殻からのびる尾のような肉茎の先端についた砂を落としきれいにする
『メカジャ』の味わいを生かすため、調味料は酒、みりん、醤油、砂糖などシンプル
下ごしらえした『メカジャ』を身が縮まない程度に軽く煮込んでできあがり
1969年に開店した『かっぱ亭』。お店の壁面や店内には、有明海の魚介をかたどったオブジェが飾られている。
「全部自分で作ったとですよ。外のはポリプレート製、店内のは新聞紙を刻んでミキサーにかけて粘土みたいにしてかためて色をつけたもの。有明海の魚介は見た目が少し変わっとるので、親しみやすくしようという理由もあります。見た目は変わっとるけど、食べれば美味しいけんね(笑)」。
料理はもちろん、電飾で華やかなお店の看板、メニューなどまですべて手作りされているのは店主・長谷川洪治さんだ。
「ムツゴロウは知っている人が多いし、ワラスボも知っている人が増えてきたけど、メカジャはこれからかな(笑)」。
まずは『メカジャ』の形態について教えてくださった。
「『メカジャ』はモヤシみたいにも見えるね(笑)。本当の名前は『ミドリシャミセンガイ』。見た目が三味線に見えるからなんよね。殻が胴体で、尾みたいなのが竿、生のやつは、尾の先端に泥の玉みたいなのがついとって、それが糸巻きというわけなんよね」。
尾の先端についている泥を取り除いてから料理するのだそうだ。
「『メカジャ』の味を残さんといかんから、軽く味付けして煮込むだけ。うちは、味付けは味噌だけやね。殻の緑色がよく映えるようにね」。
できあがった料理は身も旨いが尾の部分も味わい深い。
「火を入れても殻は開かないので、自分で開いて食べんといかんね。尾の中にある芯みたいなのがコリッとして味も旨いんよね。昔は今の大きさの倍ぐらいあったけん、尾も中の芯も太かったよ。根元をちゅっと吸って食べるのが旨かったね。昔は身とその芯だけしか食べよらんかったけど、今は『メカジャ』は貴重品やけん、尾の外側まで食べるようになったね(笑)。『メカジャ』は、地元の人はいやがおうでも食べさせられよったけど(笑)、今は高級品になってしまっとるね」。
『メカジャ』や有明海の魚介は佐賀の方よりも県外の方が多く食べられるのだそうだ。
「来県者を接待する会では『有明海の味を入れとって』とよく言われるね。有明海の魚介は、県外の方は食べたことない人がほとんどだから、はじめての人はためらうし、写真で見せてもぎょっとするよね。食べてもぎょっとする人もいるかもしれん(笑)。でも、佐賀の人はみんな好きやし、まだ知らないたくさんの方に食べてもらいたいね。『メカジャ』は生きた化石と呼ばれることもあるし、古代のロマンの味がすると思うよ(笑)」。
取材時に訪れていた店内で、長谷川さんの元気のいい声が響く。「佐賀の珍しいもの出していきますよ〜。2人なら4種盛りを2つよりも8種盛りがいろいろ食べられていいよ!」。
長谷川さんはお店を訪れた佐賀ならではの味を食べたお客様に、手作りの“郷土料理認定書”をプレゼントしている。
「初段から七段まであるんやけど、1回来てくださるごとに段があがっていくんです。一度にいろんなものを食べても段は上がらんよ(笑)。それは一年を通していろんな味わいがあるから。何度も足を運んでいただいて、四季折々の有明海の魚介の味を楽しんでいただきたいと思っとるけんね」。
泥がついている肉茎の先を取り除ききれいにしておく
殻の緑色が映えるように、味付けに使う調味料は味噌だけだ
煮込み過ぎると身が小さくなってしまうので味噌を加えた煮汁で軽く煮込む
入口ではユニークなカッパの石像も出迎えてくれる居酒屋。居酒屋メニューに加えて、有明海の魚介を使ったものなど佐賀ならではのメニューも多いので、県外からのお客さんも多い。陽気な店主・長谷川洪治さんとお話しながら何を食べるか決めるのも楽しい。佐賀のご当地グルメ『シシリアンライス』880円は、昼も夜も食べられる人気メニュー。
住所 | 佐賀県佐賀市駅南本町4-24 |
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電話 | 0952-26-4244 |
営業 | 11:30〜13:30/17:00〜OS22:30 |
定休日 | 第1・3日曜休み |
席 | 60席 |
カード | 可 |
駐車場 | なし |
URL | http://kappatei.homepagelife.jp/ |