開いたドジョウの身に残る小骨を丁寧に取る。塩揉みしてよく洗ってぬめりを落とし、天ツユに生姜や日本酒を加えたもので2度炊く
カツオ昆布出汁、醤油、ミリン、日本酒などを合わせた丼料理にも使う特製のタレで味付け。途中で一番出汁を加え濃さを調整する
土鍋に千切りにした生姜、ささがきしたゴボウ、開いたドジョウ、水菜を入れて特製タレで炊く。溶き卵を加え、山椒、ネギを加える
昭和46年創業。西鉄柳川駅のすぐ近くで『鰻のせいろ蒸し』をはじめ、国産鰻を使った鰻料理を提供している。鰻料理とともに『柳川鍋』も名物料理。店内に吊るされた暖簾にも「鰻」「せいろむし」「柳川鍋」という文字が書かれている。
「小さい頃、近くの川でドジョウを釣っていました。釣ったドジョウは川魚問屋に売っておこづかいにしていました(笑)。ドジョウを餌にして鰻を釣ったりもしていましたよ。その頃はドジョウを食べるのはあまり好きではありませんでしたね(笑)」と話してくださるのは二代目店主・川口重光(かわぐち しげみつ)さん。『柳川鍋』のお話をうかがった。
仕入れたドジョウは、まず丁寧に下ごしらえする。
「ドジョウは小骨が多いのです。さばいて開いたドジョウの身を指でさわりながら、包丁でそぎ落とすようにして取っていきます。特に首のところに骨が残りやすいんですよ。身に食い込んでいる小骨もありますね。体長10cmくらいですからなかなか大変ですよ。それから塩揉みしてよく洗ってぬめりを落とし、天ツユに生姜や日本酒を加えたもので2度炊きます。ドジョウ独特の臭みを取るという意味と、下味をつけるという意味があるんです」。
注文が入ると、薄い有田焼の土鍋に千切りにした生姜とささがきしたゴボウをのせ、タレを注ぐ。タレはカツオと昆布の出汁、醤油、ミリン、日本酒などを合わせた丼料理に使う特製のタレだ。その上に開いたドジョウを皮面を下にして放射状に並べる。
「皮面を下にすることで、さらにぬめりがとれて初めての方でも食べやすくなるんです。ドジョウの開いた身を7枚のせます。3匹半のドジョウを使っています」。
さらに1cm角に切った豆腐をのせ、水菜をちらして火にかける。途中で一番出汁を入れて味を調整。グツグツとしてきたら溶き卵を入れ、ネギをちらし、山椒を加える。最後にもう1度溶き卵を加えて混ぜ、できあがりだ。
卵が包むドジョウの身はふんわり。ゴボウや豆腐など食感の違いも楽しめる。甘辛い味わいに焼酎が飲みたくなる。
「関東ではドジョウはさばかずに料理して食べられることもあるようですが、柳川ではきれいにさばいて食べやすくしています。焼酎にもごはんにもよく合いますね。ごはんと一緒に食べる定食用の『柳川鍋』はやや濃いめの味わいに。つまみにする単品の『柳川鍋』はやや薄めの味わいにしています」。
『古蓮』では、『柳川鍋』以外にもドジョウを使った料理を食べることができる。「甘く炊いた『どじょうの甘煮』という単品メニューもありますよ。また、コース料理では『どじょうの蒲焼き』や『どじょうの天ぷら』をお出しすることもあります。蒲焼きを作る時は、身が薄くてすぐに焦げるので目が離せませんね(笑)」。
最後に、ドジョウ料理を食べた方はどんな反応をされるのか尋ねてみた。
「食べたことがない方は、生臭い感じがするのではないかと思っている方が多いようですね。でも、食べた後は『美味しかった』と言ってくださいますよ。『柳川鍋』のリピーターも多いですからね。食べず嫌いの方も多いと思いますが、ドジョウは身体にいいという話も聞きますし、鰻よりもお安いですから(笑)、ぜひ試してみてください」。
開いたドジョウの身に残る小骨を丁寧に取る。塩揉みしてよく洗ってぬめりを落とし、天ツユに生姜や日本酒を加えたもので2度炊く
カツオ昆布出汁、醤油、ミリン、日本酒などを合わせた丼料理にも使う特製のタレで味付け。途中で一番出汁を加え濃さを調整する
土鍋に千切りにした生姜、ささがきしたゴボウ、開いたドジョウ、水菜を入れて特製タレで炊く。溶き卵を加え、山椒、ネギを加える
昭和46年に創業した鰻料理と『柳川鍋』が食べられる店。小骨まで取り除いたドジョウを使った『柳川鍋』には、ささがきしたゴボウの他に生姜の千切りと豆腐も入り、ドジョウ独特の旨味とともに食感の違いも楽しめる。他に『どじょうの甘煮』といった料理もあり、お願いすればコース料理(要問合せ)でドジョウの蒲焼きや天ぷらを食べることもできる。