九州の味とともに 春

この料理の"味のキーワード"

高菜漬け

巻きやすいように葉の広い高菜漬けを使う。水で5時間ほど塩抜きした後、巻き寿司用の海苔の大きさにカットする

具材

中に巻く具材は、山芋、納豆、ネギ。納豆が苦手な人には、大葉・かつお節・梅肉・山芋を使った『梅高菜まき』もある

巻き方

巻きすの上にカットした高菜漬けをのせ、すし飯を具材がのる中央を少し低くして広げ、具材をのせて巻く。しっかりと巻くのがコツ

語り 銀寿し 中川喜正の「たか菜巻」

中川喜正さん

「小さい頃から『たか菜巻』や納豆巻きを食べていましたが、その頃はあまり好きではなかったですね(笑)」。そうお話してくださるのは昭和32年に創業した『銀寿し』の2代目店主・中川喜正なかがわよしまささん。魚介を使った寿司はもちろん、日田名物の『たか菜巻』や地元の旬の野菜を楽しめる『ひたん寿し』(『たか菜巻』を中心に、地元の旬の野菜や果実を使ったヘルシーな寿司セット)など、日田ならではの寿司を食べられるお店だ。

『たか菜巻』は海苔の代わりに高菜漬けを使う巻き寿司。高菜漬けのお話からうかがった。
「日田でも美味しい高菜は穫れますが、『たか菜巻』に使う高菜は葉が大きい福岡の瀬高産のものが使いやすいですね。九州では阿蘇地方の『阿蘇たかな』もよく知られていますが、茎の部分が厚くコリコリ感が強いので、普通にお漬け物として食べたり、油炒めにするのが美味しいようです。『たか菜巻』作りの下ごしらえとして、高菜漬けは、5時間ほど水に漬けて塩抜きしておきます」。

塩抜きした高菜漬けを持ち上げる中川さん

そして、『たか菜巻』を巻いていただいた。
「高菜漬けを広げて、通常の巻き寿司に使う海苔と同じ大きさに切ります。

高菜漬けを巻き寿司に使う海苔と同じ大きさにカットする

そこにすし飯をのせますが、具材をのせる中央はやや低くしておきます。

すし飯を広げる

刻んだネギとよく混ぜて粘りを出した納豆をのせ、山芋を置き、端を押さえながらしっかりと巻きます。

中の具材をのせていく

普通の巻き寿司と違って、なかなか難しいんですよ。巻き寿司は、時間が経つと自然と締まっていくのですが、高菜漬けで巻くと締まっていかないので、しっかり力を込めて全力で巻く必要があります。たくさん作らないといけない時は大変です(笑)」。

力を込めてしっかりと巻く

巻かれた『たか菜巻』を見ると、高菜漬けの葉の割合が多い部分と、茎の割合が多い部分がある。

巻き上がったら8等分してできあがり

「やわらかい葉のほうが好きという方もいらっしゃいますし、歯応えがいい茎のほうが好きだという方もいらっしゃいますね。高菜漬けの塩味もありますが、醤油を少しつけていただいても美味しいですよ」。

切っていただいたものを口に運ぶと、高菜漬けと具材の食感や味わいが口の中で一体となる。甘口の醤油もよく合う。

「高菜漬けや具材の味が口の中で重なりあうように、一口で食べていただくのが美味しいと思います。高菜漬けがうまく噛み切れないと、納豆が飛び出してしまいますからね(笑)。セットメニューには細めに巻いた『たか菜巻』を出しています。言っていただければ食べやすいように細めに巻くこともできますよ」。また、納豆嫌いの方には、具材に大葉・かつお節・梅肉・山芋を使った『梅高菜まき』もある。

「高菜漬けを海苔と同じ大きさにする時に切った残りの部分は、刻んで小鉢にしたり、油炒めにしています。油炒めを刻んで細巻きしたものもありますよ」。

『ひたん寿し』(『銀寿し』でのメニュー名は『天領華やか御膳』)も作っていただいた。ネタは季節によって一部異なるが、取材時はエリンギ、トマト、タマネギ、シイタケ、大根、小松菜、イチゴ、白菜、ドライ梨、パプリカ、エノキ、チンゲンサイなど全16種類の華やかな寿司が並んだ。『ひたん寿し』は、日田近郊の旬な野菜などを使って楽しんでもらいたいと、平成22年に日田の街で生まれた、市内の寿司店で食べられる寿司セットだ。
「『たか菜巻』は昭和40年頃に日田で始まった寿司ですが、『ひたん寿し』を始めてから、より広く知られるようになってきました。色合いは地味ですが、『たか菜巻』は『ひたん寿し』のメインなんです(笑)」。
野菜中心の『ひたん寿し』は女性や海外の方に人気が高いとのこと。最近では健康を考える男性にもファンが多いのだそうだ。

中川さんはお店で『たか菜巻』を作る他、地元の高校に作り方を教えにも行かれている。「思ったよりも巻き方が難しいことに発見もあるようです。みなさん、楽しくやられていますよ。『たか菜巻』は日田の味、日田の自慢ですから、より多くの方に伝えていきたいですね」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

高菜漬け

巻きやすいように葉の広い高菜漬けを使う。水で5時間ほど塩抜きした後、巻き寿司用の海苔と同じ大きさにカットする

具材

中に巻く具材は、山芋、納豆、ネギ。納豆が苦手な人には、大葉・かつお節・梅肉・山芋を使った『梅高菜まき』もある

巻き方

巻きすの上にカットした高菜漬けをのせ、すし飯を具材がのる中央を少し低くして広げ、具材をのせて巻く。しっかりと巻くのがコツ

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銀寿し 華やかでヘルシーな『ひたん寿し』を

昭和32年創業。魚介を使った寿司はもちろん、日田名物の『たか菜巻』や地元の野菜を楽しめる『ひたん寿し』など日田ならではの寿司を食べられる。高菜漬けのほどよい塩加減が具材とすし飯を包み込み、甘めの醤油を少しつけて食べても美味。納豆が苦手な方には、山芋・かつお節・大葉・梅肉を高菜漬けで巻いた『梅高菜まき』もある。

1本を8等分した『タカナまき』1人前860円
『天領華やか御膳(ひたん寿し)』1500円。『たか菜巻』を中心に、地元の野菜などを使った十数種類の華やかな寿司が並ぶ
1階のカウンター席やテーブル席に加え、座敷や2階の大広間もある
お店はJR日田駅近く、街の中心部に位置する

銀寿し

住所 日田市三本松1-12-40
電話 0973-22-3333
営業 11:00〜21:00
休み 不定
130席
カード 不可
駐車場 あり
※記載した内容は2018年3月23日現在のものです。
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