九州の味とともに 夏

この料理の"味のキーワード"

材料

ゴーヤー、島豆腐、卵が基本。さらに豚肉やポークランチョンミートなどが入る。タマネギ、ニンジン等の野菜が加わることもある

味付け

昆布カツオ出汁、塩、醤油といったシンプルな味付け。豚肉の脂も、味を高める役割を持っているようだ

作り方

卵以外の材料を炒め、出汁を加えた後、塩で味を調整。風味付けに醤油を入れ、溶き卵をまわし入れてかき混ぜる

語り 居食屋 甚兵衛 大城順治の「ゴーヤーチャンプルー」

大城順治さん

「沖縄の方々の温かさと温暖な気候、すべてがゆったりしているところが、とても好きになりまして、やがては沖縄に住むことを決めていたんですよ。いろんな縁もあって、2001年にこの店を始めたんです」。オーナー・藤田洋一さんは”食”を大事にしようと、居酒屋ではなく、『居食屋 甚兵衛』と名付けた。
「料理の基本は仕込みと出汁だと思いますね」。

現在の料理長・大城順治さんもそれを大切にし、丁寧な料理を作られている。家庭では簡単に作られる『ゴーヤーチャンプルー』も、こちらでは手間をかけた一品だ。

大城さんに『ゴーヤーチャンプルー』作りを見せていただいた。

「ゴーヤーを軽く洗ってタテ半分に切り、中の種と白いワタをスプーンで取り除きます。このワタが特に苦いんですよね(笑)。ワタを取ったらゴーヤーをスライスします。家庭で作られる時、苦みを取るために、スライスしたものを塩揉みして水洗いする方もいますが、そうすると食感が悪くなってしまいます。薄くスライスすれば、それほど苦みは出ないんですよ。でも、ある程度苦みがないと美味しくないですね。ゴーヤーは今では一年中食べられますが、やはり旬である夏のほうが、味が濃くて美味しいと思いますよ。うちでも夏場は、『ゴーヤーチャンプルー』が特に人気です。私も、小さい頃は苦くて好きではありませんでしたが、今は自分で苦くなりすぎないように料理していますし、よく食べていますよ」。

『ゴーヤーチャンプルー』に欠かせない豆腐にも、一手間が加えられている。
「豆腐は沖縄ならではの島豆腐。水気を取って、一口大に切ってからフライヤーに入れて、表面がキツネ色になるまで揚げておきます。豆腐の旨味を閉じ込めることができますね」。

『ゴーヤーチャンプルー』の材料は、ゴーヤー、豆腐、コンビーフハッシュ(牛肉とポテトをブレンドしたもの)、卵。そして丁寧に作られた、澄んで濁りのない昆布カツオ出汁だ。

準備ができたところで、強火で一気に料理する。

「中華鍋にサラダ油を少し入れ、ゴーヤーを炒めます。少し火が通ったら昆布カツオ出汁を入れます。

まずゴーヤーを炒め、昆布カツオ出汁を加える

さらにコンビーフハッシュ、豆腐を入れて、出汁の水分がなくなるまで炒め煮します。

コンビーフハッシュ、あらかじめフライヤーで揚げておいた豆腐を入れる

長い時間火にかけるとゴーヤーの食感が悪くなりますから、火力が強くないといけませんね。コンビーフハッシュに塩分がありますので、それほど調味料は加えません。

水分がなくなるまで炒め煮し、塩コショウと醤油で味付けする

軽く塩コショウして、醤油を鍋肌にかけて香りづけし、最後に溶いた卵を真ん中に流し、全体にからめてできあがりです」。

溶き卵を入れて全体にからめる

皿に盛りつけられ、緑色も鮮やかな『ゴーヤーチャンプルー』。ゴーヤーの味と豆腐の味をつないでいるのは、ふわりとした卵の食感と、出汁の旨味だ。

再びオーナーの藤田さんにお話を伺った。
「私が初めて沖縄を訪れたのは1970年。その頃よりも、沖縄の料理はとても美味しくなっていると思います。1972年に沖縄返還も行なわれ、沖縄の料理人がたくさんの美味しい料理と出合い、より洗練され進化したのではないでしょうか。“チャンプルー”には“ごちゃ混ぜにする”という意味があります。沖縄には昔から“混ぜる”という文化があって、その一つが料理にも表れているんですね。気候がよくて、のどかで、やさしい沖縄。『ゴーヤーチャンプルー』をはじめとした沖縄の味は、沖縄で食べるのが一番美味しいと思いますよ」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

材料

ゴーヤー、島豆腐、コンビーフハッシュ(牛肉とポテトをブレンドしたもの)、卵。島豆腐は一口大に切り、油で軽く揚げる

味付け

味のベースは昆布カツオ出汁。コンビーフハッシュは塩味があるので、塩コショウは微調整程度、最後に醤油を少量加える

作り方

薄く切ったゴーヤーを軽く炒めた後、昆布カツオ出汁、コンビーフハッシュ、島豆腐を入れ、味を調整した後、溶き卵を入れてからめる

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居食屋 甚兵衛個室でゆっくりと沖縄ならではの味を

沖縄に魅せられたオーナーが、「私自身が欲しかった空間です」と開いた店。カウンター席以外は個室、半個室なので、静かにゆっくりと食事ができる。『ゴーヤーチャンプルー』や地元の旬の魚を使った沖縄料理に加え、和食、洋食、スパゲティまである豊富なメニューが並ぶ。いずれの料理も、仕込みと出汁を大切にした丁寧な作りで、素材の味が引き立つ。

『ゴーヤーチャンプルー』650円
沖縄のくるま麩を使った『フーチャンプルー』650円

居食屋 甚兵衛

住所 沖縄県那覇市久茂地2-6-2
電話 098-862-1696
営業 18:00〜24:00
休み なし
60席
カード
駐車場 なし
URL http://www.libera.jp/
※記載した内容は2015年8月21日現在のものです。
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