁」

仲宗根純夫さん

宜野湾(ぎのわん)にある本店の姉妹店として、2012年7月にオープンした 『海人居酒屋 一郎屋』。ホウロウの看板などが飾られ、昭和レトロを感じる店内にある、大きなモニターに映し出されるのは古い沖縄の映像。流れているBGMは沖縄民謡。沖縄気分が満点の中で、魚介を使った料理をはじめとした沖縄料理が食べられる。店名に“海人”と名がつく通り、使われている魚はオーナー・宮城伴司さんが漁に出て水揚げしたもの。入口すぐに置かれたリヤカーには様々な魚が並べられており、魚を選んで料理をしていただくことも可能だ。

『イカスミ汁』も沖縄を代表する一品。店長・仲宗根純夫さんに作っていただいた。足の長さまで入れると、50cmを超えるイカが解体されていく。

白イカ。奥に見える黒い部分がスミ袋だ

「このイカは沖縄では白イカと呼んでいるアオリイカですね。イカスミが入っているスミ袋を破らないように取り出します。

ゲソの部分を手で外し、スミ袋を取り出す

スミ袋の外側と言いますか、膜のような部分はそこまで薄くはないので、多少さわっても大丈夫ですが、切り落とす時に包丁が入ってしまうと破けますので注意が必要です。スミ袋は1匹のイカに1つしかありませんからね(笑)。

イカをきれいに洗う

イカの内部にあるプラスチックのようなもの〜イカの甲(こう)という名称の軟骨〜や、硬い口の部分を外して身とゲソに分け、1cm幅に切る。切ったイカはお湯でゆでる。
「40分ほどゆでます。イカは、ゆで始めは一瞬かたくなりますが、じっくりと煮ると、またやわらかくなっていきます。いい出汁も出ますね」。

イカを煮た後、あらかじめ、ゆでておいた豚肉を入れる

イカがやわらかくなったら、あらかじめ、ゆでておいた豚肉を入れて少し煮る。そしてイカスミを加える。

イカスミを入れる

「トロトロとしたイカスミを入れてから10分ほど煮ます。塩と、かくし味の味噌をほんの少しだけ入れますが、味付けのベースはイカスミ。イカの出汁とイカスミから生まれる、イカそのものという料理ですね。豚肉は茹でただけで味付けはしていないので、豚肉にもイカスミの旨味が染み込むわけです」。

塩で味を調整し、小鍋に盛りつけて小松菜を加えてできあがり

小鍋に移し、最後に小松菜を入れて、そのままテーブルに運ばれる。小鍋の中の小松菜の緑色が鮮やか。海の香りに自然な塩味の汁の中にあるイカの身はやわらかく、甘味もある。豚肉の脂身は甘味も感じられる。汁は滋味あふれる味わいだ。
「新鮮な魚介が届くと料理人は嬉しいものです。もちろん、市場のものも新鮮ですが、うちはオーナーが直接持ってきますからね。『イカスミ汁』も、イカが新鮮な方が美味しいと思います。ですから『イカスミ汁』は、沖縄全体の中でも、離島とか港の近くでは特に食べられているのではないでしょうか。それからうちでは、イカを使ったメニューとして、エビマヨならぬイカマヨ、イカスミジューシー、イカのカルパッチョ、イカスミソバなども提供しています。沖縄の人は、イカが好きな気がしますね(笑)」。

オーナー・宮城伴司さんにもお話をいただいた。
「沖縄の海ではいろんなイカが釣れますよ。岸からも釣れるくらいです。その中で『イカスミ汁』によく使うイカは“白イカ”と呼ぶアオリイカです。これは体長50cm、重さ2kgくらいになりますね。赤イカというのもいて、これは体長1m、重さ5kgになることもありますよ。他にも、刺身で食べるセーイカなども獲れます。県外にもたくさん出荷していますので、沖縄のイカを知らないうちに食べられている方も多いと思いますよ」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

具材

イカ、豚肉、小松菜。イカはオーナー自ら水揚げした新鮮なもの。豚肉はあらかじめ下茹でしたものを使う

味付け

イカから取り出した、イカの旨味が凝縮されたイカスミが味付けのベース。少量の塩とかくし味の味噌で味を整える

作り方

切ったイカをお湯でじっくり煮ることでやわらかくする。イカの出汁が出たところで豚肉を入れ、イカスミを加える。最後に小松菜を添える

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海人居酒屋 一郎屋 オーナーが水揚げした魚を使う沖縄料理

オーナー・宮城伴司さんが漁に出て、水揚げした魚介を料理するのは店長・仲宗根純夫さん。入口すぐに置かれたリヤカーには様々な魚介が並べられており、魚を選んで好みの味に料理してもらうことも可能だ。ホウロウの看板などが飾られた昭和レトロを感じる店内で、『イカスミ汁』など新鮮な魚介を使った料理を中心とした沖縄料理が食べられる。

イカの旨味が最大限に引き出された『イカスミ汁』800円。
沖縄そばをイカなどと一緒にイカスミで炒めた『イカスミそばちゃんぷるー』680円
『イカのサラダ』580円
『イカとアボカドの春巻き』600円
広い空間にテーブルが並べられた空間は、毎夜、沖縄らしいにぎわいになる

海人居酒屋 一郎屋

住所 那覇市前島1-1-9
電話 098-860-9079
営業 15:33〜翌01:11
休み なし
80席
カード
駐車場 なし
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