使う部位、スライスする厚さで味わいも違う。より美しく見せるため、盛りつけ方にも各店の工夫がある
肉をくぐらせる出汁(スープ)は、一般的には昆布出汁が多いが、ここにも各店の個性が表れる
何もつけなくても美味しいのが鹿児島の黒豚。黒豚そのものの味を伝えるため、各店は特製のタレを準備している
趣深いアプローチから店内へ。するとすぐに目に入るのが、豚肉や野菜が美しく盛りつけられた皿がタワーのように垂直方向に収納されたガラス張りの冷蔵庫。
「これから食べていただくものをまず見ていただこうという想いからです。私たちが目指している“ご注文をいただいてから5分以内にお料理を提供する”ということにも役立っていますね」。
丁寧な言葉の中に、凛とした力強さを感じるのが店長・井原弘之さんだ。皿にのっている豚肉は『かごしま黒豚』のバラ肉。上品な旨味を持ちやわらかな赤身(肉の部分)と、甘味さえも感じる白身(脂の部分)が特徴だ。スライスされて真ん中が高くなるように盛りつけられる。
全国に10店舗を構える 『いちにいさん』の母体は『そば茶屋 吹上庵』。その技と経験を生かした“そばつゆ”でいただく、“そばつゆ仕立ての黒豚しゃぶしゃぶ”がこちらの自慢の一品だ。
「鹿児島の生醤油とザラメ、みりんを合わせて熟成させた本返し醤油を、一番出汁と追いガツオで豊かな香りに仕上げたそばつゆです。黒豚の旨味を引き立てますね。できあがった後、だんだんと味わいが落ちてきますので、時間が経ったものは使いません。一日に何度も作らなければなりません」。
薬味は白ネギと柚子こしょう。この2つの薬味にも、そばつゆと変わらない“美味しい豚しゃぶのために”という想いがこめられている。
「白ネギは菱刈(ひしかり)産の金山ネギなどを使っています。輪の部分を壊さないように丁寧に切った後、手でほぐします。その後、流水でさらすことにより、ネギ臭さが消え、甘味が増します。ただ、さらしすぎると旨味がなくなってしまうので、その時のネギの状態でさらす時間は変えなければなりません。柚子こしょうは、ゆずの皮が8割、唐辛子が2割の特製です。ゆずの割合が多いですから、辛さは控えめで香りの高い柚子こしょうですね」。
井原さんに美味しい食べ方を教えていただく。しゃぶしゃぶをする鍋の中に入っているのは、一見、透明に見えるがそば湯だ。少し口にしてみると、とてもやわらかだった。そば湯が沸騰してきたら肉をいただく
「箸で肉を持ち、しゃぶしゃぶしゃぶと、3回ほどくぐらします。白身が縮み、赤身がうすいピンク色になったら食べ頃です。無菌豚ですので、牛しゃぶと同じ感覚でどうぞ」。
そばつゆに入れて白ネギと一緒にいただけば、黒豚の旨味そのもの輪郭がはっきりと伝わってくる。ゆず胡椒を加えれば香りも華やかに。さっぱりとした味わいは、いくらでも食べれそう。そばつゆも白ネギもおかわり自由だ。
「〆は生そばをどうぞ」。
豚肉、野菜類を楽しんだ後の〆は、石臼でそばの実の真ん中だけをひいた上品な更科そば。黒豚と野菜類の旨味も加わったそばつゆの中で、そばの甘味が広がる。
『いちにいさん』の黒豚しゃぶしゃぶ。その味わいは、『かごしま黒豚』とそばつゆのコラボレーションから生まれるのだ。
『かごしま黒豚』のバラ肉を使用。赤身(肉の部分)と白身(脂身)のバランスがよく、食べると2つの旨味が重なる。皿の中央が高くなるように盛りつけされる
スライスした豚肉をくぐらせるのは、そば湯。口あたりがやわらかく、ほのかな甘味とそばの風味を持つ。豚肉にからみつき、その味をよりまろやかにする
そばつゆの中に入れて、つゆも一緒にいただく。さっぱりとした味わいで、豚肉の旨味が際立つ。薬味は、水にさらし甘味が増した白ネギと香り高い柚子こしょう
そばつゆ仕立ての『黒豚しゃぶ』は、白ネギ・特製柚子こしょうと一緒に。黒豚本来の旨さが際立つ。コラーゲンたっぷりでヘルシーな蒸ししゃぶ、バラかつ、豚足から揚げなどの黒豚料理も豊富にそろう。その他、落ち着いた和風の店内では、きびなごやさつま揚げといった鹿児島ならではの郷土の味もいただける。
住所 | 鹿児島市下荒田1-21-24 |
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電話 | 099-285-8123 |
営業 | 11:00〜L.O.22:00 |
休み | なし |
席 | 126席 |
カード | 可 |
駐車場 | あり |
URL | http://ichiniisan.jp/ |