有明海で育った濃厚な味わいのカニ
塩ゆでにして甘味と旨味を味わう
『竹崎カニ』は、有明海に面した太良町(たらちょう)竹崎地区の近海で獲れるカニ。種類としては、全国的にも知られている“ワタリガニ(別名ガザミ)”だが、干満の差が最大で6mもある有明海に生息することが格別な味わいを持たせる。干満の差で生じる干潟には、直接太陽の光が降り注ぎ、プランクトンや小動物を滋味豊かにする。それらをエサにしている『竹崎カニ』の甘味も深くなるというわけだ。
塩ゆでが、『竹崎カニ』本来の味が一番よくわかる料理法。身が詰まっているカニを選び、生きているカニに目打ちなどを刺して中央部を突き、一瞬で絞めてから塩ゆでする。生きたままのカニをゆでると、足が全部とれてしまうからだ。カニの状態により、料理人は、塩加減や、ゆで加減を変えてカニの甘味を引き出す。
真っ赤にゆであがったカニを両手で割りながら食べ尽くす。ほどよい塩味の中に身の甘味やカニミソの旨味が広がる。夏は主にオス、冬はメスと一年中食べられるが、冬場のメスが持つ卵は珍味だ。有明海沿岸では、夏のオスを好む人も多いようだ。塩ゆで以外では、刺身、焼きガニ、天ぷらなどにしても美味しい。
■『竹崎カニ』について
竹崎カニの直売を行なっている『しもがま』。かつてはカニ漁もされていた店主・下釜重子さんにお話をうかがった。
「1980年頃は、カニがすごくいっぱい獲れてね、旅館あたりも引き取ってくれなかったんですよ。それで生簀(いけす)を作って売ろうと、この店を始めたんです。今は昔に比べれば獲れなくなりましたね。夏は朝5時くらいから、冬は朝6時半ぐらいから海に出て、船で10分ほど沖合に行ったところに網をしかけています。カニの網はごついものじゃなく、とてもやわらかくて見えにくい網。“幽霊網”とも呼ばれています。その網にハサミやツメがひっかかるので、一匹ずつ取り外していきます。
カニのハサミの半分は、切り落としますが、それにはミカンを収穫する時に使うハサミがいいですね。大潮の時は流れが早くて網にかからないし、冬は冬眠して底に潜ってしまうので、獲れにくいです。5月くらいからよく獲れるようになります。冬はメスが卵をもつから、美味しいよね。けれど、オスも1年中獲れて旨いです。うちの次男坊は、オスしか食べんしね(笑)。大きさは、最大1kgくらいにまで成長するのがいます。私は今はカキの養殖もやってます。ロープに幾つものカキをつないで、海の中に吊るしておくんですが、時期が来て引き揚げると、いろんなものが付着して、ひとつのかたまりのようになってます。知らない人が見てもカキには見えませんね(笑)。それが有明海なんです。栄養分も豊富なのでしょうね。『竹崎カニ』も美味しくなるはずです」。
カニはゆでる前に、目打ちなどで中央部を突いて一瞬で絞めなければならない。絞め方は料理人によって異なる
塩ゆでするという単純な料理だが、カニの状態によって、塩分濃度や、ゆで時間などに細かな調節がなされている
基本となるゆでガニの他、各店は、濃厚な旨味を持つ『竹崎カニ』を使った自慢の料理を提供している
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