スケトウダラの卵の質が明太子の味を決めるため、各社とも仕入れには細心の注意を払う
調味料に含まれる出汁の材料、唐辛子の品種や加工法、隠し味的な調味料などが明太子の味わいの特徴を決定付ける。各社とも詳細は秘密だ
美味しい明太子を作るため、漬け込み時間、漬け込み室の温度、途中のもみこみなど、各社独自のやり方で行なわれている
1971年1月27日創業で2021年に50周年を迎える『かねふく』。福岡市東区にある博多工場を訪ね、研究室の舟越徹さんと製造部の江口博美さんにお話をうかがった。「私たちはみなさんに受け入れられる味を目指し、旨味、辛み、塩分のバランスを大切にし、つくり続けています。おかげさまで、小さいお子さんからお年寄りまで幅広い世代に支持していただいています」。
工場内に案内していただき、工程を見せていただいた。“工場”とはいっても、多くの方が手作業をされているのがすぐにわかる。「ローテクなんですよ(笑)。冷蔵や冷凍設備は進化していますし、一部機械化されている部分もありますが、かなりの部分が手作業。やっていることは基本的に創業時から変わらないんです」。『かねふく』の信条は『原卵ありき』。漁獲後船上ですぐに採卵、急速凍結された、新鮮で上質なスケトウダラの卵を直接買い付ける。そこから明太子づくりが始まる。
(1)原料解凍
(2)洗浄・選別
(3)一次調味(塩漬け)
「原料に塩と調味料を加え、ゆっくりと一晩かけて攪拌を行い塩漬けします。明太子にとって“粒立ち(つぶつぶ感)は重要ですが、それはこの塩漬けによって決まるのです。原料の持っている力を最大限に引き出す工程でもあります。現在は大きな樽に入れ、回転機を使ってゆっくりと攪拌しながら漬け込んでいます。昔は攪拌を手作業でやっていましたから楽にはなりましたが、回転のさせ方というのはポイントですね」。
(4)選別
「塩漬けが終わったものを人の手で1つずつチェックし、大きさ、品質、熟度などを選別していきます。幅や長さが一定していることはありませんし、一つ一つ状態も違います。1つずつ手で触ることによって、状態を判断しているのです。いろんな性格の卵があるので、本当に子どもを扱うような感覚なんですよ(笑)」。
(5)二次調味(液漬け)
「調味液に漬け込み、約48時間熟成させます。調味液の材料ももちろんこだわったものばかりです。減塩、産地にこだわった調味料を使ったものなど7種類ほどの調味液があります」。
(6)計量・製品化
(7)品質管理
「最後に品質管理部門で品質チェックを行ない、厳しい検査に合格したものだけが出荷されます。味わいや風味に関しては工程ごとに担当者が口にしてチェックを行なっていますが、体調によって味覚にも違いが出てしまいますので、健康管理も重要です」。
見学させていただくと、初めにお話していただいた“手作業”という言葉がよくわかる。 「私たちの明太子づくりは、機械には頼れない、人がやる部分が大きいのです。スタッフみんなで一緒に明太子をつくっているんです。だから、スタッフ同士のコミュニケーションも欠かせない力ですね。みんな“美味しくなーれ”という気持ちを込めて日々の仕事に取り組んでいます!原料から一貫して製造していますから、お客様に安心・安全な明太子を提供できるのも誇りです。この味を今後も守っていきたいですね」。
明太子といえば、土産品や贈答品というイメージをもっている人も多いかもしれない。しかし、惣菜として食べていただけるようにがんばりたいとお二人。「温かいごはんとはもちろんですが、卵焼きに入れたり、何に入れても美味しいし、何にでも合いますから、食材としても魅力的だと思います」。『かねふく』では、工場見学ができ、直売店やフードコーナーも併設した体験型施設『めんたいパーク』を全国5か所で運営。『かねふく』の明太子づくりへの情熱と明太子の美味しさを伝えている。
スケトウダラの卵は直接買い付けている。工場でゆっくり解凍し、つぶつぶ感が出るように塩漬けする
調味液の材料も吟味したものばかり。減塩、産地にこだわった調味料を使ったものなど7種類ほどの調味液がある
調味液に漬け込み、約48時間熟成させる
上質なスケトウダラの卵の調達と塩漬けを自社で行なうことで生まれるのが最高のつぶつぶ感。塩分やピリッと感もほどよく…幅広い世代に受け入れられるバランスのいい味わいづくりを目指している。博多工場に併設された直売店ではお得な量り売りも行なわれており、毎週火曜と金曜限定に『できたて生明太子』も量り売りされる。
住所 | 福岡市東区東浜1-5-17 |
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電話 | 092-631-3090 |
営業 | 10:00〜18:00 |
休み | 水曜(祝日の場合は翌日休み) |
カード | 可 |
駐車場 | あり |
URL | https://www.kanefuku.co.jp |