材料は豚の三枚肉と塩だけの場合が多い。塩は沖縄の海水から作る島マースが使われている
三枚肉にたっぷりの塩をまぶし数日間ねかせる。その後、茹でて塩抜きする。塩と一緒に脂もほどよく抜ける
塩抜きしたものをスライスしてそのまま食べることもあるが、スライスしたものを軽く焼き上げて食べることも多い
店名の『あっぱりしゃん』は八重山地方(石垣島以西の島の総称)で、“きれい、美しい、かわいい”を意味する言葉。店主は石垣島出身の長浜健佳さんだ。「沖縄というとひとくくりに考えられてしまうこともありますが、八重山文化圏というものがあるんです。言葉も民謡も風習も食材も本島とは大きく違うんですよ。そんな八重山の文化を伝えていきたいと思っています」。石垣牛、アダンの新芽、オオタニワタリ(シダの仲間でやわらかい新葉を食べる)、八重山近海の魚などを使ったメニューが並ぶ。「八重山の特にいい素材を取り寄せています。太陽の光が強いので、ハーブ類をはじめ、同じ野菜でも八重山産の食材は味や香りが違いますね。土壌の影響もあって石垣島のパイナップルはとても美味しいですよ」。
厨房に立つスタッフの佐和田佳恵さんと平船智佳さんに『スーチカー』についてうかがった。
「沖縄の言葉で“スー”が塩、“チカー”が漬けるという意味で、豚の三枚肉を塩漬けする保存食ですね。沖縄全土で作られていますが、歴史的には首里あたりから始まったのではないでしょうか。お盆やお正月のもてなしには欠かせない料理ですね」。
1回に3kgほどを仕込むという『スーチカー』は塩付けすることから始まる。
「豚の三枚肉(バラ肉)に島マースを手ですりこんでいきます。肉3kgに対して島マースを1kgほど使いますね。それを新聞紙に包んで1日ほどねかせておきます。肉から出る水分を新聞紙が吸ってくれるのでちょうどいい感じになるんです。ねかせることで塩が入り込んでいくわけですが、昔は粗塩しかなかったので時間がかかっていました。私たちは石垣島のきめの細かい塩を使っているので浸透がよく、1日でいい具合に塩が入ります。ねかせすぎると塩辛くなってしまいます」。
塩漬けの後は茹でる作業だ。
「一度水にさらしてしばらく置いた後、水を替えてアクを取り除きながら40〜50分ほど茹でます」。
「シンプルな料理なのでショウガなど香味野菜を入れたりしないでそのまま茹でます。水から茹でないと肉がかたくなってしまいますね。けれど、茹で過ぎるとやわらかくなり過ぎるので、様子を見ながらじっくりと茹でていきます。スライスしやすく、炒めても形がくずれない程度の茹で加減ですね。『ラフテー』を作る時の煮汁は出汁に使うこともありますが、『スーチカー』の煮汁は塩分も高いですし、他に使うことはできません」。
茹であがった『スーチカー』はスライスしておき、注文が入ると表面を焼き上げてできあがり。
表面は香ばしく、噛むとあっさりとした塩辛さが広がる。
「お酒を飲まれる方にはおつまみとして『スーチカー』をおすすめしますね。内地の方(沖縄県以外の方)は、皮付きというのにびっくりされるようです。お酒によく合うので、追加で注文される方も多いですよ。『スーチカーともやしのチャンプルー』もおすすめです。もやしの水分で全体がいい感じの塩加減になるんです」。
店内がにぎやかになってくると長浜さんが三線を手にとりライブが始まる。
「ライブは毎日夜開催しています。歌って、踊ってこそ沖縄ですからね!!(笑)」。
厨房に立っていた佐和田さんと平船さんも太鼓や踊りでライブに参加。店内はさらににぎやかになっていく。
豚の三枚肉と石垣島産の島マースを使用。塩はきめが細かいため三枚肉によく浸透し短時間で塩が入る
三枚肉に島マースをすりこみ、新聞紙で包んで1日ほどねかせる。その後、水にさらした後、水を替えて茹でる。アクを取り除く作業も重要
茹であがったらスライスしておき、注文が入ると表面を焼き上げる。チャンプルーの具材として使うこともある
店名は“きれい・美しい”を意味する八重山地方の言葉。石垣牛、アダンの新芽など八重山から取り寄せる食材を使ったメニューも食べられる沖縄料理の店だ。豚三枚肉を石垣島産のきめの細かい塩で漬け込んだ『スーチカー』は、茹でてほどよい塩加減に塩抜きした後、表面を焼き上げる。石垣島出身の店主・長浜健佳さんを中心に連日島唄ライブを開催。
住所 | 沖縄県那覇市久茂地3-23-8 2F |
---|---|
電話 | 098-861-1112 |
営業 | 17:30〜OS24:00 |
休み | なし |
席 | 55席 |
カード | 可 |
駐車場 | なし |
URL | http://www.apparishan.net/ |