九州の味とともに 秋

大分 関あじ

豊後水道の激しい潮の流れが育てた
身が引き締まった特別なアジ

豊後水道(ぶんごすいどう)は、大分県と愛媛県の間にあたる海域。沖合に瀬があって昔から潮の流れが早いことで知られている。この海で穫れ、大分市の佐賀関漁港(さがのせきぎょこう)に揚がるアジが、全国ブランドとなった『関あじ』だ。

アジは回遊魚で、通常群れをなして大海原を移動している。潮の流れが早いにも関わらず、プランクトン等のエサが豊富なため、豊後水道にはアジが住みついているのだ。潮の流れが早いため、身が引き締まる。身体が金色に輝いていることも特徴だ。

弾けるような弾力を持つ身を味わう一番の食べ方は、活き造り。一年中食べられるが、夏以降は脂がのってきて刺身醤油を弾くほどになるとのこと。アジの種類としてはよく知られている“真アジ(まあじ)”なのだが、普通のアジとはまったく違う味わいだ。

傷がつきにくい一本釣りという漁法、手で触れないようにするため、目分量で大きさや数を判断する『面買い(つらがい)』という買付け法なども、『関あじ』の味わいの秘密。自然が育てた『関あじ』は、漁に携わる方々の努力があって、美味しい活き造りとなる。

関あじ

『大分県漁業協同組合佐賀関支店』総務課長・藤本久士さんを訪ね、関あじのお話をうかがった。

●関あじの特徴について

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アジやサバは回遊魚なのに、豊後水道にずっと住み着いているのが『関あじ』『関さば』ですね。『関あじ』は、通常の真アジと比べると金色がかっていて尾びれが大きいです。人間で言えばアスリート、身体が大きくて身が締まっています。大きさは300g〜1kgで、年間を通して獲れますが、4月〜7月は少ししか獲れない時期ですね。昔から豊後水道にいるアジが旨いのはよく知られていましたよ。『関あじ』や『関さば』だけではなく、魚類と海草類も他とは違って本当に美味しいと思います。魚が食べるエサも豊富ですし、漁師たちは日本一の漁場と呼んでいますね。

港には関あじ・関さばを獲る漁船が並ぶ

●関あじ漁について
ここの海は瀬が多いので網だと瀬にひっかかってしまうということもあり、昔から一本釣りです。ただ、竿で釣るわけではなくて、関あじ漁は、船の上から1本糸をたらします。その1本に疑似餌付きの針が10本くらい付いています。その糸を魚のいるポイントにできるだけ真っすぐに下ろすという技術が必要なんです。漁をするのは一番よく釣れる朝方ですね。釣れたアジは、できるだけ触らないようにして、船の水槽に入れます。そうすることでウロコも取れないし、見た目もきれいなままです。触ると弱ってしまいますね。それから、手で触れることのないように、目分量で大きさや数を判断する『面買い(つらがい)』という独特の買付け法が行なわれています。船から生簀に移す時に“大が何匹”といった具合に判断するわけです。生簀に1日入れて泳がせ、興奮をしずめてから出荷しています。朝絞めたものが、昼過ぎには東京に着いていますよ。

●関あじというブランドについて
昔から佐賀関に揚がる魚介を『関もの(せきもの)』という呼び方はしていましたが、平成元年にアジとサバは、それぞれ『関あじ』『関さば』というブランド化をしました。そうしたら4年後には偽物が出てきましたので(笑)、商標を出願して認めていただきました。ここにはいろんなところから視察の方が訪れますが、獲り方でもなんでもお話しています。『関あじ』も『関さば』もこの海でしか獲れないもの。“モノ”が違いますから、いくら真似されても揺るがないと思っています。2012年春からは、さらに鮮度のいいものを出荷するための施設も稼働を始めました。

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「関あじ」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
活き造り

基本的には新鮮な『関あじ』を三枚におろして身を切っていくが、切り身の厚さなど、各店によって特徴がある

刺身醤油

大分のやや甘めの醤油をベースに、出汁をブレンドするなどして、『関あじ』の旨味を引き出す特製の刺身醤油が作られている

関あじを使う自慢の料理

身の引き締まった『関あじ』。刺身とは違った味わいを感じてもらいたいと、刺身ではないメニューも工夫されている

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