九州の味とともに 夏

この料理の"味のキーワード"

刺身

新鮮なきびなごの味が一番わかるのは刺身。手でさばいた刺身を、各店独自の酢味噌などでいただく

まるごとの食べ方

骨もやわらかく、内臓に苦みがないきびなごは天ぷらや塩焼きにしてまるごと食べられることも多い

自慢の一品

阿久根エリアで提供されるようになった『キビスキ』など、各店が“きびなごの美味しさを伝えたい”と作る自慢の料理もある

語り 道の駅 阿久根 レストラン 平野志穂美さんの「きびなご」

平野志穂美さん

国道3号線沿いにある『道の駅 阿久根』。目の前に広がるのは東シナ海だ。
「なぎの時は海の中の岩が見えるほど、水がきれいで透き通っているんですよ」とお話してくださるのは平野志穂美さん。

遠くに甑島(こしきじま)も見えるこの界隈の海はきびなごがよく獲れる場所。ここからきびなごの姿も見えるのだろうか?
「アオリイカの姿は見えたりもしますが、残念ながらきびなごは見えないですね(笑)」。

刺身にする時は、まずハサミで頭としっぽを切る

きびなごが海で泳ぐ姿を見ることはできないが、レストランでは新鮮なきびなご料理をいただくことができる。今回ご紹介していただいたのは、きびなご刺身、塩焼き、きびすきだ。

ハサミで腹を裂いて内臓を取りよく洗う
指で開いて背骨を取り除く

●きびなご刺身
厨房でさばくところを見せていただいた。
「ハサミで頭としっぽを落としてから、お腹にハサミを入れてわたを取ります。中をきれいに洗った後、爪を身に平行に入れて、尾の方へ裂いて骨を取るんです。新鮮なきびなごはとても美味しいのですが、骨が取りにくいですね(笑)。身を開いてくるっと巻いて盛りつけます。酢味噌がよく合いますね。地元でも酢味噌で食べる方が多いようです。うちも、酢、味噌、砂糖などをオリジナルで配合した酢味噌をお出ししていますよ。一匹を切ってさばくのではなく、まるごと一匹を食べる刺身というのもおもしろいですよね」。

刺身のできあがり

プリッと歯応えのいい身の旨さに、酢味噌の甘味と酸味がからみあう。

お客さん自身で焼く『きびなご塩焼き』

●きびなご塩焼き
「塩をしておいたきびなごをお客さん自身に焼いていただくスタイルです。小さいので焦げないように注意して焼いてください」。

パチパチという音と一緒に、あたりにいい香りが漂ってくる。
「隣のテーブルの方が食べられていると、その香りにつられて頼まれる方もいらっしゃいますね。団体さんがおみえになって食べられる時など、道の駅全館がきびなご塩焼きの香りに包まれます(笑)」。

表面がカリッと焼け、中はやわらか。ほどよい塩味が旨い。

カツオブシをふんだんに使った割下できびなごと野菜を煮る『きびすき』

●きびすき
2011年12月から阿久根の街おこしの意味合いも込められ、市内の十数店でメニューにあがっている『きびすき』も作っていただいた。
「出汁の中に、厚めに切ったカツオブシ、ミリン、濃口醤油を入れてねかせたものが、きびすき用の割下です。砂糖は入れませんね」。

この料理も、野菜やきびなごなどの具材を自分で鍋に入れ、火を通していただくスタイル。
「きびなごは生だと半透明で、全体が白くなったら食べ頃です。火を通しすぎないほうがいいですね」。

身には割下の味がほどよく染み込んでいる。すき焼きのように卵にくぐらせていただくと、よりまろやかな味わいだ。

郷土料理として売り出し中の『きびすき』だが、阿久根ではずっと前から食べられていたのだそう。
「阿久根は漁業の町で、肉が簡単には手に入らなかったので、手軽に食べられるきびなごを使ってすき焼きをやっていたようです。私は、小さい頃は肉がよかったですね(笑)。きびなごは、小さい頃から日常的に食べていた魚なんです。刺身にするのも、自分たちで道具など使わずに、手でさいて食べていたんですよ。自分でさばいたきびなごを、家族に食べてもらったのはうれしかったですね。阿久根の方はみなさん、きびなごを手でさばけるんじゃないでしょうか?」。

きびなごについて、こんな話も教えていただいた。
「きびなごは天ぷらも美味しいし、阿久根には干物もありますよ。味噌汁に入れたりもします。きびなごは12月位から大きくなってきて、5〜7月頃はお腹に卵が入っていて美味しいですね。寒い時の脂がのったきびなごも美味しいです。まるごと食べられますからカルシウムも豊富だし、栄養満点です。初めてきびなごを食べてくださった方も、『美味しかった』と言ってくださいます。阿久根では鮮度のいいきびなごを食べられますからね。新鮮なきびなごは身が透明でキラキラしているんですよ!」。

『道の駅 阿久根』では、キラキラと輝く海を見ながら、キラキラと輝くきびなごをいただくという、ぜいたくな時間を過ごすことができる。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

刺身

ハサミで頭としっぽを落としてから、お腹にハサミを入れてわたを取り、爪を身に平行に入れて手でさばく。酢味噌でいただく

まるごとの食べ方

『塩焼き』。あらかじめ塩をしておいたきびなごを炭火で焼いていただく。ほどよく焼けば、表面はカリッとし、中はやわらか

自慢の一品

出汁の中に厚めに切ったカツオブシ、ミリン、濃口醤油を入れてねかせたものが割下。火を通しすぎないようにして卵をつけていただく

このページを共有・ブックマークする

道の駅 阿久根 レストラン東シナ海を眺めながらいただくきびなご

きびなごの漁場でもある東シナ海に面した、抜群のロケーションにたつ『道の駅 阿久根』のレストラン。アジやイカの刺身など、阿久根で水揚げされた新鮮な魚介を使ったメニューを海を見ながらいただくことができる。きびなごは、刺身、塩焼き、きびすきなどを単品でもセットメニューでも食べられる。物産館では鮮魚や干物などの加工品も販売。

きびなご刺身ときびなご塩焼きが食べられる『きびなごご膳』1050円。きびなご刺身ときびなご塩焼きの単品は各262円。
野菜もたっぷりの『きびすき』800円。きびすきときびなご刺身が付く『きびなご三昧』は1,365円。
窓からの眺めが最高の店内。
物産館ではきびなごの干物などの加工品も販売されている。

道の駅 阿久根 レストラン

住所 鹿児島県阿久根市大川4816-6
電話 0996-74-1400
営業 10:30〜17:00
※物販は9:00〜19:00(10月〜3月は〜18:00)
休み なし ※12月31日・1月1日休み
60席
カード 不可
駐車場 あり
URL http://www.qsr.mlit.go.jp/n-michi/michi_no_eki/kobetu/akune/akune.html
お店情報をプリントする