九州の味とともに 春

この料理の"味のキーワード"

肉

あか牛の特徴は、赤身肉の美味しさ。『あか牛丼』には、それがより楽しめるモモ肉が使われることが多いようだ

タレ

ごはんだけにかけるタレ、肉にからめるタレと、各店が工夫を凝らしているが、肉の旨味を引き立てることを大事にしている

作り方

水菜などの野菜をのせたごはんの上に、特製タレをからめてレアな状態に焼き上げた肉を並べ、温泉玉子をのせる。ワサビなどを添えできあがり

語り よかよか亭 あか牛館 宮地店 笹原庸幸の「あか牛丼」

笹原庸幸(ささはらのぶゆき)さん

自社牧場であか牛の肥育を手がけ精肉店も営む『三協グループ』は熊本県内を中心に和洋スタイルの異なる10数店舗を展開しており、『よかよか亭 あか牛館 宮地店』は“焼肉ベースの定食屋”という位置付けの直営店。使われているあか牛はすべて特別な飼料を与えて育てる自社ブランドの『甲誠牛(こうせいぎゅう)』だ。「私たちの始まりは精肉店でしたので、元々は地元のみなさんに『あか牛』を食べていただきたい、美味しさを知っていただきたいと飲食店を始めたのです。『あか牛丼』も阿蘇の町おこしとして始まったものですね。当店は5年ほど前(2013年11月)にオープンいたしましたが、今ではあか牛は広く知られるようになり、『あか牛丼』などのあか牛料理が阿蘇全体に広まりましたね。今では県外のお客様もとても多くなりました」と語ってくださる店長・笹原庸幸さん。やはり、一番人気は『あか牛丼』とのことで、作り方を見せていただいた。

『あか牛丼』に使われるのは『甲誠牛』のモモ肉。注文が入ると軽く塩コショウをふりかけ、フライパンに牛脂をひいて両面を焼き、酒を入れ、特製のタレを回し入れる。

モモ肉に塩コショウをする
フライパンに牛脂をひき、肉の両面を軽く焼く

「モモ肉は焼きすぎるとかたくなってしまうので、表面を軽く焼いてレアに仕上げるという感じですね。そしてタレをからめて軽く炒め煮するような感じで味を染み込ませています」。

酒と特製タレをかける
炒め煮するようにして味をしみこませる

肉をフライパンから取り出したらごはんの準備。丼にごはんを盛り付け、肉にかけたタレとは別のタレをごはんにかける。そこにあか牛のしぐれ煮と水菜をのせる。

丼にごはんを盛り、専用のタレをかける。あか牛のしぐれ煮と水菜をのせる

さらに肉をスライスしてのせていく。フライパンに残ったタレを肉の表面にはけで塗り、わさびと温泉玉子を添えればできあがりだ。

肉をスライスしてごはんの上にのせていく
肉の表面に刷毛で特製タレを塗る
わさびと温泉玉子を添える

「甘辛く炊いた自家製のしぐれ煮は、これだけでもつまみになりますよ(笑)。しぐれ煮だけをテイクアウトしたいという方もいらっしゃいますね」。目の前に登場した『あか牛丼』、どこから食べるか考えていると…。「レアなお肉にはわさびが合いますから、まずは肉にわさびをのせてごはんと一緒にどうぞ。あとはお好きなように豪快に! しぐれ煮は合間に食べると味が変わっていいかもしれません」。

口にするとやわらかい肉の食感と、肉の味の濃さに驚く。 「あか牛は赤身本来の美味しさを感じられる肉ですね。脂が少なくさっぱりしていまので、しつこくなくて食べやすいと思います。女性は『量が多いかな』と感じる方も多いようですが、軽く食べられてしまいます(笑)。幅広い年齢層にも受け入れられていますね。あか牛は脂に甘みがある黒毛和牛とは違う味わいをもつ和牛ですね。特に自社ブランドである『甲誠牛』は最高です。私も大好きで、焼肉も美味しいですよ!」。その他、あか牛を使ったサイコロステーキ、ハンバーグなども人気メニューだ。『たかなめし』『だご汁』など昔から阿蘇の郷土料理は多いが、『あか牛丼』も阿蘇の味として定着してきたことを感じているという笹原さん。「『阿蘇に来たらあか牛をたべないと!』という方がとても増えていると感じています。あか牛は阿蘇の名物として本当に有名になりましたね。私たちも期待に応えられるように美味しいあか牛料理を提供していきたいと思っています」。

『あか牛丼』を味わった後、お店の近くにある農場を訪ねた。お話してくださるのは『三協グループ』技術管理長の北里大成(きたざとたいせい)さんだ。「あか牛の繁殖牛(母牛)は阿蘇の草原で放牧しています。太陽の光を浴び、健康に育った母牛から生まれた子牛は放牧された後、こちらの農場で肥育しています。牧草や藁の他に、私たちはビール粕を与えていますよ。ビール粕を加えることで、腸が活性化されて内臓が強くなり、食欲増進とともに健康な身体をつくっていくんです。それが私たちのブランド牛である『甲誠牛』ですね」。

あか牛のお話をしてくださる北里さん

牛舎にも案内していただいたが、あか牛たちは静かだ。「あか牛はとてもおとなしいんですよ。阿蘇という地で育っているのもいいようですね」。北里さんたちの愛情が注がれ、大切に育てられる『甲誠牛』。先ほどの『あか牛丼』が美味しい理由だ。

1頭あたり、飼料の量は1日に藁を6〜8kg、穀物を12kgほど。1日2回に分けて与えるとのこと

この料理人こだわりの「味のキーワード」

肉

自社牧場で飼料等に工夫を凝らして肥育する自社ブランドのあか牛『甲誠牛』のモモ肉を使う

タレ

肉に使うのが醤油ベースの特製タレ(写真)。丼に盛ったごはんには、それとは違う特製タレをふりかけている

作り方

もも肉の表面を軽く焼いた後、特製タレをからめて焼く。別のタレをかけたごはんの上にスライスした肉をのせて特製タレを塗り、温泉卵とわさびを添える

このページを共有・ブックマークする

よかよか亭 あか牛館 宮地店 自社ブランドのあか牛を!

自社牧場であか牛の肥育を手がけ精肉店も営む『三協グループ』の直営店。飼料等に工夫を凝らした自社ブランドの『甲誠牛』を、『あか牛丼』をはじめ、焼肉、ステーキ、ハンバーグなどで提供している。『あか牛丼』はレアな焼き加減でやわらかなモモ肉に特製タレがからみ、わさびと合わせると肉の味がよくわかる。添えられるあか牛のしぐれ煮も美味。

味噌汁、漬物が付く『あか牛丼』1944円
『あか牛サイコロステーキセット』2160円。特製ジャポネソースが肉の味を引き立てる
店内はすべて個室(14室)なので、落ち着いて食事ができる
お店は、国道57号線沿い、JR宮地駅近くにある

よかよか亭 あか牛館 宮地店

住所 阿蘇市一の宮町宮地2395-1
電話 0967-22-3330
営業 11:00〜OS20:30
休み なし
125席
カード
駐車場 あり
URL https://www.yokayoka-miyazi.com
※記載した内容は2019年3月25日現在のものです。
お店情報をプリントする