九州の味とともに 夏

大分 たらおさ

日田のお盆に欠かせない煮物に使う
たらのエラと内臓の干物

たらおさ』は、漢字では『鱈胃』と書き、たらのエラと内臓を干したもので、巨大な歯ブラシのような姿をした乾物。よく知られている棒だらの残りで作られる。水で戻し、適当な大きさに切ったものを醤油や砂糖とともに甘辛く煮込んだ煮物が一般的な食べ方だ。できあがった煮物は、海藻のようにも見えるし、ホルモンのようにも見える。初めて見る人にとっては、何を煮込んだものなのかを想像することは難しい。

『たらおさ』の煮物は、大分県日田地方で、お盆には欠かせない料理であり、現在でも各家庭で作られている。盆前にはスーパーなどに『たらおさ』が山積みされているほどだ。博多商人が食べていたものが伝わったとも言われ、福岡県では『たらわた』の名で食べられている所もある。“たらの身の部分は途中で売れてしまうので日田にまでは届かなかった”という話もあるが、内陸部にある日田地方では、夏に食べられる魚介の味として重宝されていたようだ。

エラの部分はコリコリした食感、胃の部分はもっちりとした食感と、その違いがおもしろい。また、甘辛い味わいの中、どちらの部位もかむほどに素材が持つ海の旨味が染み出してくる。大人たちには焼酎のつまみとして、子どもたちにはごはんのおかずとして愛され続けている郷土料理だ。

たらおさ

■たらおさについて
栄養士で日田地方の食に詳しい日田出身の梶原償子さんに、『たらおさ』のお話をうかがった。

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■日田の乾物文化について
「『たらおさ』の煮物は、日田を中心に大山や天ヶ瀬あたりで食べられていますね。日田は内陸部ですから、昔は海の幸を食べようとしたら乾物か塩漬けしかなかったのでしょうね。私の小さい頃も塩サバや塩シャケはごちそうでしたよ。『たらおさ』の煮物は小学生の頃に初めて食べました。お盆に人が集まる時には必ず食べるものでした。その頃、今みたいにスーパーはなかったですが、魚屋さんや乾物屋さんに売ってましたよ。縄でくくって上のほうにたくさん吊るしてありました。ただ、その吊るしてある『たらおさ』と食べていたものが結びついてはいなかったんです(笑)。吊るしてあったのはムカデみたいだし、おばけみたいでしたしね(笑)。昔は安かったんですよ。身のところは沿岸で新鮮なうちに売れてしまって、日田にくるのはエラと内臓の乾いた『たらおさ』だけ。元々は捨てられていたのでしょうが、ふやかして味付けしたら案外美味しかったということかもしれません。日田は内陸だから乾物文化があったんです。乾物屋さんがたくさんありましたし、乾物屋さんが乾物を作ってもいましたし、家々でもタケノコや山菜など乾物を作っていたんですよ。それを保存しておいてお盆に食べたりしていました」。

■いい『たらおさ』の見分け方
「いい『たらおさ』はきれいな飴色をしています。全体を見て、不純物のかたまりなど余計なものがくっついていないきれいなものがいいですね。そういう処理が悪いといやなにおいやアクがたくさん出るんです」。

■『たらおさ』の戻し方について
「昔は自然の川に『たらおさ』を漬けて戻していたんですよ。今は川で戻すのは無理ですが、日田は地下水がとてもいい水なんです。昔からある家はみんな井戸水ですからね。その水で戻すと、『たらおさ』も美味しくなるようです。水で戻したら、食べやすい大きさに切って1度下ゆでして、そのお湯は捨ててから煮込むことが多いようですが、私は、その下ゆでしたゆで汁を少し残したほうがいいと思うんです。そのほうがコラーゲンがたくさん摂れますからね」。

■お盆と『たらおさ』
「お盆の時には海の生魚はないですし、お盆には豚や牛などの肉は食べません。『たらおさ』はちょうどよかったのでしょうね。お盆でお客さんが来ることがわかったら何日も前から準備してましたね。濃い味付けにしておけば保存食になりますから。『たらおさ』の煮物はみんなが集まるお盆に欠かせないごちそうでした。タンパク源にもなりますしね」。

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「たらおさ」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
下ごしらえ

『たらおさ』を水で戻し、下ゆでした後、適当な大きさに切る。戻し方とゆで方ができあがりの食感を左右する

味付け

味付けは醤油、酒、砂糖、みりんといったシンプルなもの。唐辛子などを加えピリ辛に仕上げることも多い

煮込み方

やわらかくなるまで弱火でじっくりと煮込む。煮込みの後、一晩ねかせて味を染み込ませている

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