九州の味とともに 冬

この料理の"味のキーワード"

シロウオ

店舗に生きたまま届くシロウオは、生簀(いけす)の中に入れられる。シロウオは高温になると弱るため、水温調節が重要だ

踊り食いのポン酢

シロウオと一緒に口に入れて飲み込むため、通常のポン酢よりも酸味や塩分を抑えたマイルドな味わいにつくられているようだ

その他のシロウオ料理

踊り食いの他にも、天ぷら(かき揚げ)、佃煮、卵とじなど、淡白な身の味わいを生かした、様々な料理を楽しむことができる

語り 九州郷土料理 蕨 平野康弘の「シロウオ」

店主・平野康弘さん

「郷土料理や食文化にとても興味があるので、ずいぶんと食べ歩きました。九州の様々な味を楽しめる店をつくりたかったのです」と言う店主・平野康弘さん。皿うどん、とり天、鶏飯などメニューには九州各地の味がずらりと並ぶ。熊本の赤酒、与論島の塩、喜界島の黒砂糖、日田や天草の醤油など調味料も九州各地から取り寄せたものだ。

シロウオ料理は春限定のメニュー。
「シロウオをメニューにのせているのは2月初旬から、終わりは3月中旬の桜が咲き始めるくらいまで。春を感じる料理、そして喉越しを楽しむ料理ですね」。

シロウオが食べられる時期、店内の生簀(いけす)にはシロウオが泳いでいる。
「小さいけど、これで成魚です。生きたまま届きますが、生簀の中で1週間ぐらいは生きていますよ。生簀の中は汽水域にあたる塩分濃度3%の塩水ですね。シロウオは温度変化に弱くて、特に温度が高いと弱ってしまいます。温度変化が激しいと気絶する事もあるんですよ(笑)。また、透き通っているシロウオが、温度が高いと白っぽくなってしまうこともありますね。魚は活きがいいとか悪いといった言い方もしますがシロウオは生きているか死んでいるかだけ。死んでしまったシロウオは使えませんから」。

シロウオの踊り食いを準備していただいた。

『踊り食い』の器の中には15〜20匹のシロウオが泳ぐ。水は塩分を含まない真水だ。

器の中で泳ぐシロウオを小さな網ですくい、橙を使ったポン酢につけて食べる。シロウオは泳ぎまわるので、すくうのはなかなか大変だ。

小さな網でシロウオをすくう ※写真は『おろし和え』

「ポン酢に入れるとはねまわりますから、シロウオを皿に入れて、上からポン酢をかけて食べるのがいいですよ。シロウオを使った料理はいくつかありますが、踊り食いが一番特徴がありますね。甘エビの踊り食いなどもあることはありますが、シロウオはかなり珍しいですね。喉越しがおもしろいでしょ?噛むと骨の食感とほろ苦さを感じられますよ。踊り食いを頼まれた方の中には、口に2〜3匹入れて、飲み込むことができずにどうしたらいいかわからなくなる方もいらっしゃいますね(笑)。宴会の時にお出しすると喜ばれます。刺身の次に出すのでインパクトがあるんですよ。場が和むので、仕事の話とか真面目な話は途切れてしまうかもしれませんが(笑)」。

シロウオは『踊り食い』の他、大根おろしと一緒に食べる『おろし和え』、『かき揚げ』、『出汁巻き卵』といった料理でも食べられる。
「『おろし和え』だと、シロウオがあまりはねなくて食べやすいですね。『釜揚げしらす』みたいにしても美味しいとは思うのですが、それだと5,000円くらいになってしまうので難しいかな(笑)」。

シロウオを使った料理はどれもお手頃な価格。それは、『シロウオを一度は食べてみたい』という方が楽しみやすいようにという平野さんの想いからだ。

埼玉県蕨市ご出身の平野さん。シロウオを初めて食べた時、どう感じられたのだろう?
「シロウオは美味しいとか美味しくないとかいう次元のものじゃないですね(笑)。早春という季節を感じる博多になくてはならない味わいだと思います。『踊り食い』は他の料理にはない喉越しも楽しめます。うちは九州の郷土料理を味わっていただける店で、『ワケノシンノス(いそぎんちゃく)』や『ワラスボ』といった珍しい素材もありますが、春は『シロウオ』も人気メニューベスト10に入ってきますよ(笑)。毎年食べに来てくださる方もいらっしゃいますからね」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

シロウオ

生きたシロウオを取寄せ、生簀(いけす)にいれておく。生簀の中は汽水域にあたる塩分濃度3%の塩水で、水温調整にも気が配られている

踊り食いのポン酢

『シロウオのおどり』は橙を使った特製ポン酢で食べる。特製ポン酢に大根おろしを合わせた『シロウオのおろし和え』も美味

その他のシロウオ料理

『シロウオの出汁巻き卵(写真)』、『シロウオのかきあげ』といった料理でもシロウオを食べられる

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九州郷土料理 蕨 九州各地の郷土料理を一夜で愉しむ

皿うどん、とり天、鶏飯などメニューには九州各地の味がずらりと並ぶ。熊本の赤酒、与論島の塩、喜界島の黒砂糖、日田や天草の醤油など調味料も九州各地から取り寄せたものだ。シロウオ料理は春限定。橙を使った特製ポン酢で食べる『踊り食い』、『おろし和え』、『出汁巻き卵』、『かき揚げ』といった料理でシロウオの味わいを楽しめる

『シロウオのおどり』500円(税込)
『シロウオの出汁巻き卵』700円(税込)
気軽に入れる雰囲気で、観光客も多い

九州郷土料理 蕨(わらび)

住所 福岡県福岡市博多区博多駅前2-7-3
電話 092-481-1265
営業 月〜金曜11:30〜14:00/17:00〜24:00
土曜・日祝日17:00〜22:00
休み なし
50席
カード
駐車場 なし
URL http://www.hakata-warabi.com
※記載した内容は2017年2月20日現在のものです。
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