材料となるカニは『シオマネキ』、『アリアケガニ』など。地域によって使われるカニに違いがあるようだ
味付けに使われる調味料は塩、唐辛子(地元ではコショウと呼ばれることが多い)が中心。醤油を少し加えることもある
カニを調味料と合わせて丸ごとすりつぶし、少しねかせればできあがり。作り手のすりつぶし方によって食感が異なる
『串料理 串勝』は、すぐ横に松原川が流れる佐嘉神社の裏手という静かな場所で、1975年から愛され続けている。中に入って左側は串揚げ料理のみを出すカウンターだけのスペース、右側は串焼き・串揚げ・一品料理などが食べられる居酒屋スペース。串揚げカウンターの内側で、先代からの味を守り続けているのは二代目の宮地悠喜さんだ。
「ミニトマトをくりぬいて中にホワイトソースを入れて揚げる『トマトのホワイトソース』や、有明海産の海苔を使う『納豆串巻き』などをはじめ、オリジナルの串揚げが豊富です。父の代から長年続けているお店ですから、しっかりとお店も味も守っていきたいですね」。
『今月のおすすめ串揚げ』、定番の『串焼き・焼鳥』といったページがあるメニューの中には、『有明海の幸』のコーナーもある。『くちぞこ(有明海産のシタビラメ)の煮付け』、『むつごろう』、『ワラスボ』、『ウミタケ』など、有明海ならではの珍味が並ぶ。それぞれに特徴のある味わいも、開店以来大切にされているもの。『がん漬け』もメニューに書かれている一品だ。
「『がん漬け』が作られているのは春から夏にかけてのようですが、今では年中食べることができます。知らない方には、『がん漬けはカニを塩漬けしたもの、佐賀の郷土料理です』とご説明しています。塩味が強いので、うちではそれだけを小鉢に入れて、つまみとしてお出ししています。珍しいものなので、県外の方はよく注文されますね。お客さんからは『塩辛いね〜。つまみにぴったりの塩味だね、焼酎が何杯でも飲めるね』という声がよく聞こえてきますよ(笑)」。
カリッとしたカニの食感、風味と塩味は他にはないもの。少しずつ食べながら焼酎を飲めば、焼酎の甘味がより引き立つ。
旬の素材を使った串揚げ、有明海の珍味…佐賀の豊かさを感じられるお店だ。
1975年創業。中に入って左側はカウンターのみの串揚げ料理専門スペース、右側は串焼き・串揚げ・一品料理などが食べられる居酒屋スペースだ。佐賀の旬の食材を使い、一本一本手間をかけて下ごしらえされる串揚げは味噌ソース、タルタルソース、抹茶塩、ポン酢で。『がん漬け』、『くちぞこ』といった有明海ならではの珍味も楽しめる。