下処理をした後、強い火で一気に焼きあげるが、カツオは火を通し過ぎると身が固くなってしまうので、どのくらい炙るかは重要
日南で好まれている甘口醤油が欠かせない。その他、酢や柑橘類の絞り汁など酸味がある材料も加えられる
タマネギ、ネギ、ニンニク、ショウガなどが一般的。刺身風に盛ったり、豪快に大皿に盛ったりされるが、総じて量はたっぷり
店の開店を祝う色紙には広島東洋カープの往年の名選手のサイン。昭和56年にオープンして30年以上がたった今も、日南市で春のキャンプを行なう広島東洋カープや西武ライオンズの選手がよく姿を見せるとのこと。店内にはサイン色紙がぎっしりだ。
「プロ野球のキャンプが始まり春の訪れが感じられる季節、日南の港に揚がるカツオは美味しさを増していきます」と店主・田中領三さん。田中さんが作る『カツオのタタキ』は、高知風の豪快な大皿料理だ。
「ゴーッと焼いて、バーッと切って、ガーッと食べる。それが一番ですね(笑)」
血合いを取り除くなどの下処理をしたカツオに塩をして手でたたく。「塩をすることによって、臭みがなくなるということと、火が中までいき過ぎないという効果もあります」。そして、網にのせ火力の強いバーナーで皮のほうから一気に焼いていく。次に逆側を焼いて全体に焼き目をつけたら氷水に入れてしめる。
しっかりと水を切ったら薄めに切る。「日南のカツオは脂がのっているので、私は薄めのほうが食べやすいと思っています」。
大皿に切り身を並べた後、上からタマネギスライス、大葉、ショウガ、ネギ、ニンニクみじん切り、ショウガみじん切り、レモンスライスなどの薬味をたっぷりのせる。薬味でカツオの姿が見えないほどだ。その上から自家製の甘めのタレをたっぷりと注ぐ。
「地元の方が美味しいと言ってくださるものを目指してきました。甘口の醤油を使うのもそのためです。その甘口の醤油に酢、みりんなど加えていますが、配合が重要ですね」。
全体をまぜて食べると、カツオの旨味を中心にした和風サラダのようでもある。全部食べ終わっても、お皿に残っているタレ…。「カツオや薬味の風味が残るそのタレも美味しいですから、タマネギを追加される方も多いですよ(笑)」。
特にキャンプシーズン、県外客も多いということだが、ご近所の方々もたくさん来てくれることに、日々感謝しているという田中さん。日南が大好きなのだそう。
「日南は漁師の町、やさしい方ばかりでいい町だと思います。大勢で来てたくさん飲む人が多いのもにぎやかでうれしいですね。『カツオのタタキ』は一年中食べられますが春が一番美味しい季節。港町・日南でぜひ味わっていただきたいですね」。
血合いを取り除くなどの下処理の後、塩をして手でたたく。網にのせてバーナーの大きな炎で、皮がついた部分から一気に焼き上げた後、氷水でしっかりしめる
醤油、酢、みりんなどを使った自家製で、「地元の方が好む」甘めの味わい。醤油も日南で作られている甘い醤油だ。このタレをたっぷりとかけていただく
タマネギスライス、大葉、ショウガ、ネギ、ニンニクみじん切り、ショウガみじん切り、レモンスライスなどの薬味がたっぷり。カツオが見えないほど
日南の港に揚がる新鮮な魚介類を使った料理や焼鳥メニューが豊富で、気軽に立ち寄ることができる居酒屋。魚の姿が見えないほど薬味をのせた『カツオのタタキ』は、皿にたっぷりと注がれた甘めの自家製タレでいただく。日南市でキャンプをはるプロ野球チームの広島や西武の選手もよく訪れる。カレー鍋も自慢のメニューだ。