エビとレタスとマヨネーズ
サラダ感覚の巻き寿司
『レタス巻き』は、宮崎市内で昭和41年に開店した老舗寿司店『一平』の創業者・村岡正二さんが、友人である音楽家・平尾昌晃さんのために考えたのが始まり。「美味しく野菜が食べられてヘルシーなお寿司を作ろう」と試行錯誤を重ねて生まれた。茹でたエビ、レタス、マヨネーズを具材とした巻き寿司だ。
酢飯を海苔の上に広げ、レタス、下茹でしたエビ、マヨネーズをのせて巻く。レタスの食感を損なわないように、ほどよい力加減で巻くことがポイントのようだ。レタスのシャキシャキ感とエビのプリプリ感に加わるマヨネーズの風味…それらを甘酸っぱい酢飯とパリパリの海苔が包み込む。宮崎では一般的な、少し甘めの醤油をつけても美味しい。マヨネーズを使うなど和洋折衷の味わいを持つ巻き寿司は、登場時には斬新なものであったことに間違いない。現在では、『サラダ巻き』と呼ばれるサラダ感覚の巻き寿司が全国に普及しているが、その原点は『レタス巻き』なのだ。
宮崎では寿司屋の他、居酒屋やうどん店でも提供している店が多い『レタス巻き』。居酒屋では、焼酎のつまみとして食べられていることもあるようだ。
『レタス巻き』に欠かせないレタスの生産は長野県がよく知られているが、宮崎県内でも栽培されている。宮崎市の北西に位置する綾町で、レタス他の農産物を栽培されている郡文則(こおりふみのり)さんを訪ねた。
綾町は日本最大級の照葉樹林が広がり、2012年には『ユネスコ エコパーク』にも登録された自然豊かな町。1970年代から町をあげて有機農業に取り組んでいることでも知られている。郡さんは2004年から無農薬有機農業を手がけている。
●綾町の気候とレタス
「綾町は内陸にあり寒暖の差が激しいので甘くてシャキシャキしたレタスが育ちますね。出荷は12〜5月で夏場は穫れません。大体、種をまいて1カ月ほどで収穫です」。
●レタス畑と土
「様々な作物を育てていますが、レタスはよく知られている玉レタス、サニーレタスなど5種類です。玉レタスの内側はだんだんと巻いてきて(まるくなって)しっかりとした“タマ”になります。その巻き具合で収穫の時期をみるんですよ。うちの畑にはモグラがたくさんいます。モグラがいるということはミミズがいるということ。それは土がいいからなんです。
いい土をつくるのに3年はかかりますね。いい土で育つレタスだから甘くて美味しいのです。その他の野菜も美味しいですから、野生動物がよくきます。鹿はニンジンを、いのししは芋類を食べに来ます(笑)。でも、レタスは食べにこないんですよ。レタスを切ると切り口から白い液が出て、それが害虫除けになっていますが、動物も苦手なのかもしれないですね」。
●レタスの食べ方
「レタスも含め、野菜はお湯で洗うとシャキッとしますよ。食べ方は味噌汁にいれたり、キムチであえたり…。さしみ醤油をつけて食べても美味しいですね。チャーハンに入れたりもしますが、やっぱり生が一番!レタスは生で食べるものです。だからこそ、安全性が大事です。続けること、日々の努力は大変ですが、子どもたちが安心して食べられる甘いレタスを育てていきたいですね。私もレタスを毎日たくさん食べています。おなかが減ったら、畑で生でかじったりもしますよ(笑)。その効果もあるのかもしれませんが、全然疲れませんし元気です(笑)」。
レタス畑と、みずみずしい玉レタス。レタスをはじめ有機JAS認定を受けている郡さんの野菜は《綾手づくりほんものセンター》で買うことができる。
■綾手づくりほんものセンター
住所/宮崎県東諸県郡綾町南俣515
電話/0985-77-0777
ややかために炊いたごはんを砂糖、酢などで味付けする。一般的な巻き寿司に使う酢飯と同じだ
中に巻く具材はレタス、下茹でしたエビのみ。レタスの食感が重要なので、洗い方やちぎり方を各店が工夫している
海苔の上に酢飯を広げ、レタス、エビ、マヨネーズをのせて巻く。レタスのシャキシャキ感を残すため、ほどよい力で巻く
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