九州の味とともに 夏

この料理の"味のキーワード"

鶏肉

鶏の胸肉を使うのが基本。やわらかさや味わいのため、生後何日の鶏のものを使うなど細かに決めている店も多い

揚げ方

鶏胸肉に衣をつけて油で揚げる。小麦粉、片栗粉など鶏肉にまぶす粉の種類、また油の種類などに工夫がなされている

タレ(甘酢)とタルタルソース

タレとタルタルソースはチキン南蛮の味を決める重要なもの。各店独自の自家製で、マヨネーズからつくる店も多い

語り おおさかや 松元光男の「チキン南蛮」

松元直子さん 松元光男さん

洋食メニューがずらりと並ぶレストラン『おおさかや』の店主・松元光男さんの朝は、チキン南蛮に使うタルタルソースをつくることから始まる。
「まず、2種類の朝採れの卵のみ使って、マヨネーズをつくります。卵を割って、殻座と白身を取り除き、黄身をおおう薄い皮も取り除いて、本当に卵の黄身だけしか使いません。最初に塩を入れてまぜ、酢や油を入れながら泡立器で1時間半以上の時間をかけて混ぜていきます。きゅうり、レモンなどの野菜を入れてタルタルソースのできあがりです。日によって卵の状態が違うので、大変だけど、泡立器を使って自分の手でやらないとわからないんですよ(笑)」。

このタルタルソースと同じように、宮崎県産黒毛和牛の牛すじを使うデミグラスソースをはじめすべて吟味して選んだ素材を使っての手作り。100種類以上のメニューはどれも手間をかけてつくられている。もちろん、チキン南蛮に欠かせないタレ(甘酢)もだ。
「うす口醤油、濃い口醤油、酢2種、砂糖2種類使い煮立てます。醤油は炊きすぎると辛くなるので炊く時間の頃合いが大切ですね。また、醤油は同じ銘柄でも熟成の時間によって、味がかわってくるので、その様子を見て煮立て方は変えないといけません」。
そう話してくださる奥様も、美味しいものをつくるために日々集中している。

鶏胸肉はまずよく水で洗う

チキン南蛮に使う肉は、鶏胸肉。
「初めにきれいに水で洗います。洗うことによって水分を補うという意味合いもありますね。1羽からとれる胸肉は2つで、1つ約350gくらい。厚い部分をカットして広げることにより、厚みを均等にします。これは火が均一に通るようにするためですが、大きく見せるためでもありますね(笑)。皿からはみだすくらいの感じで(笑)」。
大盛り用は皮はそのまま。普通盛りと小盛り用は皮をはいで、この段階でカットする

鶏胸肉の熱い部分を半分の厚さになるように切って広げる

次に松元さんが見せてくれたのは、チキン南蛮の衣つくり。
「片栗粉と卵をまぜます。まざりぐあいは手首に感じる感覚で判断してますね。片栗粉は、油にあたると香ばしさとやわらかさが出ます。タレに漬けた時にもいい感じでタレがしみますね」。

衣は片栗粉と卵のみ

衣用の卵はマヨネーズをつくる卵とはまた違うもの。こちらでは、マヨネーズ用に2種、揚げ物の衣用に1種、お好み焼き用に1種、合計4種類の卵を使い分けているのだ。一番コクがある卵はマヨネーズ用、次がお好み焼き用、揚げ物の衣用は一番軽めの卵とのことだ。

衣をつけた鶏胸肉を油の中へ。揚がり具合は五感で感じなければならない

その衣が鶏胸肉につけられ、じっくりと揚げられていく。
「菜種油を精製した白絞油(しらしめゆ)を180〜185度に熱したところで、肉を入れます。まず沈んで、やがて浮かんできます。表面の色の変化、泡の出方とかパチパチという音などで判断しながら3回ひっくり返します。くるくるひっくり返してもだめなんですよ。やがて全体にふくらみが出てきますよ」。
火を入れすぎると中の水分が出てしまいパサパサになってしまうのだそう。揚げる作業には集中が必要なのだ。

揚がった肉は素早くタレの中へ

揚がったものは、すぐにタレの中へ。タレが衣にしっかり染みこみ、表面にツヤが出てきたら皿に盛り、最後にタルタルソースをかけてできあがりだ。

タレからもタルタルソースからも感じるやわらかな甘味と酸味。その味に鶏胸肉が包み込まれている。タルタルソースがより味をまろやかにしているようだ。つけあわせの野菜は基本的に宮崎産。その野菜もタレとからめると美味しい。

ところで、大盛りにのせられてくる鶏胸肉は約500g。かなりのボリュームだ。
「以前、近くに大学があったもんで、だんだんと大きいものを作るようになったんですよ(笑)」。
大学は移転してしまったが、大盛りメニューは今でも残っている。“美味しいものはたくさん食べたい”と思う人たちは多いのだ。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

鶏肉

鶏胸肉を使用。肉の厚い部分をカットして広げることにより、厚みを均等にして、火が均一に通るようにする。大盛り用は皮も使う

揚げ方

片栗粉と卵の衣をつけて揚げる。熱した白絞油に入れ、表面の色の変化、泡の出方やパチパチという音などで判断しながら3回ひっくり返す

タレ(甘酢)とタルタルソース

タレは2種類の醤油、2種類の砂糖、2種類の酢などが材料で、あっさりとした甘味と酸味。タルタルソースは2種類の卵を使った完全手づくりだ

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おおさかやマヨネーズも手づくりの洋食レストラン

宮崎黒毛和牛の牛すじからつくるデミグラスソース、泡立器を使い手で撹拌してつくるマヨネーズなどすべて手づくり。素材にも気を配った100種類以上のメニューすべてを丹念につくりあげている。チキン南蛮やハンバーグなどの洋食メニューが中心だが、お好み焼きやマグロ丼(750円)など様々な味も楽しめる。チキン南蛮&ハンバーグセット(1380円)といったメニューも!!

鶏胸肉約500gを使った『チキン南蛮定食(大)』1280円。(中)1000円と(小)900円は、鶏肉をカットしてから揚げているので、衣の面積が多くて、また違った味わい
完成させるまでに5年かかったというハンバーグ。スープ、ライス付きの『ハンバーグセット』は1200円。ハンバーグは宮崎豚と宮崎黒毛和牛ほほ肉で、デミグラスソースには宮崎黒毛和牛の牛すじ、宮崎産の野菜が使われている。
テーブル席も座敷もあり、家族連れも利用しやすい

おおさかや

住所 児湯郡高鍋町大字南高鍋1052-1
電話 0983-23-6821
営業 11:00〜OS22:20
休み 火曜
66席
カード 不可
駐車場 あり
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