仕入れてすぐにたっぷり塩をして、しばらくねかせる。その後、水で塩を落としてから焼き始めるが、新たに塩をふる場合もある。
中まで火を通しつつ、表面がパリッと香ばしくなるように焼き上げる。遠火の強火がうまく焼くコツのようだ
ワタも身も骨もウロコも残すことなく丸ごと食べるのが基本。一番味が濃い頭の部分は最後に食べるとよいようだ
扉を開けて中に入ると長浜市場から直送された新鮮な魚が魚屋のようにずらりと並べられている。その横には炭火を使った焼き場があるが、上には何やら薫製のようなものがいくつも吊るされている。
「毎日、大量の魚をさばくので、料理には出さないたくさんの骨が出てきます。それをこうやって炭火の上に干しておくと、いい感じでいぶされて、旨い出汁の素になるんです。それを『魚介のちゃんぽん』というメニューに使ってます。うちは魚料理が中心の店。魚を無駄にしないように使って、なんか新しいことやおもしろいことができないかなといつも考えているんですよ」。
骨が硬く、慣れないと食べにくいのが『あぶってかも』。店主・羽根一貴さんをはじめとするスタッフ全員の「魚を美味しく食べてもらいたい」という想いから、通常の塩焼きの他、一夜干しと唐揚げという食べ方もメニューに加えられている。
「メニューには『博多と言えばコレ!!あぶってかも』とだけ書いているので、『あぶってかもって何ですか?』とよく尋ねられますね。『スズメダイという魚でウロコまで食べられます』などと、ちょこっとだけ説明はしますが、知らない方は勇気をもって注文していただいているようです(笑)。通常の塩焼きは、旨いんですがちょっと食べにくいので、一夜干しと唐揚げも考えてみました」。
●一番基本的な塩焼き
「仕入れた時に一回、がばーっと塩をしておきます。そして、注文が入ったら洗い、もう一度軽く塩をして焼きます。塩は糸島の『玄海の塩』を使っていますね。炭火でじっくりと焼きますが、『あぶってかも』自身から出る脂で表面のウロコもパリッとなります」。
●一夜干し
「ワタをとって開き、調味液に漬けた後、一夜干しにします。調味液で味をつけているので、あとは炭火でじっくりと焼くだけです。開いて一回干すことによって骨の水分が抜けるので、焼くと背骨までパリパリになって食べやすくなるんですよ」。
●唐揚げ
「三枚におろして天ぷら粉をつけて揚げます。背骨の部分はパリパリになるまで揚げるので食べやすいですよ。半身の部分は、ウロコもパリパリになるように、衣は身のほうにだけつけて、ウロコにはつけません」。
一夜干しは、全体に味が染み込んでいて骨まで食べやすい。唐揚げはパリパリの皮と骨に、ふわふわの身が美味しい。どちらも骨が気にならず食べやすいし、脂ののった『あぶってかも』の味を十分に楽しめる。しかし、『あぶってかも』そのものが持つ独特な味を感じたいならば、塩焼きにはかなわない。
「魚は手を加えるほどに脂も味も落ちてしまうんです。新鮮な魚ならば、一番手のかからないやり方が一番美味しく食べる料理法なんですよ。刺身はその最たるものですね。塩するだけで、丸ごと焼いて丸ごと食べる『あぶってかも』の塩焼きも、まさにそれだと思います。最高の料理法ですね(笑)」。
ご実家が魚屋さんで、小さい頃から魚をよく食べていたという羽根さん。
「食卓にはいつも魚ばっかりでした。『あぶってかも』もよく食べてました。親父からは『頭から食え』みたいな感じで言われてましたね(笑)。気合いが入ってる時は、今でもスタッフと一緒に食べてます(笑)。もちろん、中骨をしゃぶるところまで。焼酎の濃い目の水割りによく合いますね」。
尚、『あぶってかも』の3種類のメニューの味をすべて試してみたい時は、全種類を一匹ずつ下さいというわがままなオーダーも可能だ。
「こんなの食べたいというわがままなオーダーも歓迎です。魚を美味しく楽しく食べていただきたいですから。そして、できれば残さずに食べて魚を成仏させてやってほしいですね」。
最後に羽根さんからの力強い一言を。
「魚をたくさん喰ってください!!」。
仕入れてすぐに一回、たっぷりと塩をしておく。注文が入ったら水で洗い、もう一度軽く塩をしてから焼く。塩は糸島の『玄海の塩』
炭火でじっくりと焼きあげる。あぶってかも自身から出る脂が染みだして表面のウロコもパリッとなり、こんがりと焼けるのだという
通常の塩焼きは中骨以外は身も頭もウロコも全部いただく。あぶってかもを一夜干しにして焼いたものと唐揚げはこちらならではの食べ方
カウンターの内側には、長浜市場から直送される新鮮な旬の魚介がずらり。「旬の魚を美味しく食べてもらいたい」と、メニューに並ぶのは月替わりの野菜料理と日替わりのおすすめ魚介料理が中心だ。また、「『こんなの食べたい』といったわがままなオーダーも大歓迎です」とのこと。『あぶってかも』も塩焼きに加えて、一夜干しと唐揚げでもいただくことができる。
住所 | 福岡市中央区薬院3-7-1 |
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電話 | 092-523-1068 |
営業 | 18:00(日曜17:00)~OS24:30 |
休み | 不定 |
席 | 50席 |
カード | 可 |
駐車場 | なし |
URL | http://www.isogiyoshi.com/ |