九州の味とともに 冬

沖縄 ソーキ汁

ソーキ、島豆腐、昆布などがのる
祝いの席で食べられる汁物料理

沖縄でソーキと言えば、豚の骨付きあばら肉のこと。醤油や砂糖などを合わせた煮汁で煮込んだソーキを中心に、昆布、冬瓜、大根、島豆腐(沖縄ならではの製法で作られた豆腐。大豆の味わいが濃厚で木綿豆腐よりも固いのが特徴)、小松菜やレタスといった青菜などたっぷりの具材が入った料理が『ソーキ汁』だ。“汁”という名前だが、具沢山で “鍋物”のようなボリューム感がある。

“汁”のベースは、出汁用豚骨や豚の三枚肉から時間をかけてとる出汁が基本。そこに作り手それぞれが、昆布やカツオ節からとる出汁、鶏ガラ出汁などをブレンドする。出汁の味わいを生かすため、調味料は塩や少しの醤油などしか使わない。骨から身がほろりと取れるやわらかなソーキの旨味に、滋味深いスープがからまり美味。豚肉、昆布、大根または冬瓜(地域によっては青パパイヤを使うところもある)が一緒に食べられ、栄養のバランスもいい料理だ。

近頃は『ソーキそば』のほうが広く知られるようになったが、『ソーキ汁』も沖縄では昔から親しまれていた一品。元々は暮れや大晦日によく食べられていたが、その後、結婚式や結納など、人々が集まる祝いの席や日常でも食べられてきたそうだ。

沖縄の豚肉料理と『ソーキ汁』について

『イチから琉球料理』『沖縄の行事と食』などの著書があり、沖縄の食文化を研究されている松本料理学院の松本嘉代子先生にお話をうかがった。

「沖縄の料理のベースには豚肉があります。

かつて、各農家は豚を飼っていました。それを正月を迎える暮れにつぶすのです。肉や脂はもちろん、ミミガー(耳皮)、足ティビチ(豚足)、内臓など頭のてっぺんから足の先まで食べていました。

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血も炒め物に使っていたんですよ。出汁についても肩骨とか背骨とかをアクをとりながら2〜3時間煮るといい出汁が出るんです。尻尾の部分が一番コクのある出汁がとれますね。赤身肉もゆでると美味しい出汁が取れますが、やはり出汁骨のほうが濃い味が出ます。豚の出汁以外にも沖縄ではカツオ出汁をたくさん使います。野菜の料理には豚出汁を、肉料理にはカツオの出汁を使うことで味わいのバランスも栄養のバランスもとれるのです。また、出汁が濃ければ塩分は少なくてすみますから、生活習慣病の予防にも役立ちます。

『ソーキ汁』は、元々は、お正月を迎える前、大晦日に作って食べていた料理です。お正月に食べるのは、『中身汁(豚の大腸、小腸、胃を使った汁物)』や『イナムドゥチ(豚肉を使った白味噌仕立ての汁物)』ですね。その後、『ソーキ汁』は人が集まる時にもよく食べられるようになりました。『ソーキ汁』に入るソーキは肋骨二本取りが基本の形です。冬は大根ですが、夏は冬瓜を入れることが多いようです。そして具材として、昆布も欠かせません。肉のたんぱく質、昆布のミネラル、野菜のビタミンととてもバランスのいい料理ですね。豚の旨味、昆布の旨味、カツオの旨味などで作る“汁”の味付けの基本は塩だけ。隠し味に少しだけ醤油を入れることもありますが、具材の旨味がわかるようにシンプルな味付けですね」。


沖縄の食文化を語ってくださる松本先生


■松本料理学院
那覇市泉崎1-9-13
電話/098-861-0763
http://matucook.sakura.ne.jp

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「ソーキ汁」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
汁

豚骨や豚の三枚肉からとった出汁に、昆布やカツオ節からとる出汁、鶏ガラ出汁などが加わる。味付けは塩や少しの醤油のみ

具材

醤油や砂糖などを合わせた煮汁で煮込んだソーキを中心に、昆布、冬瓜、大根、島豆腐、チンゲンサイなどの青菜が入る

作り方

あらかじめ作っておいた“汁”に青菜以外の具材を合わせて煮込む。最後に青菜を入れて一煮立ちさせればできあがり。

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