小丸川の流れと日向灘の荒波で育つ
濃厚で引き締まった身の天然かき
朝、ウェットスーツ姿で海に入っていく漁師たち…秋から春にかけて宮崎県・高鍋町の浜でよく見られる光景だ。漁師たちが目指すのは、天然のかき。水際からの距離は数十メートルで、海岸線に沿うように連なる瀬には“ゴロタ石”と呼ばれる岩が数多くある。その岩に天然のかきがびっしりとくっついているのだ。漁師たちは釘抜きのような形をした“かき打ち”を手に素潜りして、岩からかきを1つずつはがしていく。
瀬と“ゴロタ石”に合わせて、かきの生育に大切な役目をもっているのが、近くを流れる『小丸川(おまるがわ)』。かきは、海水と真水が混じり合う場所でしか育たない。さらに、小丸川の源流は宮崎県椎葉村の山中で、山の栄養分をたっぷりと含んだ水が日向灘に注ぎ、かきの餌となるプランクトンを育てるのだ。
高鍋の天然かきの特徴は身が黄色っぽいことと、貝柱が大きいこと。内海ではない日向灘の荒波の中で育ったかきは、身が引き締まっていて味は濃厚。天然ものだけに、栄養分も特に高いのだという。様々な食べ方があるが、その旨さが一番よくわかるのは、殻がついたまま焼いて、調味料など何も使わずに中身をいただくシンプルな『焼きかき』。11月から4月にかけてが食べ頃だ。
宮崎県椎葉村の南部にある三方岳(標高1476m)が水源。尾鈴山~木城町~高鍋町と73kmにわたって流れ日向灘に注ぐ。流域は自然豊かなエリアであるため、水の栄養分も高くなる。
ミネラルが豊富で、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄分を多く含む。特に亜鉛の含有量は高い。またグリコーゲン(動物の生命維持に欠かせないブドウ糖が、体内で貯蔵できるように形を変えたもの。人間の体内でも作られている)を多く蓄えているので、水のない状態でも1週間程度は生きていることができる。
“ゴロタ石”と呼ばれる岩につく天然のかきを素潜りで獲る。中身が黄色っぽいこと、貝柱が大きいことが、高鍋の天然かきの特徴
殻がついたまま直接火にかけて、焼き過ぎないようにしていただく。濃厚な旨味とほどよい塩味があるので、調味料などは必要ない
焼きかき以外に、酢がき、かきフライ、かき飯、かき鍋など、様々なかき料理があるが、各店、自慢のかき料理を工夫している
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