九州の味とともに 冬

博多明太子

福岡 博多明太子

卵のぷちぷち感と辛さがピリッ
博多を代表する名物

博多を代表する味として全国的に知られる『博多明太子』。北の海で育つスケトウダラの卵を一度塩漬けした後、塩抜きして出汁や唐辛子などを材料とした調味液の中に漬けて熟成させる。『ふくや』創業者・川原俊夫さんが生誕の地・釜山で親しんでいた『明卵漬(ミョンランジョ)』をヒントに生み出し、1949年1月10日に販売が始まった。

ぷちぷちとした食感の中に広がる塩味と旨味、唐辛子のピリっとした刺激…今では多くの店が製造しており、基本的な製法は同じだが、明太子を漬け込む調味液や熟成の方法により味わいは千差万別。焼酎のつまみとしてもごはんの友としても最高の一品だ。博多の居酒屋では、明太子を出汁巻卵焼きでくるんだ料理など、明太子を料理の材料に使ったメニューも多い。

かつては保存のために塩分が多かったが、現在は冷蔵・冷凍技術が発達したために昔ほど塩分は多くはない。さらに各店が日々研鑽を重ね、多くの人に好まれるように味わいも変化し続けている。また、バラ子(皮に包まれていない粒だけの明太子)をイワシの腹に詰めた『いわしめんたい』、時代に合わせて減塩したもの、チューブ入りの明太子など新商品も開発されており、明太子は今も進化を続けている。

川原俊夫さん

1913年、韓国・釜山市生まれ。戦後、妻・千鶴子さんと福岡に引き揚げ、中洲市場の一角で1948年に食料品店『ふくや』を開店する。明卵漬をヒントにした『味の明太子』を翌年に発売した。「商売はしっかりと利益を出さなければならない。しっかり納税しなければならない。そして、社格とは出した利益をどのように使うかで決まる」の信念の元、博多祇園山笠の支援をはじめ地元で多くの支援を行なう。1980年逝去。

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●明卵漬
明卵漬(ミョンランジョ)は、スケトウダラの卵巣に塩、唐辛子、ニンニクなどを加えて発酵させたもの。いわば“スケトウダラの卵のキムチ漬け”。川原さんが暮らしていた頃の釜山では一般的な食品だったという。

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「博多明太子」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
具材

スケトウダラの卵の質が明太子の味を決めるため、各社とも仕入れには細心の注意を払う

味付け

調味料に含まれる出汁の材料、唐辛子の品種や加工法、隠し味的な調味料などが明太子の味わいの特徴を決定付ける。各社とも詳細は秘密だ

作り方

美味しい明太子を作るため、漬け込み時間、漬け込み室の温度、途中のもみこみなど、各社独自のやり方で行なわれている

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