料理人の繊細な技から生まれる
夏に咲く美しいぼたんの花
出汁にくぐらすこと数秒、その身はくるくるっと丸まり、ぼたんの花のようになる。小骨が多いハモだが、料理人が数センチの身に数十回の包丁を入れ骨切りをし、さらに皮一枚だけを残すという技があればこそ花は開く。
本州中部より南側の深海に生息するハモは、特に関西地方では京都などで夏の味覚として欠かせない魚。しかし、九州・大分でも山国川の恵みを受ける豊前海をはじめ、大分近郊の海で獲れる美味しいハモが食べられる。その味は関西に負けてはいない。
ハモの身は上品な味わいだが、その姿はごつい歯を持ったうなぎのようで、水から揚げても3日間は生きているというとても生命力の強い魚だ。初めはまな板の上で暴れるハモを、料理人が“ぼたんの花”にするために丹念にさばいていく。
ある程度火を通すと皮の部分がやわらかくなるが、火を通しすぎると身がかたくなってしまうので、表面が白くなりかけたら出汁からあげる。そしてポン酢につけてほおばる。やわらかさに驚き、その後に広がる上品な甘味がハモの姿と結びつかず、また驚く。生でも食べられる身を、あえてしゃぶしゃぶにし、旨味をとじこめて食すという贅沢な料理がはもしゃぶだ。
ウナギの仲間で、ウナギと同様にウロコがなく表面はヌルヌルしており、体型も似ている。日本では本州中部より南に生息する。体長は1mほどのものが多く、鋭い歯を持った肉食魚
京都では別名『ハモ祭り』とも呼ばれる『祇園祭』で食べられる習慣があるので、ハモ料理はとても身近なものとなっている。また、中津の行商人が京都にハモを伝えたとも言われているが、それはハモの強い生命力があればこその話だ
福岡県と大分県の県境付近を流れる川。上流中流では紅葉が有名で、多くの葉が落ちた後、その養分はやがて山国川に流れ込む。養分は河口に広がる中津の海に流れこみ、豊かな海になる。栄養が豊富なその海に、魚たちも集まってくるようだ
産地、鮮度に各店の料理人は気を配っている。小骨を多く持つハモには『骨切り』という技術が必要となり、料理人の技の見せどころ
上品な昆布出汁が基本。ハモの身の旨さを引き出すには、出汁のいい香りと旨味も欠かせないものだ
ほのかな甘味を持つハモの味を引き出すのがさっぱりとしたポン酢。大分では、特産のカボスを使ったポン酢がよく使われる
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