九州の味とともに 秋

この料理の"味のキーワード"

牛肉

細切りにした牛肉を甘辛く炒める。ローストビーフを使ったり、牛肉の代わりに鶏肉やイノシシ肉が使われる場合もある

野菜

レタスやキャベツなど葉もの野菜とトマトがよく使われる。佐賀県産の旬の野菜が使われていることが多い

作り方

あたたかいごはんの上に生野菜、炒めた牛肉をのせてマヨネーズをかけるのが基本だが、野菜にドレッシングをふりかけたりもする

語り さがレトロ館 藤瀬仁郎の「シシリアンライス」

代表・藤瀬仁郎さん

アーチ型の大きな窓と高い天井が特徴的なモダンな建物は、1887年(明治20年)に佐賀県の警察部庁舎として建てられたもの。1936年(昭和11年)現在の場所に移築され、2009年(平成21年)に改装され『さがレトロ館』としてオープンした。1階はカフェと佐賀県産の野菜や米、米粉パンなどの物販スペース。2002年(平成14年)に日本初となる『スローフード大賞』を受賞した佐賀県江北町の農業家・武富勝彦さんの十三穀米や加工食品なども置かれている。2階は“身体に良いものを、より美味しく”を目指し、佐賀県産食材の魅力を活かした料理が食べられる地産地消レストランだ。

 代表・藤瀬仁郎さんに『シシリアンライス』についてお話をうかがった。
「『シシリアンライス』は1970年代には佐賀市内の喫茶店で出されていたメニューで、元々はお店のまかない料理だったようですね。初めは『シシリアンライス』は作っていませんでしたが、要望も多くなり開店から1年ほどしてメニューにのせるようになりました。やるからには私たちらしい『シシリアンライス』を作ろうと考えました。ごはんは白ごはんではなく、武富さんの十三穀米を加えた雑穀ごはんにすることにしました。栄養価が高くなりもっちりとした食感で美味しいごはんですね。それから、肉はコース料理のオードブルにも出していた佐賀牛のローストビーフを使うことに。野菜は開店当初から使っていた佐賀県産の無農薬・無化学肥料のものを中心にできるだけ多くの種類の野菜を添えようと決めました」。

厨房で作り方を見せていただいた。
「今日使っている生野菜は、サニーレタス、グリーンリーフ、パブリカ、タマネギ、コーラルリーフ、ビーツ、キュウリ、バラフ、トレビス、ニンジン、ラディッシュ、水菜です。水菜は普通のものと少し辛味がある2種類を使っていますね。実は夏の時期が一番野菜の種類が少ないです。冬は根菜も入ってきますからね」。

中には藤瀬さんが自ら育てた野菜も使われているとのことだ。

皿の上に置かれた丸い枠の中に雑穀ごはんを入れ、ローストビーフと温泉たまごをのせ、ローストビーフのソースがかけられる。

皿の上に置いた丸い枠の中にごはんを入れ、ローストビーフ、温泉たまごをのせてローストビーフのソースをかける

枠を取った後、野菜を添えフレンチドレッシングとバルサミコソース、さらに自家製マヨネーズをかける。

野菜を添え、フレンチドレッシングとバルサミコソース、さらに自家製マヨネーズをかける

ローストしたアーモンドスライスと、赤ジャガイモと紫ジャガイモのチップを添えて完成だ。

ローストしたアーモンドスライス、赤ジャガイモと紫ジャガイモのチップなどを添えて完成

瑞々しい野菜はカラフルで美しい。
「混ぜて食べるのもいいですし、野菜だけ、肉だけ別々になど好きなように食べてください。丼もののようにごはんと肉といった組合わせはありますが、温かいごはんと冷たい生野菜とを一緒に食べるというのは、違和感を感じられる方もいらっしゃるかもしれません。けれど、食べてみるととても食べやすいし、生野菜と一緒にヘルシーな感覚で食べて頂けます。肉とごはんで男性が好きな味だし、いろんな野菜がたっぷりな料理ですから女性にも人気です。暑い時や食欲がない時もおすすめですね」。

