皮付きのままほどよくゆで、皮をむいて適当な大きさに切る。小さい種類のサトイモが使われることも多いようだ
すりゴマ、味噌、砂糖、ミリンなどが基本的な調味料。シンプルだが、配合によって作り手ならではの味わいとなる
調味料でサトイモを和えればできあがり。和える時にサトイモの角が取れて、とろみと粘りが高まる
ステキな笑顔で迎えてくれたのは、店主・湯浅啓文さん。最初にお尋ねしたのは、ユニークな店名『しゃちん房』について。「私は末っ子なんですが、私の地元・宮崎市赤江(あかえ)では、末っ子のことを“しゃちん坊”と言うんですよ。小さい頃から名前ではなくて“しゃちん坊”とずっと呼ばれていましたね(笑)。それで、屋号を『しゃちん房』にしたんです。初めは何の店かわからない方も多かったみたいです(笑)」。
メニューに並ぶのは、自慢の『チキン南蛮』『地鶏の炭火焼』といった宮崎ならではの味や、一工夫した『チキン南蛮の生春巻』などのバラエティ豊かな創作料理だ。『ぬた芋』はメニューには書かれていないが、事前にお願いしておけば作ってもらえる一品。「『ぬた芋』は実家が農家なので、小さい頃によく食べていましたよ。春先によく食べていたような記憶があります。ばあちゃんがよく作っていましたね。収穫時期にはよく食卓にあがっていて、子どもの頃は『またか』という感じでした(笑)」。湯浅さんが子どもの頃から食べていた味がベースの『ぬた芋』作りを見せていただいた。
「まず、サトイモを皮付きのままゆでます。昔から『おちこ』と呼ばれる小さいサイズを使うことが多いですね。『おちこ』は大きなサトイモのまわりにある小さなもの。やわらかいし、ちょうどいい大きさだから切る必要がないんです。串がすっと入るまでゆでて、熱いうちに皮をむいておきます」。
調味料はすり鉢で準備する。「風味がよくなるように、毎度ゴマをすって、砂糖、醤油を加えます」。
「そこに、ゆでたサトイモの一部を入れてつぶすことで、さらにとろみや粘りを出します。全体がちょっとかためだったら、出汁を加えることもありますね」。
「残りのサトイモを入れて和えればできあがりです。皿に盛り付けたら黒ごまをふりかけます」。
つぶしたサトイモのとろみと粘り、後で加えたサトイモのホクホク感。ほどよい甘みと味噌の風味は食べ飽きない味わいだ。「見た目は地味ですが(笑)、いけるでしょう?できあがってすぐも美味しいのですが、しばらく時間が経って全体がなじんだものもおいしいですよ。子どもの頃はおやつみたいな感覚でしたが、焼酎のつまみにも最高ですね。『ぬた芋』は家庭料理ですから、うちでもそうですが、メニューに出している飲食店は珍しいと思います。食べたいという方はお電話くださいね。サトイモは『ぬた芋』の他に、ゆでたものを塩だけで食べたり、コロッケにしたりしても美味しいですね」。
繁華街から少し離れているので、地元のお客さんがほとんどで、家族連れも多いと言う湯浅さん。「もちろん観光の方も大歓迎です。せっかく来ていただけるなら、『ぬた芋』もですが、ぜひチキン南蛮を試してくださいね!(笑)」。
『おちこ』と呼ばれる小さいサイズのサトイモを使うことが多い。皮付きのままほどよくゆで、熱いうちに皮をむいておく
風味がよくなるように、毎度ゴマをすり鉢ですり、そこに砂糖、醤油を加えて味を整える
調味料にゆでたサトイモの一部をつぶしたものを加えることで、さらにとろみや粘りを出す。残りのサトイモを入れて和える
自慢の『チキン南蛮』『地鶏の炭火焼』といった宮崎ならではの味や、一工夫した『チキン南蛮の生春巻』などバラエティ豊かな創作料理を食べられる居酒屋。『ぬた芋』は、ゆでたサトイモの一部をすりつぶして加えることで、より豊かなとろみと粘りを感じさせる仕上がり。焼酎が進む食べ飽きない味わいの一品だ。
住所 | 宮崎市大坪町西六月2199-1 |
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電話 | 0985-50-8122 |
営業 | 11:00~OS13:30、17:30〜OS22:30 |
休み | 不定 |
席 | 60席 |
カード | 不可 |
駐車場 | なし |
URL | http://www.syachinbou.com |