ニンニクの葉と梅干しを合わせる
醤油ベースで甘辛いフグの煮付け
島原湾ではトラフグ、ナシフグ、コモンフグ、ヒガンフグなど、様々な種類のフグが一年を通して水揚げされる。皮をはいでぶつ切りにした骨つきのフグの身を、ニンニクの葉(島原ではフクシュと呼ばれる)、タケノコ、梅干し、酒、醤油、ミリンなどと合わせて煮付けた料理が『がねだき』。刺身でも食べられる新鮮なフグの身をあえて煮付けるという、ぜいたくな一品でもある。同じようにフグの身を使った『がんばの湯引き』とともに、島原を代表する郷土料理だ。一年中食べられるが、地元では春先の味として親しまれている。かつて、春先にはトラフグがよく獲れていたからで、家庭でもよく食べられていた。
島原地方で“ガネ”とはカニを表す言葉。しかし、『がねだき』はカニの料理ではない。調理中、鍋の中でブクブクと泡が立つ様子が、カニが泡を吹く姿に似ていることから、『がねだき』というユニークな名前がついたと言われている。プリプリの身がまとうのは、ニンニクの香りの中に広がる醤油ベースの甘辛さ。梅干しのほどよい酸味と塩味も重なった味わいは、焼酎のつまみに最高の一品だ。余った煮汁はごはんにかけて食べたり、島原特産の素麺を合わせて食べることもあるようだ。
島原地方で『がね』と呼ばれるカニは、ワタリガニのこと。雲仙市・多比良(たいら)港の沖で獲れるものは『たいらがね』と呼ばれ、塩ゆでなどにして食べられている。海岸線を走る国道251号線沿いには“がね料理”の看板を掲げる飲食店も多い。
■がんば
『龕(がん)』は棺桶などを意味する古くから伝わる言葉。“命を落とすかもしれないが、龕ば(棺桶を)横に置いてでも食べたい”ということから、長崎県島原地区では近郊で獲れる様々なフグを総称して、昔から『がんば』と呼んでいる。
ぶつ切りにして湯通ししたフグの身、ニンニクの葉、梅干しが基本的な具材。タケノコ、唐辛子などが使われることも多い
調味料の基本は酒、醤油、ミリン。砂糖を合わせることも多い。梅干しの酸味と塩味も味わいを決める要素だ
フグの身を酒で煮込んだ後、調味料を加え、その他の具材とともにほどよく煮付ける。最後に唐辛子がちらされることもある
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