固めに炊いたごはんに砂糖、酢などを加えて味付けする。砂糖の量は一般的な寿司のシャリよりも多く、味わいは甘めだ
煮付けたゴボウ・シイタケ・カンピョウ・ハンペン(カマボコ)・錦糸卵が、現在作られている『大村寿司』の基本的な具材
もろぶたの中でシャリ、具材、シャリ、具材と重ねていき、ふたをして押さえる。食べる前に5cm角くらいに切り分ける
国道34号線を走っていると『大村ずし』の大きな看板が目に入る。売店とレストランが並ぶ『大村ずし ぎおん』の看板だ。
「『大村寿司』は色もきれいだし、作っていてとても楽しいですね。見た目も華やかだからでしょうか、春、桜の季節は特に忙しくなります」。
大村寿司職人・谷口初代さんは、日々『大村寿司』作りに精を出されている。
厨房におじゃました。
「シャリは、固めに炊いたごはんに、酢、砂糖、少量の塩を合わせたものです。砂糖をたくさん使うので、『大村寿司』のシャリは甘めですね。握り寿司のシャリに使う量の倍くらいでしょうか。私が作っている『大村寿司』の砂糖の量は、昔ながらのものに比べると少し控えめです(笑)。大体、米一升に対してうちでは250gくらい。大村の家庭の味としては300g以上入れたりもしますからね。
シャリを、もろぶたに敷き詰めてゴマを散らし、味付けしたゴボウを散らします。
その上に、もう一度シャリを敷き詰め、ピンク色のデンブ、味付けしたシイタケとカンピョウをのせます」。
こちらのもろぶたは通常の箱状ではなく、広めの底板の上に外枠をのせるというもの。押し固めた後、取り出しやすいように作られたものだ。
さて、シャリの上にのせられる具材は既に用意されていたのだが、下ごしらえには手間がかかっているとのこと。
「具材を準備するのは、けっこう大変なんです。切って、炊いて、一晩寝かせたりしながら、3回煮ることで、しっかりと味をつけているんですよ」。
2段目のシャリの上には、さらにハンペン(カマボコ)ものせられるが、ここにも一手間が加えられる。
「ハンペンは、シャリにのせる前に、煮切った甘酢に一度通します。このほうが美味しいですからね」。
最後に錦糸卵が広げられ、ふたをして重しをのせる。
「重しをして7〜8分したらできあがりです。押さえることで、全体が馴染みますね」。
できあがったら、木製の定規のようなもの2つを使って5cm角くらいに切り分ける。
「この定規みたいな木を、私たちは『尺(しゃく)』と呼んでいます。今日使ったもろぶたは20コ用で、一番小さいものですが、40コ用、80コ用、100コ用もあります。通常は40コ用をよく使いますね。一度にたくさん作るのではなく、40コずつ何度も作ることで、できるだけ、できたてのものを食べていただきたいからです」。
シャリの甘さの中に広がるそれぞれの具材の味わい。ほどよく押し固められたシャリの食感もいい具合だ。
谷口さんが作る『大村寿司』をそのまま冷凍した『冷凍大村ずし』は全国各地から取り寄せることが可能だ。
「6~8月のお中元の時期と11~12月のお歳暮の時期も、おかげさまで忙しくやらせていただいています。大村出身の方がご注文くださったり、一度食べてくださった方がまたご注文くださったり…大村の味を日本中にお届けできるのはうれしい事ですね」。
固めに炊いたごはんに、酢、砂糖、少量の塩を入れ、シャリを作る。米一升に対して250gくらいの砂糖を使い、甘めに仕上げる
ゴボウ、シイタケ、カンピョウは3度煮込みしっかりと味をつける。カマボコは、煮切った甘酢に通してから使う。デンブ、錦糸卵も使用
シャリと具材を重ねたら、重しをして7〜8分おいて全体を馴染ませる。出来立てを提供するため、1回に40コずつ作ることが多い
国道34号線沿いにある『大村寿司』の店で、売店とレストランが併設されている。ゴボウ、シイタケといった具材は3度煮ることでしっかりと味をつけ、カマボコも、煮切った甘酢に一度通してからシャリにのせる。そのような手間が加えられた具材の深い味わいが、シャリの甘さの中に広がる。全国各地から取寄せることができる『冷凍大村ずし』も人気の品。
住所 | 大村市西本町581-2 |
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電話 | 0957-54-6330 |
営業 | 11:00~15:00(OS14:00) 17:00~22:00(OS21:00) |
定休日 | 水曜日 |
席 | テーブル26席、カウンター5席、 座敷14席、個室10名 |
カード | 不可 |
駐車場 | 13台(大型バス駐車可) |
URL | https://gion-omura.com |