九州の味とともに 夏

この料理の"味のキーワード"

具材

水や湯で戻した干しダコ(マダコを干したもの)の他、ゴボウ、ヒジキがよく使われる。生のタコが使われることもある

味付け

醤油、みりん、酒、砂糖といった最低限の調味料しか使われていない。干しダコから染みだす旨味を生かしている

作り方

具材を煮込んで味付けしたものをごはんに混ぜ込む作り方と、具材を米と一緒に炊き上げる作り方がある

語り リップルランド 物産館レストラン 田中俊文の「たこめし」

田中俊文さん

国道324号線沿いにあり、『道の駅 有明』と『天然温泉 さざなみの湯』も併設されている『リップルランド』。

『リップルランド』の前にあるリアルなタコのオブジェ

こちらの物産館レストランでタコ料理を食べることができる。支配人・田中俊文さんにお話をうかがった。
「有明町では、タコによる街おこしに取り組んでいます。前の国道を『タコ街道』と呼んだりもしていますね。天草でよく食べられているタコはマダコです。昔からよく獲れていますが、天草のマダコは弾力があり歯応えがいいんです。海の干満の差が大きいことや、タコのエサが豊富にあるからのようです。タコは不知火海(しらぬいかい)でも獲れますが、この界隈で獲れるものとは食感が違います。食べればすぐにわかりますよ。毎年梅雨が明けると干しダコ作りが行なわれます。頭を裏返してワタを取って開き、頭の部分に、竹の輪っかを入れて干すんです。潮風に吹かれて、天気が良ければ3日~4日でできあがります。7月~8月は、この界隈でも、あちこちで干されているものを見ることができますし、干しダコも売っていますよ。うちの物産館でも1匹1,000~2,000円で売っています。ただ、干しダコは作る人が少なくなってきています。竹の輪っかを頭に入れたり、タコを形よく広げる技術が必要ですし、タコを朝早く外に出して、夕方は室内に戻すことが必要で、大変ですからね。そういった手間もあるので、生のタコよりも干しダコのほうが値段は高いですね」。

こちらの『たこめし』には生のタコも使われるが、干しダコも使われている。
「まず、干しダコを水でやわらかくなるまで煮ます。

いい出汁も出る干しダコ

タコのいい出汁が出ますね。やわらかくなった干しダコと生ダコを刻み、ゴボウと一緒にして、タコの出汁に醤油、砂糖、みりんを加えた煮汁で煮ます。少し煮た後、ニンジンも加えて煮込みます。

“たこめしの素”は、干しダコ、生ダコ、ゴボウ、ニンジンを煮たものとヒジキだ

これが“たこめしの素”になりますね。炊いたごはんに“たこめしの素”と、別に煮て味付けしたヒジキを加えて混ぜ込んでいきます。

“たこめしの素”をすべてごはんに加える

タコを米と一緒に炊く炊き込みごはんのような『たこめし』の作り方もありますが、うちは混ぜごはんのスタイルですね。“たこめしの素”の汁は、あまりいれないようにして混ぜ、具が足りなかったら追加して、いいバランスになるように混ぜていきます。ヒジキを入れると海の香りも高まり風味がより豊かになりますね。

切るように混ぜ、途中で塩を入れて味を調整

少し塩を加えて味を整える時もあります」。

さらに混ぜ、器に盛ってできあがり

やわらかい生ダコの旨味と、噛むとより広がる干しダコの旨味が、ごはんの甘味とよく合う。ゴボウやニンジンの食感とヒジキの香りもいい具合にからみ合っている。
「生ダコは、そのまま使うよりも一度冷凍したほうが、やわらかくなりますね。タコを丸ごと甘辛く味付けして、ナイフとフォークで食べる『タコステーキ』にも、一度冷凍してからゆでたタコを使っていますよ。“タコはかたい”というイメージの方もいらっしゃると思いますが、本当にやわらかくて食べやすいですよ。うちでは、夏の時期に獲れたタコを1年分冷凍庫で保存しています」。

『タコステーキ』は作るのに時間がかかるので事前に予約が必要だ(要問合せ)。

他にも、こちらでは様々なタコ料理がメニューに並ぶ。
「生ダコを使った『タコ天丼』も美味しいですよ。洋風では『タコピラフ』『タコカレー』『タコのトマトスパゲティ』…。肝やたまご、吸盤を使った料理などもありますよ。『豚和え』という、タコと味噌を合わせた『豚みそ』のようなものもあります。うちはタコを使ったメニューがメインですからね(笑)」。

平成6年にオープンした『リップルランド』。“リップル”とは“さざ波”という意味だ。
「この施設のことが、さざ波のようにじわじわと広がっていくようにという願いもあってこの名前になりました。おかげさまで施設のことも、特産のタコのことも、じわじわと広がってきました。歯応えがあり、タウリンも豊富なタコの美味しさも多くの方に知っていただくこともできました。横にある物産館でも、たこめしの素をはじめ、タコを使った私たちのオリジナル商品がじわじわと増えてきました(笑)」。

タコは8本足ということにちなんで8月8日は『タコの日』。この日、田中さんたちは、タコの豊漁を願い、さらにタコの供養をかねてお祓いをしているのだそうだ。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

具材

天草で獲れたマダコは、生ダコと、干しダコを使う。その他の具材はゴボウ、ニンジン、ヒジキ

味付け

干しダコの戻し汁に醤油、みりん、砂糖などを加えた煮汁でヒジキ以外の具材を煮る。干しダコから出る旨味が味の決め手

作り方

炊いたごはんに、煮込んだ具材とヒジキを加えて混ぜればできあがり。途中、塩を入れて味を調整することもある

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リップルランド 物産館レストラン歯応えの良いタコ料理を和洋メニューで

『道の駅 有明』と『天然温泉 さざなみの湯』も併設されている『リップルランド』の物産館にあるレストラン。『たこめし』や『タコ天丼』などの和風料理から、『タコステーキ』(要予約)、パスタやカレーといった洋風料理まで、歯応えの良い天草のタコを使った、様々なタコ料理が食べられる。『たこめしの素』をはじめ、物産館で売られているタコの加工品はお土産にもぴったり。

『道の駅セット』780円。『たこめし』、うどん(タコ天付き)のセット
ミニうどん、サラダなども付く『タコ天丼』920円。タコの身の厚さとやわらかさに驚く
直径7cmのタコ焼き『ビックリ焼』1コ250円のソース味と塩味。他に天つゆ味がある。中には一口大の『タコステーキ』が入っている。併設の売店で販売
窓からの光で明るい物産館レストラン。小上がり席もある。

リップルランド 物産館レストラン

住所 天草市有明町上津浦1955
電話 0969-53-1565
営業 10:00~OS17:00
休み なし
96席
カード 不可
駐車場 あり
URL http://www.rippleland.com/
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