佐賀牛のローストビーフの旨味、温泉たまごのとろみ、雑穀ごはんのもっちり感、野菜のシャキシャキ感と、様々な味わいと食感が口の中で溶け合う。
「以前はローストビーフの上に野菜をのせていましたが、今は野菜を脇に添えるというスタイルです。まずごはんと肉だけを食べたりと、自由に食べられるようにしているのです。初めにローストビーフだけを食べてつまみにしながら、芋焼酎を飲むのもいいかもしれませんね(笑)」。

こちらの『シシリアンライス』は徐々に知られていったが、2010年に漫画『クッキングパパ』で紹介されたことでより広く知られるようになったとのこと。
「団体さんも来られるようになりましたね。佐賀市ならではの食事ということで『シシリアンライス』を食べていただいています。私たちのコンセプトは『メイドイン佐賀』。佐賀の農家のみなさんが一生懸命に作られている美味しい野菜を、たくさんの方に知っていただきたいのです。佐賀を訪れたある外国の方が『佐賀はサラダボウルだ』とおっしゃいました。佐賀には広大な平野があり、手を少しのばせば様々な野菜が手に入る、食材に恵まれた土地であるということが表現された言葉です。『シシリアンライス』も、まさにこの言葉を表現した料理かもしれませんね。これからも、佐賀を少しでもアピールできるようにがんばっていきたいと思っています」。

この料理人こだわりの「味のキーワード」

牛肉

味付けして炒めた牛肉ではなく、佐賀牛のローストビーフを使用(中央にのっているのは温泉たまご)

野菜

季節によって変わるが、10種類以上の生野菜とジャガイモなどの野菜チップが使われている。いずれも無農薬・無化学肥料のものが中心だ

作り方

雑穀ごはんの上にローストビーフと温泉たまごをのせる。生野菜を添えフレンチドレッシングや自家製マヨネーズをかけ、ローストしたアーモンドスライスなどを添えて完成

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さがレトロ館レトロな洋館でスローフードメニューを

1887年(明治20年)に佐賀県の警察部庁舎として建てられたモダンな建物を改装して2009年(平成21年)にオープン。1階はカフェと佐賀県産の野菜や米、米粉パンなどの物販スペース。2階は“身体に良いものを、より美味しく”を目指した地産地消レストラン。『シシリアンライス』も佐賀牛のローストビーフ、佐賀産の野菜を使った“メイドイン佐賀”の一品。

『レトロ館特製シシリアンライス』1404円(税込) 。ごはんの上にローストビーフ、温泉卵がのり、佐賀産の10種類以上の野菜が添えられる
『さが米っ子サンド』980円(税込) 。米粉と黒米の粉を使ったバンズが、佐賀牛ハンバーグと佐賀県産の野菜を包んでいる
『佐賀牛カレーパン』313円(税込) 。パンの生地に練り込まれているトマトの風味とカレーの相性が抜群だ
緑に囲まれた趣深い洋館。秋には紅葉も美しいとのこと
優雅な雰囲気にひたりながら食事ができる2階のレストラン
気軽に利用できるカフェスペース

さがレトロ館

住所 佐賀県佐賀市城内2-8-8
電話 0952-97-9300
営業 レストラン11:30〜OS14:00(日祝日OS14:30)、17:30〜OS21:00/カフェ11:00〜OS16:30/物販10:00〜18:00
休み 月曜(月曜祝日の場合は翌日の火曜)
レストラン80席、カフェ14席
カード 不可
駐車場 あり
URL http://www.saga-retro.com/
※記載した内容は2016年9月20日現在のものです。
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■お取り寄せ情報
http://shop.saga-retro.com/
※雑穀米、ドレッシングなどの取寄せ可能