太平洋岸で穫れるいわしを使う店が多い。下処理した後、辛子明太子と同じように調味液につけるなどして、いわしにも下味をつける
主に北海道で穫れたスケトウダラの真子を、各店が唐辛子を加えた秘伝の調味液(主な材料は煮切った酒)で漬け込み熟成させる
いわしの腹の部分にバラ子を詰めるのが一般的な作り方。いわしは形も大きさも異なるので、一本一本、手作業で詰めていくしかない
現在、博多の味としていわしめんたいを作る店も多いが、1985年、最初に作り始めたのは『中島商店』だ。いわしめんたいを発案して今もその手で作り続けている専務・中島博二さんに開発秘話やいわしめんたいへの想いを尋ねた。
いわしめんたいを作るきっかけとなったことは何なのでしょうか?
「うちは元々、親父が辛子明太子を作っていた店なのですが、作っていて、どうしても皮が破れてしまうものがあるんですよ。皮が破れて中から出てきてしまう形のない明太子をバラ子と呼びます。そのバラ子をどうにかできないか。なんとか商品にして売れないかと考えたのがそもそもの始まりです。だから、いわしめんたいはもったいない精神から生まれたものですね(笑)」。
どうしてバラ子といわしがつながったのでしょうか?
「バラ子をなにかと合わせたいと考えまして、いろんな魚と試してみました。アジ、タイ、サンマ、イカ、いわし…。その中で、バラ子の味といわしの脂が一番合うと思ったんです。日本近海など、その季節で一番美味しいいわしを使うことに決めました」。
いわしにはどんな味付けをされるのでしょうか?
「頭を落として、おなかを少し切って内臓を出して洗います。それを海水よりもやや濃い塩水に30分ほど漬けた後、そこから出して冷蔵庫で一晩ねかせます。これにより熟成され、一夜干しみたいな旨味が出ますね」。
辛子明太子はどんな作り方ですか?
「美味しい辛子明太子を作るためには、いい素材がないとだめですね。私たちは、北海道産の真子(まこ)を使っています。真子とは皮も破れておらず、状態が一番良い完熟卵のことです。これが獲れたら、すぐに塩をして冷凍するのです。生の時に塩をすることによって、旨味を閉じ込めることができます。それを調味液に漬けます。調味液の成分は、ほとんどが煮切った酒で、後は…秘密です(笑)。いわしめんたいを作る時は、真子が破れてしまったバラ子を使いますが、まず水分をしぼります。100kgあったバラ子が、水分を取り除くことによって60kgになります」。
いわしとバラ子、その2つがドッキングするのですね?
「いわしの腹に辛子明太子を詰めていきます。この作業も含め、機械化できることはありません。1つずつ手作りですので、大量生産はできないですね」。
美味しい食べ方を教えてください!!
「ラップで巻いて電子レンジでチンして、そのまま食べてもいいですが、オーブンなどで焼いて少し焦げ目をつけると、より一層美味しくいただけますね。初めからオーブンだと、外側だけが焦げて、中には火が通っていないこともあるので注意してください」。
最後に、今ではいわしめんたいを作る店もかなり増えましたが、どんなお気持ちですか?
「次の商品を作りたいし次に進みたいと常に思っているので、既に作ったものが真似されても何も問題はありません。それに、私たちの味は真似できないはずですから。私たちにしか作ることができない味を提供していくだけです」。
下処理をして塩水に30分ほど漬けた後、そこから出して冷蔵庫で一晩寝かせる。それにより旨味が増し、一夜干しのような味わいになる
状態が一番良い北海道産のタラコを現地で塩をふり冷凍したものを使い、酒をベースとした調味液に漬け込む。いわしめんたいには皮がなく卵だけの『バラ子』を使う
いわしの腹に辛子明太子を詰める。いわしめんたいに入れる辛子明太子は、全体の重量の40%程度の水分をしぼっている。完全な手作業だ
魚の干物や一夜干し、辛子明太子、辛子明太子に由来する様々な加工品を製造・販売している。1985年、いわしめんたいを初めて世に送り出した店としても知られている。“味は心”の想いのもと、日々美しい味への追求を続けている。明太子そのものや皮を乾燥させてつくる『博多なかなか』シリーズは、最近の人気商品だ。
住所 | 福岡県福岡市東区下原1-15-71 |
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電話 | 092-681-0778 |
営業 | 9:00~17:00 |
休み | 日祝日 |
カード | 不可 |
駐車場 | あり |
URL | http://nakashimamentai.com |