細かなウロコを取り、さばいた後、片栗粉をまぶす。この段階で塩をふるなどして下味をつける場合もある
中まで火が通った後も少し長めに揚げたり、二度揚げしたりと、表面がカラリと揚がるような工夫がなされている
揚がったものに、柑橘類の絞り汁をかけ、塩をふりかけて食べる。シンプルな調味料が『めひかり』の美味しさを引き出す
宮崎市の繁華街・中央通りにある『安兵衛』。「ここは、かつて『安兵衛小路』といって小料理屋が20店ほどあった場所なんです。それらの小料理屋さんのみなさんに敬意を表して、うちの店名は『安兵衛』です。『めひかりの唐揚げ』は、『安兵衛小路』の店々には、どこにでもあったんじゃないでしょうか。今では、居酒屋さんをはじめ、どこにでもあります。私も学校を卒業して、焼酎を飲み始めた頃から食べてますね。私は、家で食べるというよりも、店に行った時に食べるものかなと思います。カウンターに座られたお客様に『宮崎の郷土料理を何かお願いできますか』と言われたら、『めひかりの唐揚げ』をおすすめしますね」。
そう話していただいた料理長・今井淳一さんに、『めひかりの唐揚げ』を作っていただいた。
「『めひかり』は延岡や北浦から取り寄せています。今日は比較的大きいものも届きましたが、唐揚げするには小さめのほうがいいですね。小さいのは、骨もやわらかいので全部食べられます。大きいサイズになると骨が少し堅くなるので、口に入れた時に骨が当たるんですよね。だから大きいものは塩焼きなどに使っています。
ウロコを取り、頭と内臓を取って片栗粉をまぶします。下味はつけません。
これを油の中に入れます。まず、170度くらいの油で5〜6分揚げると、中に火が通って沈んだ『めひかり』が浮き上がってきます。
そうしたら、一度油から外に出して水分が逃げるのを待ちます。そして、もう一度油に入れて揚げるんです。このように二度揚げすると、表面がとてもカラッと揚がるんですよ」。
できたての唐揚げは、レモンの絞り汁と塩をふりかけていただく。
「塩はアンデスの岩塩である紅塩を使っています。塩辛いだけではなく、旨味がしっかりあるので、『めひかり』の甘味とよく合いますね。唐揚げを甘酢に漬けた南蛮漬けも人気の料理です。これまでに、『めひかり』をオイルサーディンのように使ったものなども作ったことがあります。『めひかり』を使った料理を、これからもいろいろ考えてみたいですね」。
さて、『めひかり』を料理する上で、他の魚と違うところはあるのだろうか?
「ウロコが細かいので取りにくいということと、やわらかい魚なので早く料理しないといけないということがあります。時間が経つと頭の部分がぐにゅぐにゅになってしまうんですよ。それから、見た目がちょっとグロテスクですね。目が大きいから、目が合ってしまったような気にもなるし(笑)」。
繁華街にあるということから、地元の方はもちろん、県外のお客さんも多いこちらのお店で、今井さんは日々、宮崎の味を伝えている。
「県外の方とお話しして、宮崎のことを改めて話すことはとても勉強になりますね。また、地元の方でも『めひかり』をはじめ、宮崎の美味しい物を知らない方もいらっしゃいます。そんな方々にはぜひ宮崎の味を食べていただきたいと思っています。メニューは100種類以上ありますし、日南にある自社農園では、無農薬野菜も育てていますよ。みなさんと、極力お話しして、宮崎の食を伝えたいですね。宮崎に来られた時はぜひどうぞ。お一人でもOKです!」。
唐揚げには骨がやわらかい小さいサイズの『めひかり』を使う。ウロコを取り、頭と内臓を取って片栗粉をまぶす
170度くらいの油で5〜6分揚げたら、油から外に出して水分が逃げるのを待ち、もう一度油に入れて二度揚げする
レモンの絞り汁と、アンデスの岩塩である紅塩。塩辛いだけではなく、旨味がしっかりあるので、『めひかり』の甘味とよく合う
繁華街・中央通りにある、“安くてボリューム満点の料理”を提供している居酒屋。魚介類、日南にある自社農園で育てた無農薬野菜など、宮崎の旬の素材を使った料理や、定番のチキン南蛮などメニューは全100種類以上だ。『めひかりの唐揚げ』は、二度揚げすることによって、カラッと仕上げる。身の甘味を引きたてるアンデスの岩塩と味わう。