九州の味とともに 冬

この料理の"味のキーワード"

鷄肉

胸肉、もも肉、ササミなど家庭ごと、店ごとに様々な部位を使う。ニンニクや醤油などで下味をつけ、適当な時間ねかせておく

衣・揚げ方

衣の材料は冷水、小麦粉、卵。卵の分量を多めにすることで、ふんわり感が出るように揚げるのが『とり天』の特徴だ

タレ

酢醤油、カボスを使ったポン酢、天ぷらのツユなどで食べる。いずれもジューシーな鶏肉に合うようにさっぱり目に作られている

語り KUSHIBISTRO 風味鳥 大津威士の「とり天」

大津威士さん

「別府では家庭が競争相手になりますね(笑)。『とり天』は別府の人間にとっては庶民の食べ物。家庭でもよく作られるし、スーパーにも売られていますから。私も小さい頃から食べていましたよ。今でも、定食屋さんに入って迷った時には、『とり天でいいや』ってな感じで注文します(笑)。それが間違いないですからね」。

そんな『とり天』好きの店主・大津威士さんは、お父様が作っていたという味を引き継いでいる。
「私の父親は昭和30年代に別府の料理店で働いてまして、その時に作っていた『とり天』の味がうちの『とり天』の味のベースですね」。 

下処理をした鶏胸肉に塩こしょう、おろしニンニクなどを入れて手でもみこむ

その作り方を厨房で息子さんの圭太(けいた)さんが教えてくださった。
「うちで使っている鶏肉は、豊後赤どり、宮崎の地鶏、国産鶏で、『とり天』には豊後赤どりの胸肉を使っています。この鶏は、大分県の城島高原で育てられていて、通常の鶏の1.5倍くらいの大きさと重さがあり、身も厚いんです。臭みがなく弾力のある肉質が特徴ですね。食べた時に『これが胸肉か?』と思っていただけるくらいやわらかくなるように下ごしらえをすることがポイントです。その方法は秘密ですね(笑)。この肉を一口大に切って下味をつけます。つけダレの味だけだと飽きるので、鶏肉そのものにも味があったほうがいいですね。天ぷら盛り合せだと野菜など他の味もあるからいいですが、とり天は鶏肉だけですからね。1人前は10コくらいが目安です」。

塩コショウをして、おろしニンニクとすりおろしたショウガ、うす口醤油などを加えて手でもみこむ。そして、下味をつけたらすぐに揚げるのが唐揚げとは違う『とり天』の特徴だ。

衣をたっぷりとつける

「衣の材料は冷水、小麦粉、卵です。一般的な天ぷらの衣とは違って、卵の分量が多めです。ふわっとさくっとした感じに揚げるためですね。油に入れたら上がり具合は、音と色で判断します。全体がふわっとふくらんできますね」。

揚げすぎないように注意を払う

見るからにふんわりと揚がった『とり天』は、色もこんがりではなくて、ふんわり白っぽい色合いだ。揚げ具合に対する強い想いを威士さんが語ってくれる。
「揚げ過ぎて色が濃くなってしまうと、それは唐揚げになってしまいます。『とり天』は、あくまでも天ぷらですから、黒くならないように白く揚げないといけないんです。それに、天ぷらだからふんわり感も絶対に必要ですね」。

皿に盛られた『とり天』はこんもりと高く盛られボリュームも満点。添えられているのは特製ポン酢、カボス、からしだ。
「ちょこちょこした盛りつけではインパクトがないですからね。盛りは豪快、中身は繊細ということで(笑)。ポン酢は、醤油、砂糖、ミリン、酢などで作った自家製です」。

カボスを絞ってからいただくとり天は、ふわふわさくっ。やわらかくてジューシー。ポン酢の味が、下味もついている鶏肉の味とよく合っている。
「口の中で噛んだ時に広がるニンニクとショウガの香りが鶏肉のやわらかな食感と合うでしょう? うちは鶏専門店。鶏専門店の意地にかけても美味しいのを作らなければと思っています。私、鶏年生まれですし(笑)」。

白く揚がった『とり天』

鶏専門店だけに、鶏の炭火焼や焼き鳥、大分県の中津を中心に食べられている唐揚げ、宮崎の郷土料理チキン南蛮なども食べられる。東九州の鶏肉料理についてもお話をいただいた。
「『とり天』はB-1グランプリから急に有名になったような気もしますね。店で出しているのは、別府が北限、南限は大分でしょうか? 現在、大分県ではとり天VSから揚げという構図もありますが、唐揚げに若干押され気味なんです(笑)。『とり天』もがんばっていかないといけません(笑)」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

鷄肉

大分県の城島高原で育てられた豊後赤どりの胸肉。おろしニンニクとすりおろしたショウガ、うす口醤油などを加えて手でもみこむ

衣・揚げ方

衣は冷水、小麦粉、卵で、卵の分量は天ぷらより多め。黒くならないように白く揚げること、ふんわり感をもたせることがポイント

タレ

醤油、砂糖、ミリン、酢などで作った自家製ポン酢。カボスを絞ってふりかけ、からしを付けていただくとさらに美味しくなる

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KUSHIBISTRO 風味鳥 鶏肉三昧!! とり天、唐揚げ、チキン南蛮・・・

備長炭で焼く『地鶏のももの炭火焼き』をはじめ、『とり天』『唐揚げ』『チキン南蛮』など鶏肉料理メニューがずらり。〆は鶏肉料理専門店らしく親子丼(790円)で。ユッケを使ったもの、タタキを使ったものなど18種類あるそうで、そのうち季節ごとに8種類ほどがメニューに並んでいる。「ゆっくりと鶏肉を味わってほしいですね」と店主・大津さん談。

『別府名物とり天』819円。ランチタイムの『別府名物とり天定食』は924円
『若鶏の唐揚げ』819円。ランチタイムの『若鶏の唐揚げ定食』924円
『チキン南蛮』924円。特製タルタルソースはお好みで。ランチタイムの『チキン南蛮定食』1134円。串もの1本180円〜(2本より)、『地鶏のももの炭火焼き』1480円なども人気の品
夜はお酒を楽しむ人、昼間はランチを楽しむ人でいつもにぎやか

KUSHIBISTRO 風味鳥

住所 別府市石垣西10-5-2
電話 0977-22-9192
営業 11:30〜OS14:30/17:30〜OS22:30
休み 木曜
48席
カード 不可
駐車場 あり
URL http://www3.ocn.ne.jp/~gipsy/
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