九州の味とともに 秋

五島 はこふぐの味噌焼き

食材になり、器にもなるはこふぐ…
焼けた味噌が香ばしい漁師料理

お腹を上に向けた四角い箱のような姿のはこふぐ、そのものが料理の器…ユーモラスな形の『はこふぐの味噌焼き』は、五島列島の漁師料理だ。

はこふぐは、トラフグのような『フグ科』ではなく『ハコフグ科』の魚。身や内臓に、トラフグの肝のような毒はない。ただ、身体の表面のぬめりには毒があるため、料理するにはまず表面をタワシでよく洗う。その後、一般的な魚のように三枚におろすことはできない。表面はウロコが変型した六角形の硬い板片に覆われ、甲羅のようになっている上、いわゆる中骨もそのウロコと一体化したようになっているからだ。比較的やわらかい腹の部分を包丁やハサミで切り取り、内臓をくり抜くように取り出した殻が、そのまま“器”となる。

作り手により味わいが違う特製味噌に、ネギやショウガなどを加えたものを、殻に詰めて焼き上げれば出来上がり。味噌の甘味と辛味に、はこふぐから溶け出した濃厚な旨味、さらには香ばしさも加わったその味は、最高の肴。ウロコの内側にくっついている身もプリプリした食感で、一緒に食べると美味。焼酎がいくらでも飲めそうだ。

はこふぐ

■はこふぐ
五島ふくえ漁業協同組合の中村吉朗さんを訪ね、はこふぐについてお話をうかがった。

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●漁法について
「はこふぐは釣りをしても釣れません。定置網か、刺し網で獲れるものです。頭は四角なので、刺し網に魚体が絡まっていたりしますね。年中獲れますが夏から数が多くなります。表面に毒があるので、一緒にしておくと他の魚が死んだりするので、すぐにバケツなどに入れて分けておきます。昔は素手で捕まえることができましたが、今は頭が良くなったのか、素手ではつかまらないですね(笑)。今も、素潜りしてモリで突いて獲る漁師さんもいますよ。はこふぐは五島では『カットッポ』と呼ぶこともありますね」。

●『はこふぐの味噌焼き』について
「船の上で食べたりはしませんが、陸地に帰ってきてから作って食べていましたね。漁師がいる町ではよく食べていたものですよ。腹をくり抜いて中を出して、味噌を詰めてアルミホイルで包んで、炭火で焼いてね。すごい匂いがするので、家の中で焼くと大変だから、昔はみんな外で焼いてましたよ。夏から脂がのってくるのでより美味しくなりますね」。

五島では『はこふぐ』だけでなく、きびなごも揚がるため、「ぜひ食べていただきたい」とのこと。鹿児島県・串木野に揚がるものよりも小ぶりである五島のきびなごは12月がもっとも食べ頃だ。


はこふぐの味噌焼き
※ふぐ調理師免資格保持者でなければ調理できません。
※はこふぐの肝は使用できません。

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「はこふぐの味噌焼き」、三様。

三人の料理人が語る、それぞれのこだわりとは

この料理の"味のキーワード"
下ごしらえ

表面のぬめりを洗い落とした後、ハサミや包丁を使って腹の部分を切り、内臓などをくり抜くが、そのやり方は様々

特製味噌

麦味噌が使われることが多いが、他の味噌と合わせたり、調味料が異なったり、野菜を混ぜたりと作り手がアレンジを加える

焼き方

あらかじめ身を焼いておいてから仕上げる焼き方、生の状態からじっくりと焼く焼き方などがある

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