材料は豚の三枚肉と塩だけの場合が多い。塩は沖縄の海水から作る島マースが使われている
三枚肉にたっぷりの塩をまぶし数日間ねかせる。その後、茹でて塩抜きする。塩と一緒に脂もほどよく抜ける
塩抜きしたものをスライスしてそのまま食べることもあるが、スライスしたものを軽く焼き上げて食べることも多い
屋根の赤瓦、琉球王朝時代の屋敷を再現した建物…新都心と呼ばれる街中にありながら、落ち着いた雰囲気が漂う。一番座、裏座、離れ、縁側、中庭舞台席、中庭ござ席があり、どこに座っても昔ながらの沖縄を感じられる空間だ。
「観光の方はテレビで見た沖縄のイメージで沖縄に来られますが、意外に都会でびっくりされるようですね。私たちの店に来られて沖縄を感じる方も多いようです(笑)」。
総料理長・比嘉太一さんが手がける料理は、“ザ・沖縄”とも言える伝統的な郷土料理や家庭料理に加え、メインとなる創作うちなー料理(沖縄料理)。『スーチカー』も他にはないオリジナルだ。
「『スーチカー』は塩に漬けるという意味の方言で、豚肉を塩漬けした、昔からある代表的な沖縄料理、すばらしい保存食です。昔のおばぁたちは作っていましたが、今はあまり家庭では作られていないようですね。公設市場(国際通り近くにある那覇市牧志第一公設市場のこと)にも売っています。最高のお酒のつまみで、私も初めて食べたのは大人になってからです。通常は豚の三枚肉と塩だけを使って作るのですが、私はさらに旨味を加えたいと考え、伝統的な『スーチカー』をベースにアレンジを加えています」。
『おもろ殿内』オリジナルの『スーチカー』作りを教えていただいた。使う豚肉もアグーだ。
「肉は、国頭村の直営自社牧場『おもろ牧場』で発酵飼料を使って飼育されたアグーの三枚肉です。肉にすりこむのは島マースだけではなく、ネギ、タマネギ、ショウガ、ニンニク、コショウも合わせてフードプロセッサーでペースト状にしたものをすりこみます」。
「三枚肉はブロック状態ではなく、切ってバットにのせてペーストをすりこみ、1時間半ほどねかせるのです」。
「試行錯誤して、1時間半という時間でちょうどいい感じで肉に味が浸透することがわかりました。肉の厚さは1cmほど。薄くすると食感がなくなるし、この厚さがベストですね」。
こちらでは、この後、茹でることはしない。
「漬け込みが終わったら、水で洗って、ロースターで焼いてほどよい大きさに切りできあがりです」。
「茹でませんからジューシーな『スーチカー』ですね。『スーチカー』は一般的に少し塩辛いイメージがありますが、うちのはちょっと違うんですよ(笑)」。
沖縄特有の赤瓦に盛られた『スーチカー』にはレモンが添えられる
「6〜11月はシークワーサーを添えています。甘味と香りがいいですね」。
特製ペーストで独特の旨味が加えられた『スーチカー』には、アグーが持つ脂の甘味も感じられる。
「メニューに載せているのは『スーチカー炙り焼き』だけですが、2回目以降のご来店でお願いしていただければ、『スーチカー入り野菜炒め』などもお作りしますよ(笑)」。
空間からも料理からも沖縄を感じさせてくれる『おもろ殿内』。毎月第1・3水曜の夜には三線ライブが行なわれ、より色濃い沖縄の雰囲気を楽しむことができる。
直営自社牧場で飼育されたアグーの三枚肉と、島マース・ネギ・タマネギ・ショウガ・ニンニク・コショウを合わせたペーストを使う
厚さ1cmに切った三枚肉に特製ペーストをすりこみ、1時間半ほどねかせる。茹でて塩抜きすることは行なわない
漬け込みが終わった三枚肉を洗ってロースターで焼き上げてほどよい大きさに切ってできあがり。野菜炒めに使うことなどもある
赤瓦に個性的な5つのタイプの部屋と中庭…琉球王朝時代の屋敷を再現した建物は、街中にありながら当時を偲ばせる趣深い空間だ。料理は伝統的な沖縄の味に加えて、創作うちなー料理を楽しめる。『スーチカー』もこちらならではで、アグーの三枚肉を島マース、ニンニクなどをペースト状にしたものに漬け込んだ後、焼いて仕上げる。アグーの脂の甘さが際立つ一品だ。
住所 | 沖縄県那覇市安謝1-2-3 |
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電話 | 098-866-7395 |
営業 | 11:30〜OS14:00/17:00〜OS24:00(日曜〜OS23:00) |
休み | なし |
席 | 120席 |
カード | 可 |
駐車場 | あり |
URL | http://www.omoro-kikaku.com/ |