豚骨や豚の三枚肉からとった出汁に、昆布やカツオ節からとる出汁、鶏ガラ出汁などが加わる。味付けは塩や少しの醤油のみ
醤油や砂糖などを合わせた煮汁で煮込んだソーキを中心に、昆布、冬瓜、大根、島豆腐、チンゲンサイなどの青菜が入る
あらかじめ作っておいた“汁”に青菜以外の具材を合わせて煮込む。最後に青菜を入れて一煮立ちさせればできあがり
「お待ちの方、お待たせしました〜」という元気な声が響く。『いちまん御膳 南の駅 食道』は、糸満市の特産品がそろう『糸満市物産センター遊・食・来(ゆ・く・ら)』のフードコート内にある食事処だ。写真付きで壁に貼られたメニューには、『ソーキそば』をはじめ、『アーサ汁(アオサを使った汁物)』、『イナムドゥチ(豚肉を使った白味噌仕立ての汁物)』など、沖縄ならではの料理が並ぶ。「ベテラン主婦6人で、家庭で作るうちな〜料理(沖縄料理)を提供しようとがんばってます!」と話してくださるのは職長・比嘉とみ子さん。値段も含めて気軽に利用でき、地元の方も数多く訪れるお店だ。
『ソーキ汁』の写真入りメニューの下には簡単な説明が書かれている。『古くから伝わる伝統料理。ソーキとは豚のあばら肉(スペアリブ)のことで祝事などで振舞われる家庭料理。具材は豚あばら肉、冬瓜、昆布、豆腐』。比嘉さんがさらに説明してくださる。
「結納とか結婚式の時やお正月など、人が集まるお祝いの席によく作っていました。昔はそういう行事をみんな家でやっていましたからね。大鍋でたくさん作って、近所の親戚が鍋を持って取りに来たりもしていましたよ。幼い頃、『ソーキ汁』はごちそうでしたから、うれしかったことを覚えています。昔はお正月に豚1頭つぶしていろんな料理に使っていましたからね。『ソーキ汁』もその1つです。今は『ソーキ汁』を作る人が少なくなってきたので、お店に食べに来てくださる方も多いんです。『ソーキ汁』とか『テビチ汁(豚足を使った汁物)』は、「今日はがっつり食べよう」とか、「元気が出るように食べよう」という時に食べる方が多いようです。私も大好きですが、孫も大好きですよ(笑)」。
『ソーキ汁』の作り方について教えていただいた。『ソーキそば』のツユにも使われる“汁”作りは手間と時間をかけて行なわれている。 「大鍋でソーキと豚の中骨をゆで、一度ゆでこぼします。さらに2時間ほど下ゆでしてきれいにした後、アクを取り除きながら丸一日炊いていきます。最後にカツオ節を加え、味付けは塩のみです」。
注文が入ると、鍋に“汁”と具材が入れられる。「具材はソーキを2つ(小さい時は3つ)、島豆腐、下ゆでしている大根と結んだ昆布、青菜を入れます。時期によって冬瓜を使っています。青菜は、今日はレタスを使っていますが、地元の小松菜を使うことも多いですね。糸満は島豆腐が美味しいことでも知られているんですよ。一煮立ちさせて丼に入れたらできあがりです」。
具材はどれも大きめでボリューム満点。やわらかなソーキの味とともに、豚とカツオの出汁から生まれる“汁”の味が体に染み込んでくる。「シンプルですが、出汁の味がいいでしょう? 飾り気はないけど美味しいよ!(笑)」。まさにアンマー(沖縄で母親を意味する言葉)の温もりを感じられる味わいだ。「私たちの愛情いっぱいよ〜(笑)」。そのまま食べても美味だが、酢を入れたり、コーレーグース(島唐辛子を泡盛に漬け込んだ調味料。ピリリとした辛みと独特の香りをもつ)を入れても美味しいそうだ。
にこやかな笑顔でお話ししてくださった比嘉さんとスタッフのみなさん。取材を行なったのは、ランチタイム後の一息ついた時間だったが、厨房では明日のための“汁”作りが行なわれていた。
下ゆでしたソーキと豚の中骨をアクを取り除きながら丸一日炊いた後、カツオ節を加える。味付けは塩のみだ
島豆腐、下ゆでしている大根と結んだ昆布、青菜。時期によって冬瓜が使われることもある。青菜は地元産のレタスや小松菜など
注文が入ると、鍋に“汁”とソーキ、島豆腐、大根、昆布、最後に青菜を入れ、一煮立ちさせてできあがり
糸満市の特産品がそろう『糸満市物産センター遊・食・来』の一角にある食事処で、主婦6人が家庭で作る沖縄料理を提供。壁に貼られたメニューには、ソーキそばや沖縄ならではの定食類が並ぶ。『ソーキ汁』の汁は、ソーキと中骨を炊き、カツオ節を加えて塩のみで味付けたシンプルな味わい。ソーキ、島豆腐、昆布などの具材も大きめで温もりが感じられる一品だ。
住所 | 糸満市西崎町4-19-1 糸満市物産センター遊・食・来(ゆくら) 1階 |
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電話 | 098-987-0530 |
営業 | 09:00~19:00 |
休み | なし(※台風時休み) |
部屋数 | 32席 |
カード | 不可 |
駐車場 | あり |
URL | http://www.yukura.jp |