九州の味とともに 冬

大分 すっぽん鍋

安心院で古くから知られる美味
豊富なコラーゲンと滋味満点のスープ

太古の時代、沼地だった安心院地方。300〜400万年前のすっぽんの化石も出土しており、古来からすっぽんの生息地だった。

“安心院にすっぽんあり”が知られるようになったのは、安心院出身の政治家・木下謙次郎氏が記した『美味求真』(1925年初版発行)に登場してから。すっぽんは『肉の香味は実に天下匹傅(ひっちゅう)するもの少しと云ふ』〜肉の美味しさは世の中に匹敵するものが少ない〜と書かれている。

安心院には津房川などが流れ、今もすっぽんが生息している。現在は安心院を中心にした地域で養殖されたものを料理に使うことも多いが、新鮮なすっぽんに変わりはない。コース料理には活血、身や肝臓の刺身も登場する。そしてメインは『すっぽん鍋』。甲羅や身をじっくりと炊いた後、プルプルのゼラチン質がついたコラーゲンたっぷりの身や、コラーゲンそのものと言えるエンペラ(甲羅の縁の部分)をいただく。スープに味をつける店もあれば、ポン酢でいただく店もある。さらに野菜をいただき、〆は雑炊。すっぽんの旨味が溶け出した滋味深いスープは最後の一滴までいただきたい。

コラーゲンに加えて、アミノ酸やミネラルも豊富に含む、『すっぽん鍋』。美容にも健康にも効果がある料理として、注目も人気も高まっている。

すっぽん

■すっぽんついて
すっぽんの養殖も行なっている、すっぽん料理の専門店『本家活宝 安心院亭』。店主・塚崎清彦さんにすっぽんの養殖についてうかがった。

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取材当日にふ化したすっぽん

「卵は40〜50日でふ化します。ふ化したすっぽんは、ある程度の大きさになるまで温度などを管理したハウスで育ててから屋外の池に移します。池の水は山から流れてくる川の水を炭で濾過したものですね。エサは魚粉をねったものを与えています。水温が15度以下になると10月頃からすっぽんは冬眠を始めます。冬眠明けの春先は脂の量は少なくなります。しまりある肉質にするためにも、冬眠させることは必要です。美味しく食べられるまで育つのに2〜3年かかりますね。大きいのは6kgになるものもありますよ。関西など他の場所では800〜900gのすっぽんを料理するのが主流ですが、安心院ではもう少し大きいものを料理していますね。大きいほうが肉の量は多いのです。しかし大きすぎると身が厚くてかたくなりますし、骨も太くかたくなってしまうんです。ですから、900〜1.1kgくらいのものがベストだと思いますね。ちなみに、天然のすっぽんは育つのに4年以上はかかります。天然のすっぽんもやはり10月くらいから冬眠をはじめます。そして、田植えの時期になるとノコノコ出てきますね。

天気がいいとすっぽんが甲羅干しをしている屋外の養殖池

すっぽんは食べると滋養強壮にいいのですが、とってもデリケートな生き物なんですよ。人の気配を感じるとすぐに逃げてしまうんです。けれど、つかまえて水からあげると攻撃的になるので危ないですね。赤ちゃんすっぽんでもかみつきますからね(笑)」。

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「すっぽん鍋」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
下ごしらえ

真水に入れて泥をはかせたり、湯通しして表面の薄い皮をはいだりと、手間のかかる下ごしらえが行なわれている

炊き方

甲羅や肉を、水や出汁などでしっかりと炊くことで旨味満点のスープもできる。アクが出るので丹念に取り除くことが必要だ

味付け・食べ方

肉やエンペラは、鍋のスープに直接味をつけてスープと一緒に食べたり、ポン酢を使ったりする。肉類の後は野菜類を食べ、〆は雑炊だ

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