骨付きのまま焼く店もあれば、ぶつ切りにしてから焼く店もある。ぶつ切りにする店は、ぶつ切りの大きさにまで気を配っている
味付けのベースとなるのは塩。作り手が厳選した塩や、特製の炒り塩を使っている。薬味として、ゆず胡椒がつく場合も多い
単純に炭火の上の網にのせて焼くわけではない。炭火に鶏の脂を入れることで炎を大きく立ち上げ、一気に焼き上げる
宮崎市の繁華街・ニシタチ(西橘通り)。日々にぎわいを見せる通りにある巨大な蒸気機関車が『蒸気屋』の目印だ。お店の前の看板には『もも焼き』『しゃぶしゃぶ』など、地鶏を使ったメニューが並んでいるが、そのすべてに使われているのが『みやざき地頭鶏』だ。
お店に入ってすぐ右側がカウンター。その内側にある厨房の一角で、日々大きな炎と格闘しているのがもも焼きを料理する上田良満さんだ。いつもオシャレな帽子をかぶって料理されている。
「炎で髪の毛が焦げないようにというのもあるし、天上から脂が落ちてくることもあるんですよ(笑)」。
炎をあげる前にまず下ごしらえ。ぶつ切りにされた鶏のもも肉に塩麹と塩コショウがまぶされる。
「塩麹を使うと、肉にコクが出ますね。食べ比べるとすぐに分かるくらいの差が出ます」。
炭の中に鶏の脂を入れると大きな炎が上がり、厨房内は一気に熱くなる。中華料理に使う油切り(中華鍋の底に幾つもの穴があるようなもの)の上に下ごしらえしたもも肉をのせて、炎の中に入れる。トングでもも肉をころがすのだが、油切りの柄もトングも長くはない。
「手はとても熱いんですが、柄が長かったりするとどうも勝手が違ってうまくいかないんですよ。長くやっていると熱いのにも慣れますしね(笑)。昔はガスなんかなかったから、当然炭火で焼いてました。それに昔は、家でも鶏を飼っていたわけだから、鶏の炭火焼きが食べられていたのも自然な流れかもしれないですね。そして、この焼き方が一番美味しいんです! 私も小さい頃から食べていましたよ。焼きすぎないようにして、中は少しレアなくらいで焼き上げます。脂も旨味ですが、多すぎると重たくなります。炎の中で焼くことで、余分な脂がとばされますね。でも肉汁はしっかりと残っているんです」。
焼き上がったもも肉は鉄皿の上に盛られ、そこには柚子こしょうではなく特製味噌がのせられる。
「宮崎の鶏のもも焼きは、どこで食べても美味しいと思います。店によってこだわりがあると思いますが、うちのこだわりの一つは、柚子こしょうではなくて、特製味噌を添えることです。作り方は秘密ですが(笑)」。
口の中に入れるとプリプリとした食感と、広がるみやざき地頭鶏本来のコクのある旨味。爽やかな香りを持ち、ピリッと辛い特製味噌もよく合う。
「芋焼酎の20度ロックがよく合いますよ。冬はお湯割りもね(笑)」。
もも焼きに特製味噌を使うというこちらの“こだわり”。さらに、自社生産の、より新鮮な『みやざき地頭鶏』を使うことにも“こだわり”があるとのこと。
「小林市にある『えびの地頭鶏牧場』で育てています。自然に恵まれた霧島山麓で自然飼育を行っているんです。抗生物質やホルモンなどを一切与えないで、大麦中心の無農薬野菜のみを飼料とした自然飼育なので、月間500羽ほどしか生産されません。しっかり育てた鶏肉の味は、食べるとすぐにわかりますよ。店には、〆て解体された鶏の第1便が、開店に合わせて届きます。その後、数時間おきに、第2便、第3便と3回に分けて届きます。より鮮度の良いものを食べていただきたいからなんです。売切れになることも多いので予約していただいたほうがいいですね」。
もも焼きに欠かせないキュウリは、宮崎県・綾町(あやちょう)で、無化学肥料・無農薬で育てられたもの。一見、単純に見える料理の裏側には、様々な気配りがなされているのだ。
自然に恵まれた霧島山麓で、大麦中心の無農薬野菜のみを飼料とした『みやざき地頭鶏』を使用。食べやすい大きさにぶつ切りする
ぶつ切りにしたもも肉に、塩コショウと塩麹をまぶす。塩麹を使うことで肉の味にコクが出る。柚子こしょうではなくて、特製味噌を添える
炭の中に鶏の脂を入れて大きな炎を上げ、中華料理に使う油切り(中華鍋の底に幾つもの穴があるようなもの)の中で、もも肉を転がす
自社農場で育てられた『みやざき地頭鶏』は、その日にさばいたものが、時間の間隔をおいて1日に3度届くという新鮮さが自慢。『特選もも焼き』は塩コショウに加え、塩麹を混ぜることで、よりコクのある味わいに焼き上げる。『みやざき地頭鶏』を使ったしゃぶしゃぶも人気の品だ。
住所 | 宮崎市中央通1-16 ABCビル1階 |
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電話 | 0985-20-8755 |
営業 | 17:00〜翌2:00 |
定休日 | なし |
席 | 100席 |
カード | 可 |
駐車場 | なし |
URL | http://www.jyoukiya.com |