使うサバは新鮮な真サバ。三枚におろしたあと切り身にするが、刺身とは違う切り方や厚さで、より旨い『ごまさば』を目指している
醤油ベースだが、作り手がもっとも工夫を凝らしているもの。サバの甘味と旨味を引き立てる味わいだ
『ごまさば』はタレに漬け込む料理ではなく、切り身にタレやすりゴマを和える料理。その和え方も様々だ
「開店と同時に『ごまさば』が売切れになってる時もたまにあるんです(笑)。『ごまさば』をご予約下さるお客様が多いからなんです。なのでなるべく、お電話をしていただくと助かります」。
平成元年11月1日にオープンした『海鮮居酒屋 はじめの一歩』の一番の人気メニューは『ごまさば』。女将・田中孝子さんが元気に語ってくださった。
「『ごまさば』はオープン時からあるメニューで、当初はそんなに人気が出るとは思わなかったのですが、じわじわと人気メニューになってきました」。
口コミでじわじわと広がっていった『ごまさば』の人気。その秘密はどこにあるのだろうか?
「新鮮なサバを使うことと、特製のタレだと思います! その日に市場に揚がる真サバの中でも状態のいいものを選んで使っています。身はかたく締まっていて、ほどよく脂がのったサバがいいです! 脂はのっていなくても、のりすぎててもよくないんです。年中獲れますが、春頃のサバよりも、秋から冬にかけてのサバが特にいいですね。ただ、満月の夜にはあまり獲れないですし、天候によっても左右されるもの。いいサバはちょっとしか入ってこないので、『ごまさば』もそんなにたくさんは作れないんです。だから、美味しい『ごまさば』が食べられるのはラッキーなことかもしれません。タレは醤油などが入っている秘伝のタレです。タレは毎日作っていて、その日にさばいたサバの本数と合わせた量を作ります。そして、その日のうちに使い切るんです。どんな魚にも良くあうので、『ごまさば』のタレを他の刺身につけて食べている方もいらっしゃいます。同じタレを使った『ごまかんぱち』も『ごまさば』同様人気メニューです。タレは少し甘めに仕上げているので、お子さんでも食べやすいですよ」。
実際に厨房で作るところも見せていただいた。腕をふるってくださったのは息子さんの田中龍一さんだ。
「サバは、身がくずれやすい魚なので、さばくのにはちょっと注意が必要ですね。秋になると身の幅が大きくなって、頭がとんがってきて、腹もふくれてきます。そういう形になると脂がのってきたサインなんですよ。頭を落として、うろこを取って中をきれいにして、氷の入った塩水で少し冷やしてから三枚におろします。大体、半身で一皿分くらいですね。
それから骨まで抜いておきます。開店前にここまで準備しておき、『ごまさば』はお客さんが食べられる直前に作るんです。
サバの身は、薄い皮をはいでからそぎ切りします。時間や脂ののり具合によって厚さを変えます。
切った身の端を丸めながら、器に花のように盛りつけます。器の中央はサバの身で少し高くしておきます。そこに秘伝のタレをたっぷりと注ぎます。
さらに、すりたてのゴマをたっぷりとふりかけ、ネギをドーナツのようにのせ、葉っぱをかたどったワサビを添えれば出来上がり。うちのはタレにサバを漬けこんでしまわないんです。サバの身にタレをかけるだけですね」。
サバが見えなくなるくらいたっぷりとかけられたゴマの香りも漂う『ごまさば』。食べるのがもったいなく思えるほどだ。
「見た目にもきれいなので、みなさん、食べる前に写真を撮られますね。サバの身でゴマとネギをくるみながら食べていただくと美味しいですよ」。
歯応えもいいサバの旨味とゴマの風味をつなぐタレの甘味。3つの風味が重なった味わいは焼酎などにもとても良くあう。
「焼酎にもぴったりですが、ご飯と一緒もいいですね。お茶漬けにしても美味しいんですよ」と孝子さん。
個室もあるので宴会や接待、ご家族など、色々なシーンに使える。小さいお子さんも『ごまさば』をごはんと一緒に食べているとのこと。いつか、ごはんが焼酎に変わり、『ごまさば』の新たな楽しみ方を知る時が来るに違いない。
その日に港に揚がった新鮮なサバで、身の締まりがよく、脂ののり具合がほど良いものを使う。三枚におろした後、身はそぎ切りにする
醤油などが入った秘伝のタレ。このタレは持帰り・取寄せが可能だ。サバ以外の刺身につけても美味しい
サバの身、タレ、すりゴマを和えることはしない。サバの身を並べた器にタレを注ぎ、その上からすりゴマやネギをふりかける
器に花のようにきれいに盛りつけられた『ごまさば』をはじめ、『刺身盛り合せ』1人前(1,500円〜。2人前以上で注文のこと)、『イカ活き造り』(2,500円〜)など、新鮮な魚介が食べられる。醤油ベースのスープと味付けミンチが決め手でちゃんこ鍋風の『一歩鍋』(1人前1,700円、2人前以上の場合は1人1,500円)も開店以来の人気メニューだ。
住所 | 福岡市博多区博多駅前3-7-15 |
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電話 | 092-471-1850 |
営業 | 17:30〜24:00(土曜〜23:00) |
休み | 日祝日 |
席 | 60席 |
カード | 可 |
駐車場 | なし |
URL | http://www.hajimenoippo.org/ |