九州の味とともに 冬

この料理の"味のキーワード"

下ごしらえ

カツオの腹皮は、生でも冷凍でも売られているが、塩焼きをする前に洗ったり、小骨を抜いたり丁寧な下ごしらえが行なわれる

塩焼きの焼き方

店では、天火で身のほうから焼き、その後ひっくり返して皮面を焼く。焼き過ぎると身が固くなるので注意が必要だ

おすすめのもう一品

カツオの腹皮は塩焼きが一番ポピュラーな食べ方だが、その他にも天ぷら、煮物、唐揚げなど様々な料理が作られている

語り 展望レストラン ぶえん 栗野末信の「カツオの腹皮」

栗野末信さん

目の前に枕崎漁港を望む『枕崎お魚センター』。1階は港から直送される新鮮な魚介類の直販や、カツオ節をはじめとした特産品が売られている。そして、2階が『展望レストラン ぶえん』。店名の『ぶえん』とは、“無塩〜塩をしなくてもいいほど新鮮な魚〜”という意味の言葉だ。カツオの刺身、カツオのタタキ、カツオのビンタ料理(頭料理)など新鮮なカツオを使ったメニューが豊富に用意されている。2011年に鹿児島県の『S1グランプリ(商店街グルメグランプリ)』でチャンピオンとなった『鰹船人めし(かつおふなどめし)』も売り出し中。『鰹船人めし』は、ごはんの上にカツオの切り身やカツオ節をのせ、その上から枕崎産本枯れ節を使った出汁をかけて食べるという、漁師飯だ。

カツオ料理が並ぶメニューの中に『腹皮の塩焼き』も並んでいる。厨房で、料理長・栗野末信さんにお話をうかがった。
「『腹皮の塩焼き』に使われる腹皮も新鮮なカツオのものですよ。その日に揚がったカツオの腹皮を使うので抜群の鮮度ですね。冷凍ものは白っぽいですが生のものは色が赤いですね。冷凍ものは鮮度が悪いというわけではないのですが、やっぱり私は新鮮なほうが好きかな。1年中食べられますよ」。

新鮮な腹皮のエラとヒレを落とし、小骨を抜く

新鮮な腹皮は、丁寧に下ごしらえされる。
「まず、エラのところを取ってヒレを取り、2つに分けます。エラがついたままだと、焼いた時にくるっと丸くなって焼きにくいし、均一に火が通りにくくなるんですよ。こうやってエラを取っておくと、焼き上がった時もまっすぐな平たい状態になって食べやすいですね。中央の黒い部分には小さな骨があるので、皮をはぎとるようにして抜きます。側面の骨は、毛抜きで丁寧に抜いておきます。下処理したものを海水と同じくらいの塩分濃度の塩水につけて1時間ほどおいておきます」。

皮面を下にして身のほうから天火で焼く

塩味が染み込んだところで、皮のほうを下にして天火で焼く。適度なところでひっくり返すと脂がしたたり落ちる。

焼き加減を見ながらひっくり返す。焼いていると脂が滲み出る

「腹皮はカツオの中で一番脂がのっている部位ですからね。脂がのっているほうが美味しいですよ。脂が特にのっている腹皮は、初めに触った時、ぬるっとしている感じですね。サンマほどじゃないですが、焼くと独特の香りが厨房中に広がります」。

ほどよく焼けた腹皮はレモン、大根おろしが添えられ、皿に盛られる。
「食べ方はかぶりつくのが一番いいですよ。レモン、大根おろしの薬味と一緒だとさっぱり食べられますね。私も腹皮の塩焼きは大好きですよ。焼酎のいいつまみになります。小さい頃はふかしたサツマイモと一緒に食べていましたね」。

腹皮を使ったおすすめの料理をもう一品作っていただいた。

腹皮を醤油、みりん、酒で作ったタレに入れて味を染み込ませた後、小麦粉をつける

「腹皮の天ぷらも美味しいんですよ。塩水につけた腹皮を醤油、みりん、酒で作ったタレに入れてしばらくおいて漬けのように味を染み込ませます。それに小麦粉をはたいて衣をつけて揚げるんです。味はついていますからそのままどうぞ」。

さらに衣をつけて揚げる『腹皮の天ぷら』

外側はカリッ、味が染み込んだ中はジューシーで、こちらも焼酎のつまみにぴったりだ。
「新鮮な腹皮は湯引きにして酢味噌で食べたりもしますよ。湯にさっとくぐらせて、ほぼ生の状態で食べるんです。湯引きにすることにより、余分な脂とカツオのクセが取れて食べやすく美味しくなるんです。カツオは頭も料理するし、内臓は塩辛にするし、捨てるところがない魚ですね」。

カツオが揚がる漁港を見ながらカツオ料理の数々を味わうと、海の恵みに感謝せずにはいられない。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

下ごしらえ

よく洗いエラとヒレを取り、小さな骨は毛抜きで抜く。海水と同じくらいの塩分濃度の塩水につけて1時間ほどおいておく

塩焼きの焼き方

腹皮に味が染みこんだら、皮面を下にして身のほうから天火で焼く。適度なところでひっくり返して皮のほうにも火を通す

おすすめのもう一品

『腹皮の天ぷら』。塩水に漬けておいた腹皮を切って醤油、みりん、酒で作ったタレに入れてしばらくおき、小麦粉をまぶして揚げる

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展望レストラン ぶえん 目の前の漁港から届く新鮮なカツオを

枕崎漁港横にあり、港から直送される新鮮な魚介類の直販や、カツオ節をはじめとした特産品が売られている『枕崎お魚センター』。その2階にあるのが、窓から海が見える『展望レストラン ぶえん』だ。刺身やタタキなど新鮮なカツオを使った料理が食べられる。塩焼きに使う腹皮も鮮度抜群で、丁寧に小骨も抜かれていて食べやすい。

『腹皮塩焼き』500円
『腹皮天ぷら』500円※要予約
『船人めし(ふなどめし)』840円。11:00〜13:30で1日10食限定
魚が泳ぐアクアリウムもある店内
お魚センター1階には枕崎ならではのお土産が並ぶ
港がすぐ横というロケーション

展望レストラン ぶえん

住所 枕崎市松之尾町33-1 枕崎お魚センター2階
電話 0993-73-2311
営業 11:00〜15:00
定休日 なし
200席
カード
駐車場 あり
URL http://makurazaki-osakana.com/
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