胸肉、もも肉、ササミなど家庭ごと、店ごとに様々な部位を使う。ニンニクや醤油などで下味をつけ、適当な時間ねかせておく
衣の材料は冷水、小麦粉、卵。卵の分量を多めにすることで、ふんわり感が出るように揚げるのが『とり天』の特徴だ
酢醤油、カボスを使ったポン酢、天ぷらのツユなどで食べる。いずれもジューシーな鶏肉に合うようにさっぱり目に作られている
ブティックも多くておしゃれな街・府内エリアに位置する『創作和食 居酒屋 夜噺』。大分の新鮮な魚介類を使った刺身はもちろん、一工夫された創作和食メニューがずらりと並ぶ。そんな中、『とり天』も大切なメニューの一つだ。
「『とり天』は大分を代表する料理ですから。それに、大分の人は鶏肉好きだし『とり天』も好きですね。弁当屋から居酒屋までどこにでもあるものだし、私も好きですよ。」
と、専務の永松裕史さん。厨房に案内していただき、こちらの『とり天』の作り方を見せていただいた。
“創作和食”とうたっているお店だけに、『とり天』にもこちらならではの一工夫。2種類の鶏肉を使っている。
「うちはもも肉とせせりの2種類の鶏肉を使っています。もも肉は一口大に切り、せせりは細かく切ります。せせりは鶏の首の部分で、身がしまっていて独特の歯応えがいいですね。別々のボールに入れて、おろしニンニクとニンニク醤油で下味つけます。味に変化をつけるため、もも肉だけは塩こしょうもしておきます。もみこんでしばらくねかせておくんです」。
下味のついた鶏肉は、衣をつけて揚げる。
「衣はたっぷりとついた状態で揚げていきます。せせりは、かるくまとめてかき揚げのようにして揚げます。揚げすぎるとニンニクの風味がとんでしまうので、油から引き揚げるタイミングが大切ですね。油をよく切ったらできあがりです」。
揚げたての『とり天』にタレとからしをつけていただく。もも肉のジューシーな食感、せせりの歯応え、さっぱりとしたシンプルなタレに食もすすむ。
「タレは酢と薄口醤油1対1のシンプルなものです。私たちは酢ダレとも呼んでいます」。
2種類の鶏肉を使うところは、こちらならではだが、味付けはいたってシンプルなのだ。
「ニンニク、醤油、塩こしょうが味付けの基本ですね。うちは下味にショウガも入れないし。『とり天』が何十年も愛され続いている秘密は、シンプルな味付けで美味しいということなのではないかと思うんです。だから、うちもシンプルにしているんです」。
もも肉とせせりの2種類の鶏肉を使う。もも肉は一口大に切り、せせりは細かく切り、おろしニンニクとニンニク醤油で下味をつける
衣はたっぷりついた状態で揚げる。せせりは、かるくまとめてかき揚げのようにしている。揚げすぎてニンニクの風味がとばないよう注意する
酢と薄口醤油1対1で合わせたシンプルなもの。こちらのお店では、酢ダレとも呼んでいる。からしも添えられる
ゆったりしたソファーが置かれたカウンター席以外は全室個室。近くの港に揚がる魚介類をはじめとした旬の素材に細かな手間をかけた創作和食を、プライベートな空間でいただける。『とり天』は “せせり”を細かくぶつ切りにして小さなかき揚げのように揚げたものと、もも肉を揚げたものの2種類が一皿に盛られ、各々の味わいの違いを比べられる。