那覇市近郊産のにんじん、タマネギ、卵。通常はタマネギを使うことは少ないそうだが、より甘味を出すために使っているとのこと
味付けに使われるのは、砂糖、醤油、ミリン、酒だけ。野菜の味を活かすために調味料はできるだけ抑えている
油をひいたフライパンに材料と調味料をすべて加えて蓋をして5分。一度全体を混ぜて蓋をして3分。最後に溶き卵を加えて混ぜる
2004年、首里城近くの住宅街の一角にオープン。元は壺屋焼の工房だった建物を改装した店内は、味わいのある落ち着いた雰囲気だ。
名物料理の『焼てびち』『軟骨ソーキ焼き』や、沖縄そばなどの沖縄料理を中心にしたメニューが並ぶ。ランチタイムは定食類、沖縄そばを注文すると、ごはんとバイキング形式で10種類ほど並ぶ野菜のおかずが食べ放題となる。その中に欠かせないのが『にんじんしりしりー』だ。
「野菜のおかずは、季節の野菜を使ったものなど日によって変わりますが、『にんじんしりしりー』は必ずありますよ。人気があって、それを目指して食べに来る方もいるんです。初めは、店のメニューとして出すのはどうなんだろうと思っていたんです。ウチナーンチュ(沖縄の人)は家でもよく食べていますからね。でも、観光の方はもちろん、ウチナーンチュもよく食べてくれるんですよ。家で食べる『にんじんしりしりー』と、ここで食べるのは違うので話が盛り上がることもあるみたいですよ。『うちはこんなの入れる』みたいな話にもなって、“にんじんしりしりーあるある”のような話題が展開している時もあります(笑)。この間、テレビで沖縄の高校生のお弁当事情という番組を見たのですが、おかずとして入っていることが多い1位は『にんじんしりしりー』。1度作ると2~3日はもちますし、色味も華やかになりますからね。ウチナーンチュはみんな『にんじんしりしりー』が大好きなんです(笑)。にんじん嫌いな人でも食べていますね」。
店主・饒平名千明さんは日本野菜ソムリエ協会認定の野菜ソムリエ。ランチタイムの野菜メニューバイキングも『野菜をたくさん食べてほしい』という想いから生まれた。『にんじんしりしりー』はその中でも特別な一品なのだ。
饒平名さんに『にんじんしりしりー』の作り方を教えていただいた。
「にんじんを一日に40本くらい使います。誰にでも簡単にできますよ。超シンプルです(笑)。お客さんから尋ねられたらレシピを伝えるのですが、『私も作れそう』と言われるのが一番うれしいですね。野菜食を普及させたいと思っていますから。材料は、にんじん、タマネギ、卵。タマネギを入れるところは少ないみたいですが、私は調味料を極力使わないようにしたいので、より甘味を出すために入れているんです」。
まずは愛用のしりしりー器でにんじんを千切りにする。「目の大きさがいろいろあるんですが、切ったタマネギの大きさと合わせたいので、私はちょっと粗めのものを使っています。しりしりー器はどの家にもあります。刺身のツマをつくるために『大根しりしりーしといて』とかも言いますが、なぜか『にんじんしりしりー』だけは完全に料理名になっています(笑)。パパイヤをしりしりーしたものを炒めた料理は一般的には『パパイヤイリチー』と呼びますからね」。
フライパンの表面に軽く油をひき、にんじんとタマネギ、砂糖、醤油、ミリン、酒を入れ、蓋をして弱火で5分待つ。
蓋を開けて全体を混ぜ、再び蓋をして3分待つ。
最後に溶き卵を入れ混ぜ合わせてできあがりだ。
「弱火でじっくり火を通すことでにんじんとタマネギの甘味が出ます。誰が作っても同じ味になりますよ。それに片手間でできますから家庭でも便利、野菜を簡単に美味しく、シンプルに食べられる料理ですね」。
できあがった『にんじんしりしりー』は、口の中ににんじんとタマネギの甘味が広がるやさしい味わいだ。夜の部では、壺屋焼の器に盛りつけられた『にんじんしりしりー』を食べられる。
「ツナやランチョンミートなどを入れる方も多いですが、私はシンプルに野菜だけで作っています。沖縄で育つにんじんは、色も味も濃いですね。にんじんが苦手な方でも食べられますし、お子様連れもよく来てくださいますよ。
沖縄はかつて長寿の人が多かったのですが、以前ほどはないようです。野菜をたくさん食べなければいけないのですが、言ってるだけではだめだと思うのです。沖縄で昔から食べられていた野菜の食べ方がわからないという方もいらっしゃいます。そんなみなさんに少しでも野菜の食べ方と素晴らしさをお伝えできればと思っています」。
以前、観光業に携わっていた饒平名さん。尋ねれば沖縄の野菜のお話とともに、沖縄の観光のアドバイスをいただける。「移動時間もわかりますから、『その時間ならこことここだけは』といった、具体的なお話もできますよ(笑)」。
那覇市近郊産のにんじん、タマネギ、卵。通常はタマネギを使うことは少ないそうだが、より甘味を出すために使っているとのこと
味付けに使われるのは、砂糖、醤油、ミリン、酒だけ。野菜の味を活かすために調味料はできるだけ抑えている
油をひいたフライパンに材料と調味料をすべて加えて蓋をして5分待ち、一度全体を混ぜて蓋をして3分待つ。最後に溶き卵を加えて混ぜる
首里城近くの静かな住宅街の一角にあり、元は壺屋焼の工房を改装した沖縄料理の店。名物の『焼きてびち』『軟骨ソーキ焼き』とともに、野菜ソムリエでもある店主・饒平名千明さんが作る、野菜をふんだんにつかった料理を食べられる。にんじん・タマネギ・卵だけを使うシンプルな『人参しりしり』は、にんじんとタマネギの甘味が口の中に広がる。
住所 | 那覇市首里石嶺町4-346-1 |
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電話 | 098-884-9977 |
営業 | 11:00~14:30(OS13:50)/18:00~OS22:00 (月~木は~23:00、金・土曜は~24:00) |
休み | 不定(月に1~2回) |
席 | 68席 |
カード | 不可 |
駐車場 | あり |
URL | http://www.ishimineshokudo.com |