スープは牛骨と鶏ガラをベースにしたもの。各店が時間と手間をかけて作る深みのあるスープだ
豚の頭肉、エビ、タマネギ、ニンジン、キクラゲ、キャベツ、すりおろし、またはみじん切りにしたショウガ
具材をラードで炒めた後、スープを入れて塩とミリンで味付け。うどん麺を入れて一煮立ちさせる
JR大町駅前にある『おおまち情報プラザ』。観光情報センター、地元の新鮮な野菜などを販売する物産館『ひじりの里』、そして定食類や『たろめん』を食べられる『福母食堂』が並んでいる。『福母食堂』の店主・藤瀬健一郎(ふじせ けんいちろう)さんにお話をうかがった。
「『たろめん』はかつて大町町にあった『たろめん食堂』で出されていた麺料理なんです。そのお店は炭鉱マンたちでにぎわっていて…子どもたちだけで行く店ではなかったですね(笑)。だから私もそこで食べたことはなかったんです」。
2010年の町をあげての『たろめん』復活に藤瀬さんも参加し、以来『たろめん』作りを続けている。
作り方を見せていただいた。
「中華鍋にラードを入れて、小さな角切りにした豚の頭肉(かしらにく)を炒めます。よく知られている豚トロも頭肉の一部ですね。脂身のぷよぷよした食感が苦手という方もいるので、よく炒めて表面をカリカリに仕上げるんです」。
鍋の中ではラードと肉から出た油がパチパチと弾き飛び、大きな炎があがる。
「いつも熱いですよ(笑)」。
炎が落ち着いたところで、キャベツ、タマネギ、ニンジン、キクラゲ、エビを入れて炒める。
その後でショウガを入れる。
「地元の野菜でほぼまかなえますね。ショウガはすりおろしたものとみじん切りにしたものを半々にくらいにしています」。
次に特製のスープを加え、ミリンと塩で味付けし、さらにうどん麺を入れる。
「スープは牛骨と鶏ガラからとったダブルスープですね。作るのに8時間くらい煮込んでいますよ。麺は細めの乾麺をゆでておいたもの。昔はきしめんのような幅広い麺を使っていたようですね」。
少し煮込んでできあがりだ。
「牛骨と鶏ガラからとったこのスープは具材と一緒に煮込むことによって、具材のエキスが溶け出して美味しいスープになるんです。最後にできあがったスープの完成度はすごく高いと思います。すべての材料がひとつになったこのスープを一度味わっていただきたいですね。豚骨みたいな独特の香りはしないけど個性はある。あっさりしているけど深みはある…言葉では説明のしようがないので、食べてもらうしかないですね(笑)」。
様々な旨味が濃縮されたスープは、様々な味わいとショウガの香りが重なった奥深い味わいだ。
「うちの味はちょっぴり濃いめかな。炭鉱マンが好きだった『たろめん』は味がとても濃かったんです。汗をかいた仕事の後の塩分補給という意味合いもあったのでしょうね」。
壁には『たろめん』の『おいしい食べ方』が書かれた紙が貼られている。
1/まずはそのままで、ショウガの風味を味わう
2/味の変化を楽しみたい時はウスターソースをかけて
3/さっぱりと食べるには酢をかけて
「炭鉱マンは『たろめん』を酒を飲む時のつまみにもしていました。その時にソースをかけたりポン酢をかけたり、酢をかけたりしていたようですね。唐辛子をかけても美味しいですよ。つまみにもいいですが、飲んだ後の締めにも合う料理ですね」。
観光情報センターや物産館が隣接することから、町外のお客さんが多いという『福母食堂』。多くの方に『たろめん』を伝えている。
「九州内ではまあまあ知られてきたのかなぁと感じていますが、もっともっと多くの方に知っていただきたいし、食べていただきたいですね。『たろめん』は大町町のソウルフードですから!」。
牛骨と鶏ガラをベースにしたダブルスープ。約8時間かけ、じっくりと煮込んで作る
豚の頭肉、エビ、タマネギ、ニンジン、キクラゲ、キャベツ、ショウガ。ショウガはすりおろしとみじん切りにしたものをブレンド
豚の頭肉をラードで炒めた後、残りの具材を加え炒める。スープを加えてミリンと塩で味付け。ゆでておいたうどん麺を入れて煮込む
JR大町駅前にある『おおまち情報プラザ』内の食堂で、定食類や『たろめん』を気軽に楽しめる。「『たろめん』の美味しい食べ方は、まずはそのままでショウガの風味を味わっていただき、味の変化を楽しみたい時はウスターソースをかけて。さっぱりと食べたい時には酢をかけるのも美味しいですね」と店主・藤瀬健一郎さん。
住所 | 佐賀県杵島郡大町町福母297-4(おおまち情報プラザ内) |
---|---|
電話 | 0952-82-2500 |
営業 | 11:00~OS14:00 |
休み | 月曜 |
席 | 23席 |
カード | 不可 |
駐車場 | あり |
URL | https://www.o-jouhou.com/company.html |